23.ステータス取得Ⅲ
屋敷に帰ってきた俺は、豪華な夕飯を食べ家族と団欒を楽しんだ。
皆が食べ終わり一息ついたところで、ワイアット兄様が
「なあカルム!そろそろステータス見せてくれよ!」
と言ってきた。母様とオーウェン兄様も頷いている。父様は何故か申し訳なさそうだ。馬車の中で俺が黙っていたのを落ち込んでいると思ったのだろうか?
「いいですよ。『ステータスオープン』」
【名前】カルム・フォン・マンダリン
【種族】人族(人間) 【性別】男 【年齢】五歳
【称号】男爵家三男 神童
【レベル】1
【体力】55
【魔力】62
【筋力】38
【敏捷】41
【知力】231
【魔法適性】絵画魔法
【スキル】 叡智Lv.10(MAX)
具現化Lv.1
算術Lv.8
絵画Lv.9
ステータスを開示すると、家族は目を輝かせ、父様も呆気にとられていた。
「これは凄すぎて逆に異常だ…。」
「神童ね!カルムなら当然だわ!」
「知力がすごいことになってるね…。」
「ユニーク魔法だ!しかもユニークスキルが二つも!…あれ?なんでこんなにレベルが高いんだ?」
家族が皆驚いている中、俺は馬車の中で得た自身のステータスについての一つの答えを思い返した。
俺のステータスがおかしいのは、平たく言えば前世の記憶を持っているからだと思われる。
ステータスを所得した際に制限された能力は、魔力・筋力・敏捷、そして魔法適性である。これらは、俺がこの世界で生まれてからこの体を鍛えて得た力だ。
レベルが高いスキルは、一つを除いて俺が前世で鍛えていた能力である。前の世界で得た力を、この世界の神は制限できないようだ。
知力が制限されなかったのはよく分からない。俺は生まれてすぐの状態で物事を考えることが出来た。そもそも赤子の脳でそのようなことが出来るはずがない。知力は魂のようなものに付いているのだろうか。
「いやあ杞憂だったな。馬車の中で黙ってたから心配したんだぞ。」
父様が話しかけてきた。
「すみません。」
「いいけどな。それより絵画魔法か。カルムにぴったりだな。」
「カルムは絵が上手だものね。」
「僕も描いてもらいましたが本当にそっくりで驚きました。」
母様とオーウェン兄様も入ってきた。
「ありがとうございます。」
そこでワイアット兄様が父様に質問した。
「お父様。なぜレベルの高いスキルがあるのですか?」
「ああ、それは父さんにも分からない。前世に原因があると言われているが、誰も前世の記億なんて残ってるわけないからな。もしそうなら、カルムも前世は絵が上手くて算術の達者な賢者ってところだな!」
「カルムは前世からすごいんだな!」
ワイアット兄様は何故か嬉しそうにしている。
「カルム、それより聞いてほしいことがある。」
父様が急に真剣な顔で俺に話しかける。
「なんでしょうか。」
「お前のステータスは人に見られると厄介になことになるかもしれない、そんなレベルだ。あまり人に見せびらかすんじゃないぞ?」
「大丈夫ですよ。こんな個人情報の塊、家族以外の誰にも見せませんよ。」
「まあお前なら心配することはないけどな」
そう言って父様は俺の頭を撫でてきた。俺は恥ずかしい思いをしながら、しかしその分厚くて硬い手を黙って受け入れていた。
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