エピローグ

 ここは………




「ユーリ!」




 懐かしいグレゴリウスと、ユーリは抱き合う。




「グレゴリウス様、待っていて下さったのね」




「盛り上がっているところをお邪魔したく有りませんが、グレゴリウスはそろそろ限界ですので、さっさと転生書類にサインして下さい」




 死神がシラーとした視線を、ユーリ達に向けている。




「そういえば20年も前に亡くなったのに、大丈夫だったの?」




 ユーリは地縛霊になると説明されたのにと、不思議に思う。




「アラミスが助けてくれたんだ」




 そう言った途端にグレゴリウスの胸から、金色の光が飛び出して竜の形になる。




「ユーリ! また、会えたね」




「アラミス!」




 ユーリは愛おしそうに、金色の光の塊を両手に抱いた。




「ユーリ! また浮気している」




 アラミスを押し退けるように、ユーリの胸から金色の光が飛び出して来た。




「イリス! 私と一緒にいたのね」




「ずっと一緒だと、約束しただろ。来世は一つの魂に、転生するんだよ」




 ユーリは絆の竜騎士が亡くなる度に、騎竜が死ぬのが悲しくて仕方なかったが、こうして再会出来るのだと知って喜んだ。




「ユーリは、私より竜が好きなんだ」




 拗ねているグレゴリウスに、違うわと誤解を解いていちゃいちゃしているユーリを、シラーと、こちらは振られて寂しいのにと恨めしそうに眺める。




「はい、そこまで。竜が助けようと限界ですので、さっさと転生書類にサインして下さい」




 突き出された書類を受け取ったグレゴリウスは、国王として何回もの交渉をしていたので、最後に念押しを忘れない。




「ユーリと一緒に暮らしたい。あっ、兄弟とかは、無しだからね」




「グレゴリウス様と一緒に暮らしたいわ。記憶を消去ミスしないでね」




 二人は自分達の小指と小指が赤い糸で結ばれているのを確認して、転生書類にサインする。








「ユーリ、君を探しだすまで、他の男とキスしないで……」






「死神さん、同じ場所に転生させて……」


 




 グレゴリウスもユーリも意識を無くしていった。








「今回はミスしなかったでしょうね?」




 美人の元恋人の死神が、前の失敗の後始末をちゃんとしたのかチェックをしに来た。




「ちゃんと記憶も消去したし、本人達の希望に添って赤い糸のオプションも付けたよ。これで、前世の記憶の消去ミスを訴えたりしないさ。だから、バカンスに行こうよ。100年以上も待ってる間に、1億人転生させたんだ」




 嬉しそうにバカンスの許可証を見せる死神に、元恋人死神は少し興味を持ったか、何をしてるのと騒ぎだす。




「騎竜と絆の竜騎士の転生マニュアルを、ちゃんと読んだの? 何て事! これでは竜は竜騎士と一緒になれないわ。こんな失敗する死神とは、付き合えない。ちゃんと訴えられないように、見張るのよ」




 そう言うとバカンスの許可証だけを奪って、美人死神は消える。




「これをどうすればいいんだよ」




 やさぐれた死神は、地球に転生したのはグレゴリウスとユーリだけの筈なのに、アラミスとイリスを困惑して眺める。

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