第56話 「神に封印された怪物達」
黒神アンユと草鬼裏ララが互いを見つめ合い
どちらも相手が動き出すのを待っている。
「これが強者同士の戦いなんだお……」
「違いますよイチロ君、アンユさんからは
余裕が感じ取れますが、ララは相手の威圧に
焦りを感じます」
ララの焦りを感じウタカタも冷や汗を垂らす。
「どうしたの……来ないの……?」
「――お前こそかかって来いよ!!」
「じゃ……遠慮なく……」
アンユはゆっくりとララの元に歩き出し
焦るララは地面から大きな岩を引きずり出して
アンユに投げつける。
『消滅印・展開』
アンユの右腕に不思議な模様が広がり
飛んでくる大岩がアンユの手に触れた瞬間に
跡形もなく塵となって消えてしまった。
「こ、降参しまーす!」
消えた岩の向こう側では草鬼裏ルルが
土下座していた。
勝てない事を確信したララは不貞腐れ
ルルと人格を交代した様だ。
ミカド達はアンユの圧倒的な力に引いている。
「なぁ……神の連中は全員そんなチートなのか……」
「チート……?」
「お前みたいに強いのかって事です」
「私は特別……でも……みんなあなた達とは
天と地程の差がある……」
「一年間の猶予……短い気がしてきた……」
ミカドは与えられた一年間の猶予では
埋まらない程の神の力を思い知らされる。
それから数日間ミカド達は鍛錬に尽力し
それをアンユは傍観し続ける。
ミカド達はアンユに協力を仰いだが
神は人類に直接修行に協力する事は駄目だとか。
お手伝いさんのマナと祖埜シツキを除き……。
一ヶ月が経った頃、進展しないミカド達に
痺れを切らして提案をして来た。
「強くなりたいなら……力を借りればいい……」
「でもお前は協力してくれないんだろ!」
「この大陸にいる……神では無い存在で……
神に匹敵する力を持つ存在……」
「そんなのいたら異形なんかに苦労しねーだろ……」
「封印されてる……でも溢れる力で
この大陸を護ってる……その名は……」
『
四怪守護獣とはミカド達が暮らすホムラ大陸の
東西南北の大陸の果てに神により意図的に
封印されている三人の半妖と一人の鬼がいる。
それぞれ東西南北は国の管理により立入禁止とされて
誰も柵の向こう側には入った事がなく、
入ろうとも思わないほど劣悪な環境だった。
それも四怪守護獣の影響だとか。
東の暴風が吹き荒れる大地に封印されるのは
『
西の灼熱の大地に封印されるは
『
南の大地を侵食する荒れ狂う海に封印されるは
『
北の生命を根絶させた極寒の大地に封印されるは
『
彼らの力を借りる事が出来れば
間違いなく成長できる……が、
戦闘になる可能性もあり最悪死も有り得るとか。
どちらにせよ今のままでは神々に殺されると
ミカド達の答えは決まっていた。
「行くしかねーだろ!」
「そう……なら待ってて……」
アンユはその場から姿を消し
数分後に戻って来た。
「これ……封印を解く鍵……貰って来た……」
四つの光り輝く玉がアンユの掌に。
「四怪守護獣を一人一人解放してる時間はない……
三人一組を四組作って……今すぐ……」
「三人って少なくないか……そんな強いやつと
戦闘になる可能性もあるんだろ……」
「だから……減るのは最小限……
でも出来るだけ強い方が良い……
永年の封印で弱体化している可能性もある……」
「そうなのか……?」
永年の封印から解放されたにも関わらず
圧倒的な強さだった『
思い出すミカド。
(あいつの力も借りたい所だな……
敵意は無さそうだし道中遭遇出来たらいいな)
もう一つアンユからの助言でチームを組む際に
それぞれの属性の優位性も教えられた。
――――――――――――――――――――――
火は水に弱い、水は雷に弱い、雷は地に弱い
地は木に弱い、木は風に弱い、風は氷に弱い
氷は火に弱い。
逆にすれば有利に。
光と闇は互いに有利であり不利であるが
火、水、雷、地、木、風、氷の属性には
可もなく不可もなく。
闘と念も互いに有利であり不利であるが
火、水、雷、地、木、風、氷の属性には
可もなく不可もなく。
――――――――――――――――――――――
他にも属性はあるが後の話と、はぐらかされた。
とは言え属性の優位性で単純な実力差は埋まらない。
それはしかたないとして……。
ミカド達は教わった属性の優位性も考えて
アンユの言う通り三人一組の四組を結成する。
東の魔禍嵐守千空ヤラズカゼは風属性。
お察しの通りヤラズカゼの娘である
『
属性有利の『
ヤラズカゼを何度もやり過ごした
光ノ神の眼を持つ『
西の龍巳御前は火属性。
有利属性で実力もある
『
ヒメ様をお守りするお!と懇願する『
ここ数ヶ月の鍛錬で技を習得し成長した
『
南の深淵は水属性。
『
『
万全な三人組。
ユウシンに至ってはどちらかと言えばペットの
黒雷の猛獣と化すキッペイが頼りだが。
北の永劫凍渡鬼レイホウキトヒメは氷属性。
『
『
三人で固めたチームだ。
チームが決まりミカド、ウタカタ、ユキマサ、
スズナヒメにはアンユから封印を解放する
鍵を授けられる。
光の玉を受け取ると手の中に入り
手の甲に不思議な模様が広がり中心に
鍵の文字が浮かび上がる。
「うわぁ~ダサぁ~……これ消えるよね~??」
スズナは服に手の甲をら擦り付ける。
「安心して……解放すれば消える……
これ……地図……」
ミカド達は四怪守護獣が封印されている
場所が記された地図を受け取る。
「これ……深淵だけ海の中って事か……?」
「そう……」
「荒れ狂う海の中潜って解放しろとでも!?!?」
「頑張って……」
「……」「……」「……」
無茶言うなと黙り込むミカド、ジン、ユウシン。
「荒れ狂う海位……神と戦うよりは
マシだと思う……」
「確かに……」
「だな、覚醒した状態ならなんとかなるだろ」
「ぼ、僕は……応援してますね……」
「何言ってんだ!お前も男なら!
荒れ狂う海を恐れず飛び込め!!」
「ユウシン君、間に受けなくて大丈夫だからね、
ジンになんかされそうな時は俺が守ってやるから」
「ミ……ミカドさん!!」
「な!?なんもしねーよ!!」
ユウシンはミカドの背中に周り
服を握りしめてジンから隠れる。
ミカドはユウシンの好感度をいち早くGETして
ニヤッとジンを嘲笑する。
それぞれ明日からの長旅に備えて
しっかり食事を取りしっかりと休息取る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます