第10話
ー目を覚ましてから3日が経った。
青髪の少年 ーどうやら名前はメェイェネルらしいー の看病によって肩の怪我は治り、体調も万全となった。前世では到底数日で治るようなものではなかったが、おそらくメェイェネルの魔法か何かが回復を早めたのだろう。
この3日間はレジスタンスの現状についてメェイェネルに事細かに聞いていた。
聞いた情報を整理すると、レジスタンスの構成人数は48人で拠点の数は現在稼働してるもので14 個、主な活動は破壊活動と物資調達らしい。
リーダーとアンフォルテについてはここのところ見ていない。どうも拠点は無数にあるらしく、この拠点はメェイェネルの主要拠点で他の人は会議や報告のときしか使わないようである。
この3日間でも何人かレジスタンスのメンバーがここに訪れたが、リーダーとすれ違いになったことを知るとメェイェネルに言伝を預けて去っていった。
「…うむ、怪我はなおったのようだね、もうじきアンフォルテがここにくるはずさ。完治には3日ていどと伝えていたからね。」
本を読みながらメェイェネルはそう言った。そしてその言葉に合わせたかのように拠点にアンフォルテが現れる。
「おう、3日ぶりだな。引き取りにきたぞ。メェイェネル、いけそうか?」
「うむ、
「よし、じゃあついてこい。…っとその前に作戦の説明をしとかなきゃな。」
と言ってアンフォルテは机に地図らしきものを広げる。
「今日は、っていうかいつもなんだがオレらがやるのは破壊活動だ。人がいれば助けるが基本的にそういう場所はハナっから避ける。助けるってのにケガさせちまったら元も子もねぇからな。」
「んで、じゃあ狙う場所はどこなのかってーと、兵器庫、工場、管理塔の3つだな。そして今日狙うのは兵器庫だ。」
そう言って地図上の街の外縁部を指さす。
「兵器庫は無数にあるんだが、今日はだいたいここら辺を叩く。」
「最近できたばかりのところだね。にげやすい場所だしぼくはわるくないとおもうよ。」
「ああ。そしてオマエはコレで兵器庫を破壊する、オレは機械兵を引きつける。つまり適材適所だな。」
そう言って渡されたのはいつぞやの爆弾。中心部に突起のようなものが付いており、おそらくそれが起爆のトリガーなのだろう。
「…まぁ説明はこんなもんでいいだろ、後はその都度指示してやる。」
「了解です、とりあえずやってみます。」
フンと鼻を鳴らして外へ出るアンフォルテ、これは付いてこいということなのだろう。それに従うように後を追う。そして外に出る直前、あることを忘れていたのに気づき、後ろを振り返る。
「3日間ありがとうございましたっ、メェイェネルさん!」
この3日間で彼から貰ったものは計り知れない。自分に返せるものがない今、せめてもの思いで感謝を口にする。
「気にしなくていい、それがぼくのしごとだからね。こちらもきみとの会話はそれなりにたのしかったよ。またいつでも来てくれたまえ。」
少しはにかみながらそう返すメェイェネル。そしてまた本に顔を向けページを捲り出す。
その様子にさらなる感謝を深めつつも、踵を返して3日ぶりの外へ顔を出した。
瓦礫と機械スクラップだらけの野外。かつていた街とは打って変わって雑然としており、足に伝わるとげとげとした感触はここが瓦礫の中心部であることを示している。
ーー俺は本当に街から抜け出すことが出来たのか
そして遠目に見える街。その光景はこの場所が確かに街の外であることを静かに証明していた。
「よし、とりあえず行くぞ。」
アンフォルテが走り出し、自分もそれに習う。しかし足場のせいかどうにもスピードが出ず、慣れた足取りのアンフォルテにぐんぐんと引き離される。
そしてあともう少しで街の中に入りそうといったところでアンフォルテが急停止し、物陰に身を寄せる。
遅れて追いついた自分も、それを見て近くのスクラップに身を隠す。
「…ここらから見回りの数が多くなる。街に入る以上絶対に見つかるんだができるだけ面倒事は避けたい。」
そう言ってアンフォルテは顔の動きで向こうを示す。恐る恐るそちらを覗いてみれば機械兵が何機か忙しなく動いていた。
「基本的に
ちらちらと機械兵を見ては機を窺うこと数秒。そしてどうやらタイミングが来たのか、アンフォルテは赤い残像を残しながら一瞬で遠くの物陰に移動した。
「速い、速すぎる…。」
己の目では到底追うことが出来ず、思わずそう呟いてしまう。このままあの速度で進まれたら、今度こそ見失ってしまうだろう。
そしてまたアンフォルテが移動したかと思うと、もはや視界から居なくなってしまった。
「…すまん、オマエは慣れてないし無理か。」
…と思ったら戻ってきていた。
「…あー、そうだな。オレが今!っていうから、それを聞いたらあっちの影に移動しろ。」
そう言ってアンフォルテは少し遠くの物陰を指さす。
「…えーと、だいたい何秒くらいでとかは…」
そこそこの距離、全速力で走り切れないこともないが問題なのは猶予時間である。
「まぁ、だいたい2秒?くらいで行ければ見つかるこたぁねぇよ。」
目算だと50m以上の距離、それを一般人の自分が2秒で走りきれないことは火を見るより明らかである。
「…すいません、無理です。」
「…そうか、じゃああそこの影は?」
「本当にすいません、無理です。」
「…」
最終的に落ち着いたのはすぐ近くの物陰であった。先程アンフォルテが移動した距離からすると短すぎる距離に自分が大分情けなく思えてくる。
「…力不足ですいません。」
「いや、皆最初はこんなもんだからな? ………たぶん?…慣れてくれば行ける、ハズ。うん、気にしなくていいぜ。」
反応に困ったように苦笑いするアンフォルテ。そして気まずさに耐えかねたのか機械兵の方を覗いては、今!と声を上げるのだった。
ーーーー
あとがき
( ̄∇ ̄*)ゞ〈忙しかった
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