4.夢の中Ⅰ

 視界が晴れると、そこは真っ白な空間だった。


「ここはどこだ?」


 そうつぶやくと、後ろから返事が返ってきた。


「ここはあなたの意識の中よ。まあ夢みたいなものね。そんなことより、どうして病気を治療しないのよ。」


 振り返ると、そこには偉そうに俺を見下すクソガキがいた。


 すると、そいつは俺を睨みつけてきた。


「なんだ?」


「ここはあなたの意識の中。考えてることは私に筒抜けなのよ。」


 バレてたか…。


「そんなことよりあんたは誰なんだ?」


「ふふ、、聞きなさい。私はこの世界を管理している神、アーテニアよ!!」


 なんだと?


「は?なんだって?」


「その言葉使いは何?私は神よ!敬拝しなさい!」


 急に「私は神だ」なんて突拍子のないこと言われても…。


「それは本当か?」


「疑ってるの?わざわざあなたの意識に入り込んで思考を読んだりしてるのに?

とりあえず信じなさい。そして拝めなさい!」


 取り敢えずこいつの言ってることを信じるか、、、いないと思ってたんだが実際に存在していたとはな。…つまり優しかった俺の両親を見捨て、守銭奴どもに神輿を担がれている役立たずの間抜けがこの女というわけだな…。


「ちょ、どうしてそんなに怒ってるのよ。あなたの両親は仕方なかっ」


「その『神』とやらがわざわざ何しに来たんだ?」


 俺は飛び掛かりたい気持ちを無理やり抑えて聞いた。


「ふん、まあいいわ。」


 そこでこいつは軽く咳払いをして言った。


「あなたこのままじゃ本当に死んじゃうわよ?」


「それは理解しているが。」


「ちがう。あなたの寿命はあと五十年はあるの。でもこのままじゃあと数週間で死んじゃう。」


「寿命?」


「そう。あなたの両親は交通事故だったけど寿命を全うしたの。でもあなたは違う。このまま死んだら自然の摂理に逆らうことになる。」


「じゃあなんで俺は今死にそうになってるんだ?…というか自然の摂理って、、、俺の体の癌はどう考えても不自然に発生したが。」


「それは…。」


 なんだ?何か言いにくいことでもあるのか?


「おい、お前。」


「な、なによ。」


「吐け。」


 俺は頭の中でこいつを殴り倒す想像をしながら殺気を込めて言った。


「あ、あ……あんたが悪いのよ!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

長くなりそうなのでいくつかに分けます。






 


 


 






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る