27.ステータスの詳細
ワイアット兄様と分かれたあと軽く体を流してから部屋に戻った俺は、すぐにベッドに寝転がりステータスを開いた。
「『ステータス』」
【名前】カルム・フォン・マンダリン
【種族】人族(人間) 【性別】男 【年齢】五歳
【称号】男爵家三男 神童
【レベル】1
【体力】55
【魔力】62
【筋力】31(38)
【敏捷】40(41)
【知力】231
【魔法適性】絵画魔法
【スキル】 叡智Lv.10(MAX)
具現化Lv.1
算術Lv.8
絵画Lv.9
そして絵画魔法の詳細を開く。
『絵画魔法』
Lv.1 筆に魔力を付与し、魔力を含む絵を描くことが出来る。
元々自由に魔力操作が出来ていたのが今は出来なくなっているのは、この制限がかかっているからだろう。ステータスを得た帰りに指から魔力が流れていたのは、単なる偶然によるものか、もしくはうっすらと体が覚えていたからだろう。少なくとも自分で意識して魔力を操作したのではない。
それにしてもこの魔法、これは魔法と呼べるものだろうか?ただ特殊な絵が描けるだけだ。
何か関係ありそうなスキルを探す。
『絵画』
絵を描くことが出来る。レベルに応じて熟練した技を使うことが出来る。
これではないな。ではこっちだろう。
『具現化』
魔力を含む絵を具現がすることが出来る。レベルに応じて複雑な絵を具現化することが出来る。
これだな。このスキルが無いと俺のユニーク魔法は何もできない。
俺の魔法は「絵画魔法」というよりも「具現化魔法」といったほうがいいだろう。この文を見る限り、魔力を含んでいるのなら自分が描いた絵以外も具現化することが出来そうだ。
俺は試しに近くに置いてあった紙に赤い絵の具で火の絵を描く。
絵に魔力が含まれていることを確認してから、スキルを発動する。
「『具現化』」
すると火の絵が描かれた紙が本当に火に代わり、掌の上で燃え尽きた。
「なるほど。絵が描かれた紙が変化するのか。それなら…」
それから俺は色々な絵を試してみる。
実験の結果、全属性の魔法を具現化することが出来た。しかし、炎を大きくするなど、少し複雑な絵にはまだ魔力を乗せることが出来ないようだ。『絵画魔法』のレベルが低いせいだろう。
鉛筆を使って描いてみても無理だった。今はステータスに書いてある通り筆を使ってしか出来ないのだろう。
自身の魔法について検証が終わった俺は、ずっと気になっていたものを調べることにした。
『叡智』。
何故かレベルが最大の状態で授かった謎のスキル。
恐らく、転生する直前に上位神が「用意した」ものとはこれのことだろう。
調べるために詳細を開く。
『叡智』
知識を得ることが出来る。レベルに応じてより多くのことを調べることが出来る。
知識を得ることが出来る?Go○gleみたいなものか?
取り敢えず使用してみよう。
「『叡智』」
すると、脳内に無機質な女性の声が響く。
「何についてお調べしますか?」
ほう、人工知能まで搭載しているのか。いや、神工知能か?
「前世で俺が暮らしていた世界の名前は?」
「gx-11、通称ギャラクシアです。」
「今住んでいるこの世界は?」
「gy-34、通称ガーイェーです。」
ガーイェーか。なんだか言いにくい名前だな。
「アルファベットと数字に意味は?」
「特にありません。個体番号です。」
「そうか。」
…使える機能だな。
あの神が寄こしたものなのであまり信頼は出来ない。どうせ裏があるのだろう。が、使えそうなことに変わりはない。
よく考えてみると、前世で身に着けた技や前世の神がくれたスキルは俺の役に立っている。現世でも自分に合った力を貰ったが、それ以上に力を制限されている。
何をするにしても才能頼り、つまりステータス頼り。そのステータスは「神」から授かるものなので、世界の誰しもがその「神」を敬っている。
そもそも神にできるのは「物事が起こる確率を操作する」ことだけであるはずだ。人々の「才能」を管理しているのはどう考えてもおかしい。
「『叡智』、聞きたいことがある。」
「何についてお調べしますか?」
「この世界の「神」は本当に神なのか?」
「…分かりません。」
「分からない?」
「はい。」
答えられない、ではなく、分からない、か。
本当に神ではないかもしれないな。
神かどうかもわからないが、そいつは人々の才能を管理して自分を崇拝するように仕向けている。
どうやらこの世界でも『神』は敵であるようだな。
そんなことを思いながら、俺は自分がこれからどうするのかを考えていた。
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