第6話 幼馴染と親友とアイドルと
わたし、五木りなは早めに起きて耀司の家へ向かう!親に挨拶をして2階へ、耀司の部屋へ入ると相変わらずのヲタク部屋…。
「セラピョンばっかりじゃない…耀司…」
「うぅん…」
可愛い寝顔…一生見ていたいなぁ。私は耀司のことが大好きなのだ。幼い頃助けてもらったあの日から…先生に恋をしていることを聞いた時はショックを受けたけど…。それでも耀司のことが大好きだった…。
「耀司…お、おはよ…」
「ううん…」
耀司は寝返りをうってしまったもう!可愛いんだからっ!
「…もう!はーやーくーおきなさい」
「あと5分…」
肩をゆさゆさと揺らしてもむにゃむにゃと寝言を言いながら子供のような駄々をこねる。
「もう…は、早く…起きないと…え、エッチな…い、イタズラ…してやるんだから…!」
「そういうのいいから…」
耀司の体に跨り耳元で囁く心臓もバックバクで顔も真っ赤になりながらも勇気を振り絞ったが手をヒラヒラとされ冷たくあしらわれる。
「むきぃぃぃっ!早く起きなさいよバカ耀司ぃぃ!!」
「何事っ!?」
俺は目を覚まして横を見ると幼馴染のりながいた。えっ!?どゆこと!?なんでこいつが俺の部屋にいんの!?
「起こしに来てやったんだから感謝しなさいっ!」
「お、おい待てよ!」
そう言ってぷりぷりと怒りながら階段を降りていったりなを追いかけた。リビングに入ると今度は目だけ笑ってない母親が目の前に立っていた!
「あらぁ?耀司、二股とはいい度胸ねぇ?」
「か、かあさん…?」
めちゃくちゃこわっ!と、とりあえず右手にとってる包丁をしまおうか…誤って投げたら大惨事どころじゃすまないんで…
「確かにもっと人と仲良くしなさいとは言ったわ。でも二股はダメよ?あなただってそこまで馬鹿じゃないでしょう?」
いや違うから!だから包丁をしまって頼むから!!
「ご、誤解だ!これには深い事情があって…」
「ふーん?深く?なにかしら?」
「と、とにかく!変な意味は無いから!こいつが勝手に起こしに来ただけだし!」
「なによ!昔はいっつも私が起こしに来てたじゃない!」
「お前高校に入ってから起こしに来なかっただろうが!」
そう、中学まで叩き起され続けた俺だったが高校生になってからこいつは全然起こしに来なくなった。学校でも目を合してくれず会いに行ったらバーッと逃げ出す始末。それをどういう風の吹き回しだ!
「そ、それは…あれよ…その…」
顔を真っ赤にしてモジモジされるりな。なんだ?トイレか?
「私のことはいいのよ!それより耀司!二股ってことはやっぱり昨日の女とそういう関係だったのね!!」
「だぁぁっ!これ以上話をややこしくすんな!」
なんとか考え直す余地を…おれに!!
そう思ってると我に返った母さんは俺に聞いてきた
「そういえば耀司、今日友達と待ち合わせしてたんじゃなかったっけ?」
そして俺は日付を見た。今週の土曜日…友達と約束…まさか!!
「あぁぁぁぁぁ!!セラピョンのライブ一緒に行くって約束してたんだったァァァァァ!」
俺は急いで顔を洗い歯磨きを終え、セラピョンの服を着て慌てて家をでた。
「待ちなさい耀司!セラピョンってなんなのよ!!」
「いってきまぁぁぁす!」
「待ちなさい耀司ぃぃぃ!!」
俺はりなを完全に無視して全速力で自転車をこいで行った
ーー
「おっ、遅かったな。」
ニヒルな笑みを浮かべる男がいた。こいつが待ち合わせていた人物である!
「すまん、待ったか?」
「ううん、今来たとこ♡」
手を絡めてぐいっと顔を寄せてくるくそっ!イケメンめ…男でもドキッとするからやめろ!それに近くの女子から黄色い悲鳴が上がってるだろどうしてくれる!
「そういうのいいから。」
「えっ?これお約束じゃね?」
「男同士でやってたら気持ち悪くてしょうがねぇわ!!」
あははっと笑っているこいつは如月 忍(きさらぎ しのぶ)、中学校からの俺の大親友で高校は別れちまったけどずっと親友でいてくれるめちゃくちゃ良い奴だ。赤い髪が目立つし、身長がめちゃくちゃ高くてイケメン、勉強こそ苦手だが運動は得意なんだ。めちゃくちゃモテてるんだけと当の本人は興味無いらしい。それにこいつの3次元で愛してる人はただ一人
「今日は待ちに待った…」
「「セラピョンの生ライブ!!」」
そう、俺たちはセラピョンの大ファンでグッズやCDはもちろん、DVDも特装版と通常版と保存用も買っているほどだ。忍に至ってはライブはもちろんのことサイン会、握手会、チェキ、有料配信ライブなど全て参加する、言わばセラピョンガチ勢だ。俺はと言うと生ライブは初めてで、今日という日をとても楽しみにしていたのだ!
「時間が惜しい!早く行くぞ!耀司氏!」
「もちのろんです師匠!」
そうヲタ活動をしてる間は忍は師匠で俺は弟子の耀司氏になるのだ!
ーー
セラピョンは今大人気のアイドルでピンク色の髪のツインテールが可愛くて、
会場へ来ると席はもう満席なんとか後ろの席に座り待つことに。師匠の方をみたら大きな紙袋が用意されていた。それもちゃっかりセラピョンの。
「ってか師匠買いすぎ…」
会場入口の所にセラピョンの商品が沢山売っていたのでそれを買っていたのだ。
「何を言う!ここでしか買えない商品が多かったんだぞ!?それに見ろ!この抱き枕カバー裏面はなんと裸シーツなのだぞ!?」
「なに!!そんなのどこで売ってた!?」
裏面は見えないようにされていたが…くそう!見てみたい!!それに全く気が付かなった!てか俺も見てたけどそんなのなかったぞ!?
「ふっ、まだまだだな。セラピョンクイズというのがあってかなりの難問だったが10問全問正解で買える権利が得られるのだ!」
「ちなみに…おいくら?」
「聞くな!値段を聞くなどセラピョンに失礼だろう!それに、俺のお金は全てセラピョンのためにあるのだ!」
「さっすが師匠!」
周りからも、おぉぉぉ!と歓声の声が上がり
「あの難問を全問正解したのか」
「私も欲しかったー!」
「俺も手に入れたでござるよ!」
などという声も聞こえる。さすが中学校ではスクールカースト上位だっただけあってコミュニケーション能力はずば抜けて高い。
「ライブまであと少し、その間ファンとともに共有するのもセラピョンファンの役目だぞ!」
「一生ついて行きます!」
「はっはっは!一生ついてまいれ!」
「ちなみに後で裏面見せてもらうのは…」
「だめだっ!」
「ですよね!」
その後色んな話をしているうちにあっという間にライブの時間がやってきた。会場が暗くなり一点にスポットライトが集まった!ついに始まる!!と思ったがそこには誰もいない。
「あれ?」
「どうした?」
「まさかいなくなっちゃった?」
周りがどよめいてる中
『みんなぁ!お待たせぇぇぇ!!』
なんと後ろから現れたのだ!誰も予測なんてしなかったであろう、ファンが大盛りやがり!カメラマンも予測してなかったのか慌ててカメラを照明をセラピョンへやる!
「うわぁぁっ!」
それも俺の横がちょうど道になっててそこに現れてくれたのだ!そして順番にハイタッチしていく。そしてついにセラピョンとハイタッチ出来た!
「うわっ!お前ずるいぞ!!そっちにしとけば良かった!!」
「やったぁぁぁ!」
喜んでる間にセラピョンは壇上へあがった。そして深く深呼吸して…
『カメラマンさんすみません…どうしてもみんなを驚かせたくて…サプライズ登場しちゃった、テヘペロっ!』
そう言いながら舌をチロっと出した。それだけで観客は大盛り上がり歓声が会場中に響き渡る。
『じゃあ、早速始めるよー!まず一曲目!聞いてくださいーー』
そしてサラピョンのライブが幕を開けた!DVDで見るのと生で見るのとでは全く違っていた。周りの歓声、セラピョンのダンスのキレ、熱気、歓声にも負けない美しい声。スマイルやウィンク、指で銃の形を作ってバキュンとうつ仕草までファンサービスも半端ない!テレビではよく見れなかったことも生ライブなら全て見れる!凄い!やっぱり凄い!これがセラピョン!!
しばらく曲が続き数曲歌ったあとスタッフからセラピョンに紙のようなものが渡された。
「さて、ここでファンからの手紙を読んでそれを私が実行する!題してぇー」
セラピョンはマイクをお客さんの方へ向けてもう片方の手を耳を塞ぐようにした
「「セラピョンのこれ出来るかなあぁぁぁ」」
これはセラピョンのライブのお約束!配信だけしか見れない人たちのために作られたコーナーだ!なんてサービス精神!
「はい!ありがとぉぉっ!まず一枚目のお便りから!ファンネーム『セラピョン命』さんから!僕はセラピョンが奥さんになってくれたらと毎日そんな妄想をしてます…もぅえっちさんだなぁ…」
カメラに向かって指を指し、ニヤニヤと笑いながら人差し指でくるくるっとまわした。それだけのことなのに会場から歓喜の声があがった。
「お嫁に来てくれぇぇぇ!」
「私の奥さんになってぇぇー!」
という声も聞こえる。
「続き読みまァァス…と!いうことでセラピョンには僕が帰ってきたことを想定しておかえりと言った後に一言可愛い言葉を言っていただきたいです!とのことでぇす!」
「「セラピョンできるかなぁぁぁ?」」
「ん〜〜!できるぴょん!」
「「わぁぁぁぁぁぁ!!」」
基本できるぴょんなんだけど時々できないぴょん…って言う時もあるのでむしろそっちを聞きたいマイナーな人もいる。そういう人たちがたまに「エッチな声出して!」とか「スリーサイズを発表して!」とか変な質問をしてくるのだ。それはそれで面白いけど知りたいという気持ちもある!
「じゃあ、みんなぁ!せぇのって言うので、ただいまって叫んでください!そのあと、私が答えるので…じゃあ、いっくよー!せぇのっ!」
「「ただいまぁぁぁっ!」」
「おかえりっ、今日も頑張ったねっ!…ご飯にする?…お風呂にする?それとも…」
「「おぉぉぉぉぉぉ!?」」
「セラピョンにする?」
そう言って両手でうさぎ耳を作りぴょんっとはねた。もう会場の歓声が鳴り止まない、こんなにライブって半端ないんだ…DVDとはまるで違う!
「じゃあ、次、読んでくよぉぉ!ファンネーム『吾輩はセラピョン信者である』さんからーー」
ーー
それからファンレター少し読み、一時休憩が入り午後の部が始まる。
「いやぁ、可愛かったなぁ!」
もう満腹なんだけど?午後の部まで俺はもつのか!?ほんと最高だ!
「これだけで満足してはならんよ耀司氏」
「どういうことだ?」
そういって師匠は自分の番号の券を握りしめなにか決心したように目を燃やしていた
「まぁ、それは…午後からのお楽しみだ!」
ーー
「さぁて!午後からのお待ちかね!ライブ限定質問ターイム!!」
「「わぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!」」
さっきよりも大盛り上がりだがなんだなんだ!?
「これから私がこの箱の中から番号を引きますのでその番号の方は立っていただいて質問をする権利を得ます。」
そう、午後からはライブ参加者だけ特別にセラピョンに直接質問できるのだ!しかし時間が制限されているのでわずか3人だけ!
「じゃあ1人目!いっくよー!1人目はァァァ!」
「「だァれぇぇぇぇ!」」
「番号!11857番!」
「私だァァァァ!」
と向かい側の女の子が感激していた。うわぁぁぁだいぶほどとぉぉぉい!てかこの人数でたった3人なんて当たるわけがないだろぉぉぉぉ!?少し絶望をしながらも僅かな可能性にかける!
「では2人目ェ!これだっ!!えっと2人目はァァァァ!」
「「だァれぇぇぇぇ!」」
「番号!2250番!」
「拙者でござるぅぅぅぅ!!」
「おぉ!さっき師匠と話してた人だ!」
「よかったなぁ。」
師匠微妙な顔してる…そりゃそうか。いくら同志でも関係ない…。まぁ、こればかりは運だよなぁ…けど…だからこそ!どうか!最後の番号…来てくれ!
「最後の一人!誰になるのかなぁァァ!じゃあこれっ!…最後はァァァ!」
「「だァれぇぇぇぇ!」」
「番号!1280番!」
え?まて…俺の番号って!
「まさか…耀司!きたのか!?」
「俺だァァァァ!!」
俺はだっと立ち上がり券を高々とあげた!こんな奇跡あっていいのか!!やったぞ!俺…今まで生きててよかった…
「そちらの男性の方ですね!!おめでとうございまぁぁす!お名前は?」
「おれ!鷹木 耀司っていいます!」
「へっ!?よ、耀司!?」
「え…!?」
顔を一瞬赤くしたようにも見えた。がすぐに戻った…気のせいかな?それよりも!え?今俺の事…呼んでくれた?俺の事呼び捨てで呼んでくれた!?嬉しい!!感激だァ!!しかし周りは少し異様な空気が流れていた。そりゃそうだ。唐突にセラピョンが名前を聞き返すなんでなかなかない。するとそれを察したように咳払いをした
「コホンっ!じゃあ耀司くん、質問ターイム!」
横にいたスタッフからマイクを渡された。やばいっ…当たるとは思ってなかったから何も質問考えてなかった…えっと…えっと!
「えっと…俺…ずっとセラピョンのファンで…でもなかなかライブに行けなくて…今日、初生ライブだったんです…でもライブを見て俺っ!生で見た方がすっごい可愛いなって思って!!歌も凄くて、ダンスもカンペキ!もっともっと大好きになりましたァ!!」
周りがシーンと静まり返った。すると師匠がアッハッハッハッハッ…と笑った。それと同時に観客がワッと笑いだした
「それもう告白じゃねぇか!」
「あの子面白い!」
周りの人にそう言われて我に返った…あっ!これ質問じゃなくて告白みたいなもんじゃねぇか!俺は恥ずかしくなってチョコンっとすわった。うぅぅ…恥ずかしい…
「ありがとう!!これからもずっと私の事応援してねー!!」
そんな俺に笑顔で神対応をしてくれたセラピョン。あぁ…天使だ。これからもずっとファンでいよう。俺はもう一度立ち上がり手をブンブンと振った。
「こんなに素敵なファンがいてくれるなんて…嬉しい!!私のテンション爆アゲだピョォォォン!」
「まさか…来るのか!?いや…まさか!!」
それは師匠のみならずほかのファンのみんなやカメラマンも動揺していた。
「えっ!?なになにどゆこと?」
そういうと落ち着き始めた師匠が言葉を続けた
「セラピョンの爆アゲは…今までで生ライブでたった一度しかなったことがない…お前…初ライブで羨ましいぞ!!」
「え!?えっ!?」
「つまり!あの限定ソングを歌ってくれるんだ!」
「聞いてくださいっ!『好きになっちゃったんだもん!』」
「きたぁぁぁ!来たぞ!」
観客のテンションもカメラマンのテンションも最高潮!凄まじい爆発とともに歌が始まる。それは俺が今まで1度も聞いたことの無い歌だった!中には動画を撮る人、感動してる人もいた。俺は写真とかも忘れ、師匠と一緒に盛りあがっていた
ーー
「いやぁぁ…今日は神ライブだった…お前すごいな!どんだけ強運の持ち主なんだよ!」
「まさか…ハイタッチされた挙句、質問コーナーにまで選ばれるなんて…俺今日死ぬのかな?」
あまりの嬉しさにこれから最悪なこと起こるんじゃないかって思うくらいだ!
「そんなことねぇよ!さっ!今日は俺の家で朝まで語り明かそうじゃないか!!」
「そうだな!」
「楽しそうでなによりね。」
「あぁ!もちろん!今日は最高の一に…」
ちょっと待て…なんか聞き覚えのある声が聞こえたような気がする…うん、今振り返ったら絶対終わりだ…ここは何も言わずに帰ろう。
「ふぅん、よかったねぇ…それで?それが最後の言葉で良かったかしら?」
「ひぃぃやぁぁぁ!」
後ろを振り向くと鬼の顔になったりなが仁王立ちしていた。やっぱ最悪なことが待ってたァァァァ!!
「あっ!まちなさぁぁぁい!覚悟しなさい!耀司ぃぃぃぃい!!」
「相変わらずあの二人は変わんねぇな。羨ましいくらいだぜ。」
ーー
およそ数時間前、ライブが終わってからのセラピョンの控え室。
「はぁ…耀司ぃぃ…可愛すぎるぅぅぅぅ!!もう無理!今すぐヨシヨシしにいくぅぅ!!」
セラピョンは我慢できずドアに手を伸ばそうとするがマネージャーに止められた。
「ダメです世羅!ここは押えてください!」
「はぁなぁしぃてぇ!!」
わたしが耀司のところに行くのを全力で止めるマネージャーは平川 琴音(ひらかわ ことね)さん。私が人気じゃない時からずっとそばにいてくれた優しい人。
「だぁめです!」
「離しなさい!だってあんなに真っ直ぐに私の事褒めてくれて…それも私のファンって言ってくれたのよ!?もう我慢出来るわけないわ!」
「分かりますが、今この状況で出れば大騒ぎになります!それに、周りの目もあります!どうかここは…」
そう言われてはっとなって落ち着いた…椅子に座ってミネラルウォーターをぐいっと飲んだ。
「私は…約束したんだもの。もっと有名になって耀司の隣に立てる女になるんだもの。」
「もうあなたはそれ以上の女性になったのよ。彼が逆に隣に立てないくらい。」
マネージャーの言葉を首を横に振り彼女は否定した。
「私なんてまだまだよ。だからこんなんじゃダメ!もっと頑張って人気になって!耀司だけのアイドルになる!それが私の夢なんだから!」
「はぁ…もうあなたは耀司くんのアイドルよ?彼も言ってたでしょ?」
「ちがうの!一番をとった私を見て欲しいの!一番になった時私は…耀司だけのアイドルになるんだから。」
「世羅…」
「だから…もうちょっとだけ…待っててね。」
ーー
心の中
『ふんっ。』
髪を揺らし、たったっと歩く世羅。そう、セラピョンの招待は4人格目の女の子だったのだ。
『あ、あの…』
そして少し根暗ぎみの少女が出てくる。
『なに? 』
『ひっ!ごめんなさいごめんなさい…』
『あのねぇ!私は怒ってないったら!言いたいことがあるならはっきり言いなさい』
『耀司さんのこと…すごく、好きなんだね?』
そんな言葉に少しイラッときたのか世羅は大きな声で叫ぶ。
『あったりまえでしょ!!私は耀司のために生きてるんだから!誰にも渡さない!ほかの人格のヤツらにもね!!』
指を指した瞬間、ひっ!と驚いたがすぐ平常の顔に戻った。
『う、うん。応援してる…』
『あんたもライバルなんだからね!!』
『ええっ…私は…』
『あんただって好きなんでしょ!!』
『う、うん!』
そう、ここにいる人格全員が耀司のことが好きなのだ。性格は違えど心は同じなのだ。
『なら頑張りなさい。あんただって私なんだから!可愛いんだから。』
『…うん。』
『まぁ、もし私たちを好きになったらどうなるのか分かったもんじゃないけどね。』
『…いってくる。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます