本町絢 外伝 絢と僕の留メ具の掛け違い・・そして
すんのはじめ
第1章 1-⑴
前書き
初めてモト君と待ち合わせした時と同じように、柱の陰で来るのを待っていた。大学の学生会館の前、必ずこの前を通るはず。
その時、私はあの人を意識し始めた時のことを思い返していた。
彼はまだ私との留メ具を持っていてくれるのだろうか
- - - - - - - -
私が 、
どうしよう・・・。間違った。消せない。指でこすってなんとかなるかな。あー、汚い、仕方ないか。指まで真っ黒になっちゃった。まぁ、いいか、どうせ点数良くないんだから・・・。
1科目目が終わった時、
「本町、これ使えよ」
水島君がそばに来て、消しゴムをポンと机の上に置いてくれた。それを見て私は少し戸惑っていて、なんか言おうとしていると
「早く、手を洗って来いよ」と続けて言った。
私はなんだか、言われたままにすぐに手を洗いに行っちゃったんだ。帰ってきて、その消しゴムをよく見ると、ナイフで切った痕があった。切れ端が半分よりも大きかった。あっ、と思って水島君に
「ありがとう、でも これって」
「いいんだょ、僕はあんまり消しゴム使わないから」って言って、小さな消しゴムの片割れを持って、笑ってくれた。
すごく、爽やかな笑顔。窓を背にしているから、よけい眩しい。この時に、私の中に、水島基がインプットされちゃったみたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます