制作大賢者

「お前、さっき、そう言ったか?」

「あぁ、そう言ったよ?それが」



——「創造神に似てるなぁ〜『真面目に考えて下さいよ、、、』—だった。


「異様に反応したね?なんかあるのかな?」

王子の問いかけに春は


「いや、ほら俺ら神様に異世界召喚されてるから神様関連のは気になるなぁ〜と思って」


「嘘は、ついてないようだねでも真実では無い、か本当に君の目的はなんなんだろうかね?」


「いわねぇよ信用してても、瑠衣にだってまだ言ってねぇんだ」

(正確には言う気が無い、だけど細かいことはいいだろ


王子の眼はそれでも真実を見透かそうとするがもとより張っていたシイナのプロテクトに阻まれ、——「これは無理だね」と呆れ返ったかのような事を言いそれ以上の詮索はやめた。

だが完全に諦めたのかと言われればそうでも無いようだが。


「それじゃあ王子さんよ、これは何かわかるか?」

そう言い金沢から強奪してきた魔槍を見せた


「これは、、、また随分と厄介なものを」

冷や汗を垂らしながらしてくれた説明によると、この魔槍からは呪いを感じ、呪器じゅきでは無いかと言った。


なんでも呪器はまだよくわかっていないようで使用者の制限は無く、呪いに耐性があるかその呪器に選ばれなければ使用後直ぐに死に至る物であるがその分効力は凄まじく、噂によれば聖器せいき魔器まぎにも並ぶと言う。


「これにそんな力が、、、じゃあ使い慣れてそうだったあいつは」

「あぁ多分選ばれたんだろうねそれにしても槍、か………」


「ん?『そこは私が、呪器は呪いをばら撒き数多の民を殺します。

だから止めなければなりません、その槍は所有者を、離れた為能力が制御されているのでしょう。

そこで魔器には聖器を、聖器には魔器をと人と魔人は対抗してきました。

そこで三つ目のそれは魔器や聖器にしか対抗出来ず、更にその対抗には魔器対聖器の歴史にある通り同じ武器での方が相殺力が高いのです、ですが殆どの時代で槍の呪器ならば同じ槍の聖器、魔器が存在していないようでそれが今回なってしまったようです』

なるほどなそれは確かに、でもそれでもそんなに変わるもんなのか?同じ武器だと」


「あぁ、人と魔人のパワーバランスが保たれるんだ。

人と魔人の戦いはいつも器によって決着が付いているからね、どちらか一方の力が大きくなり過ぎると即座に戦争だ、僕はそんなのは嫌だからね」


疑う事なく喋り続ける王子に疑問を抱き始める時、王子の口から直接

———「分かった、分かったよ成程ね君は探してるんだ、聖器も、魔器も」


嵌められた、そう思うが王子からは悪意がかけらも感じられずまぁいいかと心を落ち着かせる。


「っと無駄話はそろそろやめにしないとね、もう着いたみたいだ」


どうやら予想以上に話に集中し過ぎていたみたいだ。

到着にすら気付かず一瞬反応が遅れた。



「もう着いたのか、、、意外と近かったのか?」

「いや走る速度が凄かっただけだよ、あとこの後招集がかけられると思うから大人しく来てね?」


まためんどくさいことを——『自分が悪いのでは?












王城にて


「さて、シリストよ単刀直入に言う、あの勇者はどうであった?」


王の知りたいことはただ一つ——「彼の事?ハハハッ冗談きついぞくそジジィそんなに知りたいんなら自分で確かめてみればいいんじゃ無いか、春の強さ、かな?」


強いのか弱いのか



「良く言いよるわ、だがァそうだなぁでは3日後彼を此処に呼び出せ、それくらいならば、たとえ野良犬でも出来るだろう?」


一国の王に対する盛大な挑発、それに乗るように自分の子とも思わない発言をするも返しはなんの捻りもなくただ


「分かったよ」

「ならばもう行け、鬱陶しい」


という質素なやりとりに終わった。














「んで、なにしにきの?王子様が直々に」


「いやもう分かってるでしょ、3日後、に来いってさ(分かりきったことを、、、


呆れ顔にあからさまなポーズをとりため息をつくシリスト。

その様からは先ほどのような獰猛な気は感じられなかった。


「はいよ、分かった」


それを聞くとシリストは足速にその場を去っていった。




『どうするんですかこの状況、、、』

「どうするってそりゃぁバックれるしか無いだろ?」


やはり最初からまともに受ける気などなかったようだ。










—食堂にて——



異世界に来てからというもの、流石に勝手がわかり始め早々にグループを作り分けそのコミュニティ内で過ごしているようだ。


その中でも注目なのが春率いる?瑠璃や瑠衣、雪に白が主にまとまっているグループだ(たまに入ってくる人もいる。


「ねぇ!せっかくだから明日なんかどっか行かない!」


それに対しすかさず春は——「瑠璃さんやぁあんたそんなキャラじゃ無いでしょうに」

と、瑠璃のそれに雪が続く


「うーんまぁいいんじゃないここ最近ずっと訓練だったし、昨日なんて特に酷かったし息抜きは必要じゃないの?」


とにかく何か遊びに出るための口実が欲しいのか最もらしい事を言ってみたりしていた。



「まぁ〜、、、瑠衣はどうだ?」

こーゆーめんどいのは瑠衣に投げとけばいいってのが経験則でわかってるんだよなぁ。


「いいと思うぞ?ただ俺はやることがあるから行けないが、でもいいよな?まさかここまで来てやっぱ嫌です、はないだろ?」


「あぁ〜と白はいいけどでも雪ちゃんと用事が、あるからなぁ〜最後まではいられないかなぁ」


良くもまぁペラペラと、そんなに行きたいのならお好きにどうぞと言う感じだがいま此処で断ればどうなるかが分からないほどの馬鹿ではない。

大人しくしておくべきだろう。


「分かったよ、じゃあ明日な『大変ですねww自業自得ですけど』」


「怒るで?にしてもどうすっかなぁ、、、暇だし」

『それなら少し早いですが私の身体創りをしてはどうですか?

見た目なら精神世界で見たでしょうし』



「あぁ〜そりゃいい案だシィ〜ナ」


気怠そ〜に相槌を打つ春



『そうですか、では力の把握も含めて素材採取に行きますよ?』

と、不意打ちを仕掛けるシイナに春は思わず疑問を口にした。


「っ!?、なっえぇ?素材採取って魔力使うだけじゃ無いの!?」


無理も無い、

異世界に来て今まで魔法若しくは魔力に出来ないことが無かったから。


出来ないことがあるとしてもそれは、、、想像出来ないけど(((過去に行くとか?

まさか素材如きの為に今更走らされるなどとは思いもしなかった。


『魔力でも良いのですがそれだと物理や属性攻撃にめっぽう弱くて、、、やっぱこういうのは特注品がいいじゃないですかぁ』


なんて抜かしやがる始末(まぁ世話になってるしそれくらいなら良いけども










「てことで今最寄りのダンジョン?迷宮?の二十階層に来てまぁァァァすッ!」

『んンッ!』


※30階層中の20階層


「あと気になったんだけどあの大穴はどったん?」

『それはダンジョンの性質でどんなことも一日で平常時に戻るからです、

説明はめんどくさいので省略しますがどうしても気になるなら過去の公国の遺跡に行くといいですよ、そこの図書館に禁書があるのでそこに乗ってます』


「あっめんど、はぁ〜取り敢えず何を集めるんだ?にしてもこれ本当に始まり?の迷宮なのかよ、、、もうかれこれ数十回は倒してるぞ、この刺毒獣しどくじゅうとかいうやつ、エス◯ナスかよ」


『それは言ってはダメでなのでは?まだそれが許される程認知されてないでしょうに』

「エ◯ピナス?」


『だから、、、』


あっまたエスピナ◯がいる、モン◯ンでもこれはありえねぇぞ?強さで言えば圧倒的下位だけど


「それで?ここで何を集めるんだ?」

『それはですね、え〜とまずテキトーな剣かなんかに魔力を纏わせて闇属性を上乗せし、どこでもいいので大人が通れそうなくらいの割れ目を作るだけです』


元の紅の魔力に漆黒の魔力が交わり紅の魔力がその刀身に纏わり黒の魔力が剣に渦巻いている。


一切の無音。

文字通り空を斬ったその瞬間、紅い魔力は火花の様に舞い散り黒の魔力が物凄い勢いで周囲に広がり薄暗い闇を伝播させていった。



「ふぅ、、、」

『来ますよ、ほらもうに渡って来ました、全くせっかちな者達です』


深淵の様な深き闇からそれは魔の手を突き出し、斬られた割れ目を更に大きくその両腕で引き裂いた。


その肉体には角を生やし、裂けた口からは瘴気が吐かれ、背中からはまるで天使を彷彿とさせる翼、だがそれは真っ黒で

手足の剛爪、全身を脈動する赤黒い血管。

異形、凡そ同じ世界に住むものとは思えない恐ろしい存在。

それを人々は、と呼ぶ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る