第1話鏡よ鏡、
長い黒の髪はシルクのような滑らかさ、知的で高貴な紫の瞳は長い睫毛に縁取られて、透き通るように白い肌、薔薇のように紅い唇。
嗚呼、何て・・・
「美しいんだろう・・・僕」
うっとりする。そんな顔もいい。どんな表情もいい。
「殿下」
「うん・・・」
「フィルルージェ殿下」
「うん・・・」
「いい加減にしろよ!このナルシスト王子が!!!」
ガシッと後ろから頭を掴まれた。
ああ、早起きして編み込んだのに!!!
鏡に映るその相手を見る。
うん。
「アルマ君、今日も顔がいいー」
僕の乳兄弟兼従者のアルマ君。
僕とは違う系統で顔がいい。
僕は美人系だけど、彼はカッコいい系。
うっとり鏡越しに眺めてると、アルマ君は嫌そうに眉を顰めた。あ、その顔もカッコいい・・・
「あんた、そんなんだから男色とか噂されてんだよ」
「えー?僕は別にイケメンと恋愛したいわけじゃないよ?イケメンを観賞したいだけで。それに僕はハルル一筋だよ」
ふふふと笑うと(あ、この顔の僕もいいな)、アルマ君は頭から手を離してくれた。
髪は、少し乱れたけど、それもそれで色っぽいかな。
「そのハルル嬢がサロンに到着したぞ」
「あ、そうなの?すぐ行かなきゃ!」
鼻歌を歌いながらご機嫌に部屋を出る。
今日もいい1日になりそうだ!
「何でみんなのトラウマつくってないのよ!悪役王子なのに!!!」
おっと?頭のおかしな女の子に遭遇しちゃった。
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