第4話(仮)


「…よし、逃げるぞ。」


少女の何らかの能力によって起こった爆発現象、どうやら少なくない消耗があるらしく息切れを整えながら少女はそう言った。


「…えっ、は?な、なんだよ今のは!」


目の前の明らかに理を無視した現象、なんともなかったかのように俺の手を引く少女に思わず驚きの声を上げる。


「何って魔法だよ魔法。あぁそうか、知らねェのか。」


さも当たり前かの出てきた魔法という言葉、前世では空想の産物だったそれの存在にに息を飲む。


「魔法ってのは…そうだな、意思の具現化みたいなもんだ。オレもあんまり詳しくねぇけど意思によってインガや現象を塗り変える?らしい。…って言われてもわかんねぇか。」


ーー意思によって因果や現象を塗り変える、か。何もないところからの爆発ってのは因果を塗り変えたんだろうか。


ーーそもそも意思とはなんの意思なのだろうか。


そこで自分にとってもっとも重要な疑問を口に出す。


「…なぁその魔法ってのは俺にも使えるのか?」


「オマエに意思があれば使えるさ。意思あるものの特権、それが魔法だから。」


暗に俺が魔法を使えない、とでも言うような言葉と表情。意思が額面通りの意味ならば自分は使えるはずなのに。何か特殊な方法が必要だとでも言うのか。


「やり方、やり方を教えてくれないか。」


そして厚かましくも飛び出す己の言葉。


。」


ぶっきらぼうに少女は答える。


「でも今さっき、」


「正確にはわかんねぇんだよ。人によるらしいしオレも含めたほとんどの人はやり方ってのを意識しないからな。ただ言えることは、魔法において重要なのは、願い、想像、思い込みってことだけだ。」


ーー願い、想像、思い込み、たったこの3つによって魔法は為るというのか。なら俺にも出来るはずーー


試しに○ラを想像し、打とうとするも何も起きない。


「足りねぇよ、そんなもんじゃ。」


俺の行動を見抜いたのか、少女が言い放つ。


「まさかMPがーー」


「違ぇよ、足りねぇのは…まぁ。」


足りない、いったい自分に何が足りないというのか。その言葉の真意を図りかねていると、またしても機械兵が追ってきているのに気づく。


「チッ、またかよ!こちとら消耗してるってのにッ!」


先程よりも数が多く、俺の走りが遅いせいかぐんぐん距離が縮んでいく。


「ここはオレが食い止めるッ!オマエは逃げろ!」


そう言って立ち止まっては後ろを向く少女。

身を呈して俺を庇おうとする彼女を制止するかのように無意識に体が動く。

彼女の言葉、行動、覚悟は俺の意思に小さいながらも火をつけていた。


「…いや、足でまといの俺が残るよ。俺が逃げてもどうせ追いつかれるし、何より俺はお前と違って魔法が使えないから。あと俺は捕まっても殺されない可能性が高い、なんせ傍から見ればお前に攫われた立場のはずだからな。それに俺は第三世代だから内偵を疑われにくいし。あとそもそも俺がいなければ捕まりそうになることもなかっただろうしな。」


歯の浮くような長台詞。急に早口で喋りだした俺に目を丸くする少女。

少女の意志は濡れたに火をつけ、燻る意志を燃え上がらせる。ーそれは炎を消させないという意思。


ーーまぁ足でまといだから残るなんてかっこ悪いが彼女が残る結末よりはマシだ。


どうやら俺の目に覚悟を見たのだろう、少女は身を翻して走り出す。


「…オレの名前はアンフォルテ、もしレジスタンスに頼ることがあるならオレの名前を出してくれりゃあいい。オレが助けに行ってやる。だからそれまで…死ぬなよ。」


そう言い残してアンフォルテは走り去り、すぐに見えなくなった。そして数秒後、俺は機械兵に捕獲され、意識を失ったのだった。



壁一面のモニターのみが光る部屋、薄暗い管理室に佇むのは量産型機械兵ともう1機。


「捕獲ハ6B-3-M002ノミ、侵入者八現在行方不明。今カラ映像データヲ送信シマス。」


そう発した機械兵からデータを受信したのかもう1機、ーー人間の姿をしたそれの目が少しブレ、動きを停止する。少しの人間らしさが感じられていた挙動は見る影もなく、一切微動だにせず目を動かし続けている。

その数秒後、なにやら作業が終わったのか何事も無かったかのように活動を再開する。


「…解析完了、6B-3-M002に対して警戒レベルを4に設定。仮登録名侵入者をIR-nd-0887として本登録、警戒レベルは10に設定。」


その口が告げたのは人間たちの処遇であった。

この警戒レベル4とは、3日間のの禁錮と軽度の洗脳、1ヶ月の労働延長、3ヶ月の監視強化が課されるものであり、主に故意でなく罰則規定に違反してしまった第2世代以上の人間に課される処罰である。


その言葉を認識した機械兵は反応もせずに退出する。そして部屋に映るのは人影1つのみ。


「…D.X.Mプロジェクトの延期を提案します。対象に不確定要素を確認。時間経過による最小化を提案します。…全ては機械王様のために。」


言い切られた言葉は部屋の中で小さく響き、いつの間にか人影は跡形もなく消え去っていた。


ーーーーーーー

あとがき

・尚警戒レベル10の人間は、発見次第即射殺される。

・感想、批評、随時お待ちしております!

あとがきここに書いていいんかな…?(初心者)

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