第9話
「…ッッ!」
ズキリとした肩の痛みに目を開ければ見慣れぬ天井。起き上がろうにも身体が重く、頭がぼーっとする。
ーーここは、どこだ?…俺はどうなった?
はたして自分はどうなったのか、
「おう、起きたか。言葉通り助けてやったぜ、呼ばれてないけどなっ!」
首から上を動かして声の方を見ればなにやらか人々が話し合っており、その中で赤髪の少女がひらひらと手を振っている。
妙に見覚えのある少女、何処かで出会ったことがあるのかと記憶を掘り返す。
「なんだよ惚けた顔をして。もしかしてもう忘れちまったのか?オレだよオレ、レジスタンスのーー。」
レジスタンスーーそれを聞いた瞬間堰を切ったように失われていた記憶が脳を駆け巡る。
「…あん、ふぉるて。」
「そうだ、オレはアンフォルテ。機械王に弓引くレジスタンスの一員さ。…いやぁしかし良かった良かった。このままポックリ逝っちまうのかと思ったぜ。」
ーーそうか、俺は逃げれた、のか?
未だに実感が湧いてこない。
「…悪運の強い奴だ、アンフォルテに感謝しとけよ?街で倒れてたお前をここまで運んできたのはアイツだ、まだ死んでないから助けるって言い張ってな。」
そう言ってスキンヘッドの男がちらりとこちらに目を向ける。おそらくこの組織のリーダーなのだろう、圧力が半端ない。
「ほんとうによく生きているものだよ。血がたりない、魔力もからっぽ、栄養分もたぶんたりてないよね。ほとんど死んでたよ、きみは。」
背後から聞こえる舌っ足らずな声。今までまったく気配を感じなかった存在に驚き振り向く。
「痛ッ!!」
無理に動かしてしまったのか肩の傷が痛む。
「急にうごかないほうがいい、安静にしたまえよあんせーに。止血しかしてないからね。」
手に持った本から目を話さないまま注意する少年。青みがかったショートヘアーを携えた姿は見ようによっては少女に見える。言葉尻を汲み取ればおそらくこの少年が自分の処置をしたのだろう。
「…あぁわかった。治療は貴方が?」
「ぼかぁじぶんのやるべきことをやっただけだ、長もいっていたが感謝は彼女にするべきだ。」
アンフォルテの方に向き直る。
「この度はこの身を拾っていただき感謝申します、アンフォルテさん。」
「堅苦しいのは辞めな、こそばゆくて適わねぇ。あとさん付けも無しだ。」
「…ありがとう、アンフォルテ。」
おう、と笑顔でアンフォルテが返答した後、スキンヘッドが続けて言う。
「…さて、突然だがお前にはレジスタンスの一員になってもらう、拒否権はない。」
願ってもない要望に大きく頷く。
「役割は…そうだな、とりあえずアンフォルテについて行け。なに、働きは期待してねぇ、ただやるべき事を覚えろ。アンフォルテもそれでいいな?」
アンフォルテが頷く。
「ああ、オレが拾ってきたもんだしな。面倒と責任くらい見てやるさ。」
「…アンタらはどうしてそんなに俺を信用してくれるんだ?」
トントン拍子に話が進む中、先程から気になっていた疑問を告げる。
「…別に信用しちゃいねぇよ。ただ俺たちは長らく機械に虐げられてきた人間。人間同士で疑ってちゃあどうやっても勝ち目がないだろ?」
「…なるほど。」
ーー言われてみればそうか。機械側の人間なんて機械王しかいない、他にいたとしてもその数は少ないだろう。疑うだけ無駄ってことか。
「他に何かあるか?」
「…いや今のところは。」
「なら俺からは以上だ、詳しいことはアンフォルテに聞け。」
そう言った後、どうやら作業の途中だったのかリーダーは手元に目を向けペンを走らせ始める。
それを確認してアンフォルテの方に目をやると、アンフォルテがとことこと近づいてきて囁いてくる。
「リーダーはぶっきらぼうだけど優しいんだぜ、本人に言うと頑なに否定されるけど。」
「…確かに。」
「俺は優しくねぇ。」
「「…」」
「チッ」
なんだかんだで面倒見の良さそうなリーダーに少しほっこりしつつもこれからの事を考える。これから何をすればいいのか、どうすれば良いのか。やはりここは先達に聞くべきか。
「とりあえず身体を治せ、飯食って寝ろ。オレにはもう足でまといは要らねぇよ。」
「じつをいえば
返ってきたのはとりあえず身体を直せとの言葉とレーション。その優しさに心の中で涙を流しつつ、しばらくは身体を治すことに努めようと思うのだった。
ーーーー
あとがき
・感想、批評お待ちしております!お待ちしております!お待ちしております!
なんか薄い気もするのでもうちょい人物増やすかも?
ちなみに
リーダーの名前はミヒアド
少年の名前はメェイェネル
名前は語感だけで決めてます。
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