エピローグ  2

 小さな島の療養所で、同じ日に二組の双子が産まれた。




「過疎の島なのに、双子が二組も産まれるなんて、珍しい事もあるもんだな」




 一組目の両親は男の子と女の子の双子を抱いて、半日遅く産まれた双子について話した。




「名前は何にするの?」




 優しげな新米ママに問われて、新米パパは気に入ってくれるかなと心配そうに言う。




「グレックとアラナ」




 ルイーズは良い名前だわと、フィルに微笑む。




 二組目の双子の両親は「ユリアとイーサン」と名付ける。




「ねぇ、ウィル。グレックは、ユリアの方ばかり向いてるわ。将来、結婚したりして」




 新生児室のガラス越しにローリィは知り合ったルイーズの赤ちゃんのグレックがユリアに近づこうと、ちっちゃな紅葉のような手をのばしているのを見て笑う。




「家のお姫様を、嫁には出さないぞ」




 親バカのウィルは、新生児のうちから心配そうにグレックを睨みつける。








 数年が経ち幼稚園に入園すると、グレックはユリアを追いかけ回しては泣かせて、イーサンと喧嘩ばかりするようになった。




 小学校になっても同じ事の繰り返しで、スクールバスの中でアラナはグレックにユリアをいじめないように忠告する。




「グレック、ユリアを好きなのに何で意地悪するの? 嫌われるわよ」




 グレックはユリアが他の男の子と話しているだけで嫉妬してしまい、ついつい気を引きたくて意地悪してしまうのだ。




 過保護なイーサンは、ユリアに近づこうとするだけで、グレックを睨みつける有り様だ。




 グレックは、何だか前にも同じ事があったというデジャヴに襲われる。




「グレックなんか大嫌い。妹のアラナは、あんなに良い子なのに……」




「僕がユリアを守るから、心配いらないよ」




 ユリアは、何だか同じ事があったような気がしてならない。








 二人は小さな島で大きくなり、それぞれの目標の為に外へ出て行き……




 そこで、巡り会うのだった。   

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