41.初めてのパーティーⅢ
王女が去って行った後、安どした様子のアンドレイ、アンジェと話をする。
「カルム、ありがとう。」
「問題ない。アンドレイは大丈夫か?」
「うん…。ごめん。」
「謝ることはない。人見知りは年を取れば勝手に治るだろう。」
「ありがとう…。」
「それよりスローリー侯爵家はどんな家なんだ?」
「父上たちが所属する派閥に敵対している”貴族派”の中心人物だよ。」
「貴族派って?」
「王様中心の政治ではなく貴族中心の政治を目指している派閥だよ。裏ではかなり危ないことでお金を稼いだりしているみたい。」
「そうなのか…。」
ダグラス君は普段から周りの欲深い人間に煽てられてきたのだろう。そういう意味では彼も被害者なのかもしれない。
「他にも派閥ってあるのか?」
「あるよ。父上たちが所属する”王族派”、スローリー侯爵が中心の”貴族派”の他に、”神殿派”っていうのがあるよ。」
「良い人たちなのだけどなんだか不気味なのよね…。」
アンジェも知っているようだ。
「神殿勢力を政治に招くと教国の支配が及ぶからあまり大きくない派閥だけどね。」
教国とは神聖メンソン教国のことで、メンソン教の教皇が治めている国の事だ。
神かどうかも分からないやつのことを崇めている国など、怪しくて信用できるわけがない。神殿派とはあまり関わらないようにするか。
王女が去ってからしばらくして、父様達が戻ってきた。
「カルム、いい子にしてたか。」
「アンドレイ、お友達は出来たかい?」
「アンジェ、男に言い寄られてないか?」
父様、グルーブ子爵、クルール公爵の三人が呑気な顔で声を掛けてくる。
「「「問題ありません。」」」
少し苛立ったが、笑顔で返事をする。
「そろそろ終わりの時間だからね。みんなしっかり食べた?」
「「はい。」」
子爵の声に俺以外の二人が返事をする。俺はまだ食べ足りなく肉を口に入れたところなので返事が出来なかった。
「おいおい、カルムはまだ食べ足りねえのか。お前の子供はどうなってんだ。」
「きっと成長期なんだね。」
公爵と子爵が微笑んでいる。
「すみません。」
飲み込んだ後、一応謝っておく。
「カルム、それぐらいにしておけ。後からうちの屋敷にこいつらも呼ぶから、そこでまた食べればいい。」
「分かりました。」
父様にそう諭され、大人しくうなずく俺。
「え!?お邪魔しても良いのですか!?」
代わりに父様のファンであるアンジェが興奮して父様に詰め寄る。
「あ、ああ。昔の仲間で集まって酒でも飲もうと思ってな。」
「アンジェ、こいつにそんなに近寄るな!」
父様は若干引き気味で、公爵は父様にキレ気味だ。
「何はともあれ、そろそろ帰るから準備しておくんだよ。」
子爵がそうまとめた。
その後しばらくして、俺達は会場を後にした。
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