3-⑵

 やはり、絢のお母さんからうちの母に連絡があったらしい。秋以来、ちょくちょく二人は連絡を取り合っているらしかった。


「主人がネ、絢がクラスの二番になったって舞い上がってしまって、社員にもお年玉とか寿司折を配っちゃって」

「植田先生にこの成績なら聖女学院に推薦入学で受かりますとおしゃっていただきました。」とか


 母から聞いた話だと、本町の家では絢を聖女学院に進学させることを決めていたみたいだ。この沿線の名門で大学まで備えていて、中学から入るとエスカレーター式で進学できる。絢からもそんな話は聞いたこともなかった。二人とも、揃って、地域の公立中学に行くもんだとばかり思い込んでいた。


 次の日、絢にそのことを問い詰めた。


「ごめんね、お父さんとお母さんの言うことは聞かなきゃいけないの」

「言わなかったのは本当にごめんなさい。でも、ウチは中学になってもずーとモト君と勉強続けたいの、 追いかけていたいの」と泣きそうになっていた。


 僕も結局、兄の行っている私立中学に受験して、合格した。高校までの一貫校だ。仲の良かったグループのみんなは公立中学に行って、離れてしまった。


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