強者と弱者


「国王様、では、その者に奴隷契約の首輪を着けて死ぬまで飼い慣らしにするというのは、これなら、我々全員の力を使えば簡単にハルという勇者を悪役に仕立て上げることができる、」


「うむ、それならば検討をしておこう、その事を盾にほかの勇者達も使えるかもなぁそれにしても、たった一人で魔族に対抗できる存在、か、これは、世界の覇権を握るのも時間の問題、だなハッハッハッ……………………

………









それから暫くの間、王座の間は不敵な笑みを浮かべた者達の小さな笑い声が響いて行くのであった







————————————————————


「さて、これからだけど、今居る場所は、ダンジョン内の恐らく八階だ、なんでかと言うと、ダンジョンが崩壊を起こしていてわからなくなっているからだ、

まぁこれはただ現状把握のためだけど」


「あっあの、その「ん、?どうした、」失礼ながら、その、ダンジョンが崩壊を起こしているという事はもう戻れないのでしょうか?」


「あぁ、それは俺も思ったな、「確かに、でもまたさっきみたいなのが来ないとも言えないし、、、」


「帰え、れない、?「なら、増援が来るまで此処にいた方が、、、」


「うん、確かにそう思うよね、けどそれは今回の様な事には少し悪手かな、確かに増援は来る、けどそれは多分一日か二日はかかる、恐らく君達が死んだ所までは偵察が確認していると思うよ、」


「なっなんで最後まで見ないんだよッ!!」

「言い方は悪いけどこの世界の人間からしたら勇者という謎の存在は、

所詮、程度にしか考えてないから、」


「なっ「ッ!?「酷、すぎ、、るよ「「そん、な、、、」」


王子の言葉に地球陣の皆んなが絶句した、それはそうだろう、急に行き限定の片道異世界切符を強制使用させられ力があるから戦えって争いの無い世界で育ったものに言い、上手く報酬などで釣り上げると、その心の内面は全ての人が自分達の事を物としか見ておらず、常に死の淵に立たされているのだから………



「まぁだから死んだのを確認したらもう直ぐにポイだよ、」

———「なぁ王子さん、そんなことよりこれからどうするのかを教えてくれないか?、流石に怠い、どうせ転移結石も持ってないんだろ?、」


「あはは、そうだね、じゃぁ、この崩壊を起こした階層は、全て、じゃ無いんだよ、そしてこの階層の中で唯一上に上がれるのが、此処から約4キロ先の転移陣が設置されている場所だ、そこを目指す」


「転移陣?、そっそれなら、なんでもっと前から教えてくれなかったんだよッ!!」


とある少年、風吹ふぶき かえでが異論を唱えた、何故なら、転移陣なんていう存在は今の今まで全く教えられていなかったのだ、なればこそ、それが有れば……………

と思わずにはいられなかったのである




「、、、それは悪いね、だけど、それでも無理だったんだよ、アレは貴族や王族御用達の緊急事態になった時そこから逃げ伸びるためのものだったんだよ」


「何処までも、俺たちはそんな貴族達の物、なのかよッ」

「ハァ〜じゃあ、そこまでいけらばいいんだろ、少しやることが出来た、眷属を召喚するからそいつらに守らせておいてくれ、」


「?、眷属、流石に凄いね、確かにそれならいいけど、攻撃は?、」

———「基本迎撃しかしない、ふざけた事したり敵意を向けたりしなければ、だけど」


「それは、当たり前のことだ」


「『眷属召喚』雷鬼、炎鬼」「主人様、ただ今見参致しました」

「ご主人よ、何か、やる事が、?」「これはまた、簡単に」


その瞬間、虚無の空間から炎の渦が出て来ており、その炎は、渦からやがてそれは竜巻の様に変わり、急に散布したかと思えば、そこには炎の名を冠する鬼の眷属が居た


その眷属は何処か幼さが残る少女の様な見た目で、妖しさのある笑みを浮かべた紅石ルビーを彷彿とさせる瞳と、緋色のロングヘアーが特徴的な鬼の女の子であった


※合法ロリかな?




そして、蒼玉サファイアの様な澄んだ深みのある青色の瞳に少し明るい黄金色の様な髪色をした鬼の青年(多分見た目的に約二十二歳)の様な鬼がそこに居た



「俺は今からやる事がある、あちつについてって魔物から守れ、返って良いと言われたら戻ってこい」


「うむ、用は此奴らのお守りをしてやればいいのじゃな?」

「お安い御用です、どうか、我々にお任せを、」


『あの、私、「(あっ、、、忘れてた『、、、ハァ〜憂鬱です、それと、何しに行くんですか?』


「じゃあ俺はもう行く、あとはテキトーにやっといてくれ、王子さま、(んで、やりに行くのは、あいつの部屋に転移陣か、座標をメモしに行く、此処は勇者とかお偉い様が使うダンジョンだからな、

面倒方は嫌なんだ、でもいつでもは来れないとなるとそれはそれでめんどくさいだろ、?)」


『ハァ、まぁいいですけど、バレない様にして下さいね、さっきは見られていたので、

おそらく今はマスターの事で論議が開催されているからでしょうから』


「瑠衣、元気出せよ、お前がそんなしけたツラしてたら調子が狂うぞ、———「あぁ、」


「はぁ、わかってねぇなぁ、まあいいけど」

「じゃあ、父の事は任せてくれ、君がいいと言っても、遅れて来るんだ、疑いをかけられる、そうなれば他の方にしわ寄せが来る」


「わかってるよ、それと、偵察を送るのはいいが、干渉はさせるなよ?」

「まぁ、それはとても真っ当で当たり前の事だね、君が敵に回らないことを願うよ」


春はそうゆうと、そのダンジョンの下層に行くため歩いて去って行った

2体の監視役も含めた鬼というお守りを置いて

因みに、最後に何か言っていたが、おそらく重要な部分と思われる後の方は聞くことができなかった



「あいつ《国王》の元に着く気はないみたいだけど、…………」






「ふむ、行ってしもうたの、のう、お主、主は何処に向うのだ?」

「取り敢えずこのダンジョンから抜けたいんだけど、その後は、外に王国兵がいるからバレない様にこの転移結晶を使って王国に転移してくれるか?」


「成程のぉ、おいッ黄色いの、ちょっと先に言行って偵察でもなんでまもしてきてくれ」


「ん、?、それは主人の命令か」————「カカカッそりゃ勿論ご主人の命令に決まっておろうよ、

誰一人欠けさしてはならんからな」


「ふむ、分かった、それなら、


「過激よのぉ、そりゃ有難い限りじゃが、そんなにもご主人以外に命令されるのが嫌かのぉ、なぁ、黄色いの」


「当たり前だ、そもそも我らは主人様により作られた眷属、我らは主人様の役に立つための物だ、」


「あっあの、お二人の事を信用していないわけではないんですが、その、本当に大丈夫なんでしょうか」 


「それは、主人様への侮辱ととってもいいのか?—「へッ?」———「俺らの様な直接作られた眷属は主人の力の一部を受け継ぐ、それをとは主人様への侮辱と取るに値すると思うのだが?」


「いっいやちっちがくて、これはあの、その」———「横から失礼するよ、」


『お前は、あぁこの国の王の息子か、お前もこいつと同じ意見か?」

「いや、確かに主人の事を侮辱されるのは怒ってもいいと思う、だけど、彼女彼ら達はまだ力の差なんて全くと言っていいほど分からないど素人だ、

目の前で力を使うのを見たわけでもない、」

「だからなんだ?」


「まぁ確かに、君の主人が規格外なのは分かってる、でもね、今の彼女からの問いは疑問、なんだよ急に現れて急に話が進んで何も分からなくて、

それで信用してついて来い、は少し説明が足りなさ過ぎると思うんだ」


「つまりお前は、もう少し説明を寄越せと、なぜ貴様ら程度の奴にやらんとならんのだ」


「でも、君のご主人は、この子達の事を考えてるらしいよ、

今、無事じゃダメなんだよ、外に出た時、この国に君達の存在が露わになったら、困るのは君のご主人の方だよ」


「ふざけているのか?」


その瞬間、転生者達を中心にそこら一体を荒れ狂う生き物を殺す為の本気の殺気が充満したそれは周囲の魔物を殺し転生者にも牙を向けた、間違いなくそれは、炎の鬼の方が守ってやらなければちょっとした死体の山までとはいかずとも、丘くらいにはなっていたであろう、、、


「バッカ者がァァァッ!!」———バチンッ

「ガッ何をッ——ガハッ ゴフッ!?


「馬鹿かお前はいや馬鹿だお主は!!何故守る者を殺そうとするんじゃッそれこそご主人の顔に泥を塗る行為じゃろうがッ!!」


「だっだがッ—「主じゃッこの者達じゃなく主がご主人の事を侮辱しておるじゃろうが!!」


「俺は主人様のためにゴミをッ「バカかお主はッ同胞の者じゃぞご友人がおるんじゃぞ!!てか国のお偉いさんじゃぞッ!!「そんなもの力で」

「反省しておらんなッお前が良くてもご主人が良くないのじゃ!!

もし王子を殺してしまったら国際問題じゃぞ!!何故わざわざご主人が生きづらい様に仕向けるッ」


「お主は大人しく魔物を間引いておれッ」

      

        「俺に命令をするな」



「やるのかの?「お前こそ、チビが俺に命令して良いのは主人様だけだ」 

『お前ら、ちゃんとしろよ、見えてるからな?あと、あいつらに怪我一つさせてみろ、俺はもうお前らを呼ばないぞ?』


その主人からの念話を聞いた瞬間二人の態度は一変した、

それもそうだろう、あの春が言った一言、もう呼ばない、それは側からみればただ呼ばれなくなる、という認識だが、

眷属側から見ると、主人から無能の烙印を押され、新しく創られた眷族が活躍するのを別空間で永遠と見させられるという、、、



「済ま、ながッ、、、」「うむ、少し騒ぎ過ぎたのじゃ、済まなかったのぉ」


「ご主人に怒られてしもうての、面目ない」


「ファ、?「「、、、「ッ!?……………


その手に持った扇で少し顔を隠しながら小声で——「面目ない」と謝る姿の鬼と、ぶっきらぼうにも謝ってはないけど謝ろうとしていた鬼の姿を見た転生者達は、豆鉄砲を食らったのかと言うぐらいには放心していた、

また、———「ん、?そんなに妾が、いや、あの黄色いのの謝罪が原因か、」

と疑問を投げつけつつも自分で完結して納得がいったのか、

満足げな表情で笑みを浮かべていた


「はぁ、おい王子とやら、俺は適当に魔物を間引いてくる、

少ししたらお前らもついて来い」

と、半ば諦めながらも目を瞑りながら眉間に皺を寄せつつも命令には忠実に、を体現する鬼がそこにはいた……………








約十分後


「皆んな、そろそろ行こうか、君もいいかな?」

「お主達に任せるぞ、まぁ安心しろ、生き残りがいても手出しはさせん」











「うへぇ〜血生臭い、「これは、相当だね、」とある転生者と、第三王子のシリストがそう言った、

それもそうだろう、何故なら今彼らの歩いている道は、肉片も残っていない大地の染みになった魔物だった物の上を歩いているのだから、それら以外にも、多くの転生者達も同じ様な事を考えていたのは、その蒼白な顔面を見れば一目瞭然というものだ


「これはまた、過激にやったのぉ、本当に短気な奴じゃ、お主達は、大丈夫かえ?、」


「はっはい、でも、その、少しだけキツイ、です、、、」

これまた真っ先に言ったのは十六夜 《いざよい》香里奈かりな、彼女は一見するとパッとしない印象で影の薄い存在である、だが、この世界に来てからというもの、踊り子という天職のお陰で本当の自分を打ち明けることができ、今ではクラス仲間の中心部的な存在になっている、

だがそれでも何かイレギュラーが起きると前までの内気な性格が出てしまう様で、

今まもまた———「うっ、」と言う風に口に手を当て嘔吐感おうとかんを必死に我慢しているのを見て取れた


その場に来るまでには既に三、四十程の血痕があり、移動出来たのは僅か一階層分、まだまだ道のりは長い


因みに、王子のあの言ったこと———「転移陣が約四キロ先にある」という事だが、パニックと焦り、更にはまだ生きているのかすらもわからない状態で危険を犯してでも回り道をするのは悪手だという事で直接上に向かう事にしたのだ


「では、燃やしておこうかのぉ、『終炎しゅうえん』」

その言葉を機に扇を広げ、下に降ろすと一拍所々から白炎、というよりは極限色褪せ無色になった炎が灯された


そして揺らめく炎を眺めながら歩いて行くと、突然その時は訪れた、

最初は無色だった炎はより一層激しく激しく燃え盛り血痕を消すとその血液のものであった色を奪った真紅の炎がその発動者である鬼に向かって行き胸元に渦巻くことで小さな宝石となった


「それは?、どうするんですか?、」

「まぁ見ておれ、お主達にも待たせるがくれぐれも勝手に何処かに行ってはくれるなよ、巻き込まれたりして死なれたらたまったもんじゃないのでな」


その警告とも取れないふざけた様な口調で言い放たれた冗談の様で本気の目がその事を真実至らしめた



「あぁ、それは安心してくれ、彼らのリーダーには言っておいた、

それはそれとして、その紅の石の様な物はどうするんだい? まぁ言わなくてもいいけど、僕達は守られてる側だからね何もとやかく言う権利は無い」


「ふむ、そう言われてものぉ、まぁ妾が何をするのか、見てて良いぞ、まぁ、やる事なんて殆ど無いんじゃがな」


「「、?」」


「『吸収』、これで終わりじゃ」


その両手にはいつの間にか仕舞っていたのか扇は握られておらず代わりに代わりにあの真紅の宝石を持っており、『吸収』の一言でその宝石を胸元からその言葉通り吸収した

















————————————————————




「瑠衣、アンタずっと黙ってたけどどうしたの?、春の変わり様にもびっくりしたけど」

「それは私も思ったよ」


「、、、ッ春は、スゲェ強かったよな、職に恵まれて最初からある程度の力が有ったから、ってのもあるけど、それでも圧倒的だった、、、」


その瞬間瑠衣が思い出したのは最初魔人と金沢が襲って来た時の数回の応戦の事時の事である、

それは素人目に見ても圧倒的だった、としか言いようの無いものであった、技術的なものはさて置き実力の一点に目を向けるとやはり自分達とは一線を期しているというのがわかる、だからこそ思ったのだろう、———「俺は一体、何をしてたんだ?」と、


「それは確かにそうだったけど、だけど春君は必死だったんだと思うよ?、」


「だけど、聞いた話だと、一度殆どの皆んなは一回殺されているんだ、

それは多分春も例外じゃない、体は大丈夫でもボロボロだったんだ俺は、ただ見てることしか出来なかったッ」


それは恐らく自分の無力さを痛感したが故の事だろう、


「何も出来なかったのはアンタだけじゃ無いよ、私達はさ、何処か浮かれてたんだよ、別に異世界に来て嬉しいとかじゃないけど、心の底で、本当に死が常に間近に潜んでいる事を認めていなかった」


「雪、お前、、、「雪ちゃん、、、」


それを聞いた二人はその後何も言うことができなかった、

それは自分達でも考えさせられたからなのであろう、ッと此処で———「準備が出来たッまた出発する此処からは少しペースを上げてく」———とシリスト王子からの一声があり早速出発した、当然だが血痕は無くなり、

多くの者が疑問を抱いたが、まぁでも今はそんな疑念を晴らす余裕など無かった様だが





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