第4話 新しいお姉ちゃん!?

「んー。」


目覚ましと共に目を覚ます、もう朝か…さすがにちょっと眠いなぁ。今日は華の金曜日!今日1日乗り切れば明日休みだァ!そんなことを考えていると、すんといい香りがしてきた。何だこの香り…珍しく和食か?味噌汁の匂いだ。いつもパンの匂いが強いのに。


「あっ、おはようございます耀司さん」


階段をおりてリビングに入ると目の前にはエプロン姿の綺麗な顔立ちの女の人がいた。んー、なんだろう…まだ寝ぼけてるのか?俺にこんな綺麗なお姉ちゃんいたっけ?


「きれいなお姉さんなんて照れちゃうなぁ。」


「えっ!?」


口に出てた!?いや、まさか…


「口にでてなくても顔に出てるよー?」


「あっ…あっ…」


なんか本音がバレたみたいで恥ずかしくなって口をパクパクさせてしまう。


「ふふっ、ごめんね朝から…お邪魔してまーす。」


「いやー、私和食作るの苦手でねぇ…助かるわぁ。あら耀司、おはよ。」


平気な顔で俺を呼ぶ母さん…いや、てことは夢じゃない!?じゃあこの子は!?


「かあさん?彼女は?」


「あら?あなたの彼女じゃないの!?」


「俺にこんな美人な彼女いたら学校中から虐められるわ!!」


「美人なんて照れてしまいます…。」


「あっ!」


今度は口に出てました!しかも照れたところも可愛い!何だこの子!女神だ!女神が降臨したぞー!


「お母さんにも紹介したけど、私は丹比 佐奈(たじ さな)前の学校のみんなからは、さなちゃんって呼ばれてたんだぁ。だからようちゃんは佐奈お姉ちゃんって呼んでね?」


「なんでだよ!」


姉弟じゃあるまいし…待てよ?丹比ってことは!これが三人格目の子ってことか!!髪型でこんな変わるもんかね!?昨日のガサツな感じとかその前のハキハキした感じとはまた違って優しいお姉ちゃんみたいな感じだ。

…ん?だったら俺たち同級生ですよね!?お姉ちゃんはおかしいでしょ…


「てかめちゃくちゃ美味そう!!」


机の上を見ると、卵焼きに焼魚、味噌汁にあったかそうなご飯!アニメでありそうな朝ごはん!こんな朝ごはんが食べたかったんだァ。


「よかった、喜んでもらえたみたいで。」


そう言ってエプロンをとって椅子に座った。俺の隣に座るのね…緊張して食べられません…


「食べられないの?しょうがないなぁ…はい、あーん」


あ〜ん…うむ、この卵焼きだし巻きだな!めちゃくちゃ俺の好みわかってるな…


「いやそうじゃなくて!自分で食べられるわ!」


「ごめんね!子供みたいだったからつい…」


高二の男子を子供扱いするとは…この人脳内年齢20代半ばか!?どんだけお姉さんなんだよ!


「そういえば時間大丈夫?」


時間を見るとまだ少し余裕はあるが念の為早めに出ておきたい。


「あっ!そろそろ準備しないとね。朝ごはん食べたら歯磨きして上に来てね」


「お、おう。てかそこまで子供じゃねぇ!!」


とはいえ着替えないといけないので歯磨きを終え2階へあがり制服に着替え…


「はい、ばんざーい」


「だから子供扱いするな!自分で着替えるから出てってくれ!」


「やだっ…反抗期!?お姉ちゃん悲しい…」


佐奈さんはなく素振りを見せるがわざとってことが見て分かる。


「いつからお姉ちゃんになったんだ!とにかく出てくれぇぇえ!」



ーー

はぁ、朝から散々な目にあった。それに学校まで一緒に登校してしまったし…何故か逆らえないんだよなぁ…お姉ちゃんみたいな感じだからかなぁ。


「おい耀司ぃ…この間から転校生と仲良すぎじゃね?」


「は?」


いきなり呼び捨てされた挙句なんだそのいわれ方は!いつから俺はラブコメの主人公みたいになった!?


「は?じゃねぇよ、デートは行くわ、丹比さんの家に呼ばれるわ、挙句一緒に登校だと?舐めてんのかぁ?」


「てか、転校生どころか俺にも話しかけなかったヤツらがどういう風の吹き回しだ!」


それよりもどこ情報でそこまで流れてんだ!まぁ、初日もその次の日も知り合いに会わなかった…とはいえないけどな!てか、なんで俺が喧嘩売られなきゃならない!俺だって好きでやってる訳じゃ…まぁ、嫌じゃないけど…


「うるせぇ!俺にも紹介しろ!!」


「うるせぇのはお前だろ!」


てかお前誰だよ!同じクラスだけどわからん!


「俺は財前 優真だ!仲良くなったら絶対俺に紹介しろよ!」


「紹介も何も既に名前も知ってんだろが!」


「朝からうるさいぞお前ら〜。元気なのはいいことだがHRでは静かにしてくれよー。」


山城先生が来てくれたおかげでなんとかなったが。まったく…


ーー

「…ったく。飛んだ八つ当たりだ。」


あの件以来、誰も話しかけなかったくせに凄まじい手のひら返しだ。あの〜あれだ。今まで仲良くもなかった同級生が数年後テレビで有名になった途端、取材で親友面するやつ的な?

まぁいい。お昼だし購買にでも行くか。そういえば佐奈さん、朝早くから来てたっぽいけど弁当あんのか?


「ごめんね、やっぱり急に行ったの迷惑だったかな…」


と噂をすればなんとやらそっちから来てくれたのなら都合がいい。


「佐奈さんは弁当もってきてんのか?」


「うん、耀司くんの朝ごはんのついでに作っておいたんだ。耀司くんの分もあるよ。」


「マジで!?」


嬉しい!朝ごはん美味かったし昼ごはんが美味しくないわけがない!ただここで問題がひとつある。


「耀司くんの朝ごはんのついでぇ?」


うっ…やっぱり…


「てめぇ!一緒に登校だけじゃ飽き足らず朝ごはんまで…いや待てよ…貴様!!モーニングコールまでされたんじゃないだろうな!?」


「え、えーと…」


ほぼ図星すぎて何も言えねぇ…なんだよその妄想力!その才能を別の所へつかえねぇのか!?


「リア充に死を!!」


「うぉぁぁあぁぁ!」


ってかいつの間に増えてんだ!?さっき1人だったのにクラスどころか学年全員敵に回してんの俺!?


「耀司くんっ!?」


俺は佐奈さんの手を握ったまま階段へ向かって逃げた上なら誰もいないはず…


ーー

とりあえず屋上へ逃げ込んだけど…晴れててよかったぁ…雨だったらにげばがなかった。屋上は基本鍵が必要だ。だが俺だけはその鍵を持っている!理由は聞くな!長くなる。


「はぁ…はぁ…ごめんね…巻き込んじゃって…」


「う、うん…それよりも耀司くん…その…」


「どうかした?」


「その…手…を…」


手?ってあっ!無自覚だったけど普通に手ぇ握っちゃってる!


「す、すまんっ!」


俺は慌てて手を離し謝罪をした。佐奈さんは一瞬驚いて急いで首を横に振った。


「う、ううん!大丈夫だよ。ただ…びっくりしちゃって…」


「ごめんな…あと弁当…」


「あっ…」


中を開けると予想通り弁当は少しグチャっとなってたがまぁ、ごっちゃ混ぜになってなかっただけ良かった。


「ほんとごめん!せっかく俺なんかのために作ってくれたのに…」


「ううん!全然!むしろ嬉しかったというか…」


「ん?なんか言った?」


「ううん!なんでもないよ!」


自分の手を優しく握りクスクス笑っている。人に手ぇ握られるのってそんな嬉しいもんかね?女子はほんとにわからん。


「さて、早く食べねぇと昼休みなんかあっという間だ。食べようぜ!」


「うん。」


さて、弁当を見ると朝作ってただし巻きと、唐揚げ、アジのフライ、色付けにトマトの乗ったサラダ…他にも色んな料理が入っている。豪華な弁当だ。さて、手を合わせてっと…


「いただきます…ん〜まっ!!」


「ほんと!?」


「おう!朝の卵焼きはもちろん、他の料理も…まて、これ全部手作りか?」


さっきから見る限りうちにはなかったもんばかりだ。まして冷凍食品でもこんな豪華にはならない。


「うん、そうだよ?」


「マジか…朝から大変だったんじゃねぇか!?」


「ううん!私お料理をするのが大好きで今日も朝4時くらいから起きて耀司くんの所へ来たんだよ!」


「え!?じゃあ寝てないんじゃないか!?」


「ううん、ほかの人格の時はずっと休んでるからそうでも…」


「そっか。…いやいや!だからって身体が休まってないだろ!頭かせ!」


「へっ!ひやぁぁっ!」


とりあえず膝の上に乗せて休ませないと!多重人格でも大変なのにそれ以上に無理させたら体の方がもたない。


「俺の膝、硬かったらごめん。だけど少しでも休んで欲しい。」


「私は大丈夫だよ?」


「まぁ、お弁当作ってくれたお礼?もちろんちゃんとしてモノで返すよ!?」


「ふふっ、別にお返しなんていいよ。そんなつもりで作ったんじゃないし…これだけで十分。」


すうっと深呼吸をして目を閉じる佐奈さんこうやって見るとお姉ちゃんというより妹みたいだ。


「…そっか。時間が来たら起こしてやるから寝てていいぞ。」


「うん…あのころと変わらないね。」


ボソボソっと何かを言った佐奈さん、俺には聞こえない声だったので思わず聞き返した。


「え?」


「う、ううん!食べてすぐ寝たら牛になっちゃうかもねって…」


「それ迷信でしょ。」


そんなことを言っていたが彼女の顔を見るとすぅすぅと可愛いも息をたててぐっすりと寝ていた。


ーー


「そろそろ起きろ。授業に遅れるぞ?」


ゆさゆさと肩を揺らして佐奈を起こす。このままずっと寝顔を見ていたかったが仕方ない。


「んっ…あっごめん!ずっと寝てた!」


「ううん、ぐっすり寝てたから…よかった。」


「あぅぅ…恥ずかしい…お姉ちゃん失格だ…」


あわあわっと頭を抱えて蹲っていた。可愛い。


「そういえばなんでお姉ちゃん?なんかそういうふうにしなきゃ行けない理由があるの?」


「理由というか…なんというか…」


「なんでなんで?」


「だって…君が年上の方が好きってあの時いったから…」


「え?」


ボソボソっと言われたのでよく聞こえなかった年上がなんとかって…?


「なんでもない。耀司くんが弟みたいだからお姉ちゃんになろうかなって!」


「なんじゃそら!」


「あはははっ…はぁぁ…そろそろ戻ろっか。」


スカートをパンパンっとはらって俺に手を伸ばしてきた、俺はその手を取り言葉を続ける。


「また戻ったら何言われるか…」


「大丈夫…今度はお姉ちゃんが守ってあげるから。」


「?」


なんだろう、今度はって言葉が少し強調されてたような気がする。俺、やっぱり何か忘れてるのか?


「あのっ!」


「ん〜?」


「佐奈さん…俺、もっとあなたのことが知りたいっ!」


「えっ…。」


やべっ!この言い方だとなんか遠回しの告白、またはセクハラだと思われちまうじゃねぇか!

『えっ、なに?気持ち悪いんだけど?』とか言われかねないじゃねぇかァァァァ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る