18.実験Ⅱ
その時、横で話を聞いていたオーウェン兄様の家庭教師の男が声をかけてきた。
「本当ですか?」
「はい。『身体強化』ですよね?私は火属性と風属性が使えますので、その二属性の『身体強化』を使うことが出来ます。人にかけることも問題ありません。」
「そうですか!では二つ同時にかけてもらえますか?」
「二つ同時にですか?大丈夫ですよ。」
よし。流石
「ではお願いします。」
「はい。ではいきます、『身体強化』『身体強化』。」
男が魔法を発動すると、体が熱くなり、それと同時に軽くなった。母様に教えてもらった、火属性と風属性の特徴が表れているのだろう。
「いかがですか?」
「はい、体が熱く、軽くなっています。大きな力が出せる気がしますね。」
「カルム様はまだ二歳でいらっしゃるので三十秒が限界だと思われます。お気をつけ下さい。」
「分かりました。」
三十秒のうちに俺は魔力を感じなければならない。
体から力が沸き上がり、万能感さえ感じる。しかし、その力はあくまで俺自身のものが引き出されただけである。魔力は家庭教師の男が使用している。
ふと、体の中に、俺自身のものではない力を感じる。どうやら俺の体に何らかの影響を及ぼしているようだ。
その力を認識し、体から追い出そうと意識する。、、、難しいが、不可能ではない…。
完全に追い出したところで、俺は力を出し切って倒れてしまった。体が異常に熱く、心拍数も跳ね上がっている。
「大丈夫(ですか)!?」
心配した二人が駆け寄ってくる。
「なんともありませんよ…。ありがとうございました…。楽しかったです…。」
俺は深呼吸をして心拍数を整えながら返事をする。家庭教師の男がほっとした顔をしている。
「無茶するんだから。」
「はは、すみません。ありがとうございました。どうか気にせず鍛錬にお戻りください。」
立ち上がりながら礼を言う。
「本当に大丈夫なの?」」
「本当ですよ。」
それより、最後に魔力を感じることが出来た。すぐに次の段階に進みたい。
そそくさと書庫に戻ってきた俺は、本の続きを読む。
「魔力を感じることが出来たら、それを指先に集めるように意識する。」
さっき体から魔力を追い出した要領で、指先に集める。これはかなり精神力を食うな。
「その状態で魔法をイメージして詠唱すると魔法が発動されます、か。詠唱はイメージさえできていれば短くてもいいみたいだな。」
とりあえず俺は本をめくり一番初めにあった魔法を使うことにする。
「ええと、指先に火を灯すイメージで…『火よ』」
その瞬間、指先に火が灯ると同時に意識が薄くなるのを感じた。
ああ、さっきから精神力を酷使しすぎたな…。これはダメだ。
俺はそのまま意識を失い、書庫の床に倒れてしまった。
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