37.初めてのパーティーⅠ
次の日が訪れた。パーティーは昼時に行われる、所謂ランチパーティーなので午前中のうちに準備を済まし会場へ向かう。
到着し、使用人に案内され会場の中に入ると、中にはもうたくさんの人がいた。参加しているのは全て五歳の子供とその親で、ほとんどが貴族でありその他は大商人だそうだ。
会場を探すともうアンドレイは来ており、しばらくするとアンジェもやってきた。
「お父様、こういう場ではどのように振舞えばいいのでしょうか。」
「こういう時は同じ派閥で固まるのが普通だな。後で呼ぶからカルムはアンドレイ君とアンジェリカ嬢と喋っていればいい。」
「分かりました。」
父様はそう言うとさっさとヨハネス子爵とクルール公爵に会いに行ってしまったので、俺は俺で子供同士集まることにした。
「一昨日ぶりだな、アンドレイ。アンジェは昨日会ったばかりだな。」
「カ、カルム君…この人は?」
「こんにちはカルム。この人を紹介してくれない?」
「いいよ。アンドレイ、この子はアンジェリカ。クルール公爵家の長女だ。アンジェ、こっちはアンドレイ。グルーブ家の長男だ。」
「あ!クルール公爵様の子供だったんだね。どうも、父上からお話は聞いてます。アンドレイと言います。よろしくお願いします。」
「私はアンジェリカよ。こちらこそよろしくね。あなたはグルーブ子爵様の子供なのね。私もお父様からお話を聞いているわ。私たちお友達にならない?」
「ぜひよろしくお願いします。」
「敬語はダメだからね?アンジェってよんで。」
「…うん、分かった。僕のこともアンドレイって呼んでね。」
「分かったわ。よろしくね。」
そう言って握手をする。アンドレイは人見知りが大分ましになったようだ。アンジェとの相性もいいのだろう。
「それにしてもこの料理は美味いな。」
「宮廷料理人たちが腕を振るって作った料理だからね。」
「使われている食材も最高のものだわ。」
五歳児三人で料理に舌鼓を打つ。ビュッフェ方式に並んでいる料理はサンドウィッチやフランクフルト、トーストやお茶請けのお菓子のような立ちながら食べられるような物ばかりだが、どれも材料と調理にこだわった最高級の物ばかりだ。普段のパーティーを知らないので分からないが、恐らくここまでではないだろう。
五歳の子供にその贅沢さが分かるはずがいないだろうが、それほど五歳の誕生日というのは特別なものなのだろう。
三人でご飯を食べながら話をしていると、多くの人が俺達三人に挨拶をしに来る。公爵令嬢であるアンジェに来るのは理解できるが、俺やアンドレイにも結構な数が、それも伯爵や侯爵など格上の貴族が続々やってくる。
恐らくグルーブ子爵が言っていた「力」のせいだろう。普通は下位貴族であるこちらから挨拶に行くべきなのだろうが、こうなることが分かっていたので父様もそうさせなかったのだろう。
なぜ一緒に挨拶の対応をしてくれないのかは分からないが、俺たちの社交性をを買っているということにしておこう。
みんな自分の娘や息子を紹介してくる。アンドレイは流石におどおどしてしまっているが、代わりに俺とアンジェが適当に流していく。
ひと段落が付いたところで、司会の人が声を張り上げた。
「国王陛下と第三王女殿下のご入場です。皆様、ご注目お願いします。」
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