1-⑵

 あの日から私は隣の水島君を、よくチラチラ横目で見ていることに気づいた。完全に意識してしまっている。私の名前は

本町絢もとまちあや うちの家は、昔、宿場町の江戸時代から続く商売をやっているので、私は近所のひとから「いとはん」と呼ばれている。そのことを1年2年の頃は、たびたび、からかわれたりしていたし、後ろに束ねた長い髪の毛を、すれ違い様にひょいっと引っ張られたりとか嫌なことばっかり。男の子は乱暴な気がして、好きじゃぁなかった。だから、私は束ねた髪の毛を前に持ってきている。3年生になって、私は、勉強が出来なかったし、暗いイメージだったからあんまり男の子がかまってこなくなった。


 だけど、水島君は最初から違った。いろいろ話しかけてくれるけど、そっけない。一言、二言だけ。けれど、私も、男の子と話すのは彼だけになっていたと思う。だから、好きというのじゃないと思うけど、なんとなく親しみを感じていた。けど、あのことがあって、私の意識の中で変わってきたのかも知れなかった。

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