最終章 ⑵

 入学式の前の晩。私は、気が高まって寝られなかった。モト君は私を見た時、どんな反応するだろう。ちゃんと笑顔になってくれるだろうかとか。もう、彼女居るんだろうか。シカトされたら、どうしよう。

 明け方まで寝付けなくて、私間違ってしまった。多分、うつ伏せに寝て、枕に顔を押し付けて寝てしまったみたい。顔を洗いに行った時、お姉ちゃんが私の顔を見て


 「絢 どうしたの、その顔。まぶたがピンポン玉だよ。アハーッ。わぁー、ぶさいく、ゾンビみたい。頭もボサボサじゃあない」


 この頃、遠慮なしに思ったことを言ってくる。でも、ひどいのは自分でもわかる。眼が重たくて、赤くなっている。タオルを絞って冷やしてくれたけど


 「駄目だわ、これは。私ねもう出掛けなければ。絢、入学式、午前中でしょ? こんな顔で久々の彼氏に会ったら嫌われるょ。今日は我慢しなさい。酷なようだけど、明日からもあるしね。わかったー。終わったら、真っ直ぐ帰って来るのよ。じゃあ、私は、行くね」


 私って馬鹿みたい。今まで、この日の為に懸命に頑張ってきたのに。


 お姉ちゃんの言う通り、顔をなるべく隠して、入学式に出て、サークルの勧誘の列の中を、泣きそうになりながら、真っ直ぐ帰ってきた。


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