第10話
「地球が揺れてる」10
各部屋にはラジオが設置されている。
救助時間や各地方の救助情報などが流れていて日本全国での救出活動が始まったと言っている。政府は四国や半島、各大型の港を拠点に置いて空母群による救出活動を開始しているとのことで有る。
案内係が部屋に来た。
「すみません!緊急なのですがこちらのホテルへ大群が押し寄せてきているとの情報が入りました。恐らく三時間後にここへ到着すると思われます。ヘリコプターが来るのが四時間後なので下の階で我々が抑えるので民間の方々は自主的に屋上へ向かって頂きたく伺いました」
「それじゃ貴方達はどうするんですか?」
「私たちはプロですから心配無用です」
「大群が避難所を襲ってくることは良くあるんですか?」
「はい。なので期間を決めて避難所を選定して変えていくんです」
「皆さん無理せずに防衛してくださいね!」
案内係は微笑んで頭を下げて部屋から出て行った。
「謎が解けたよ」
「謎?」
「たまにさ、やたらゾンビが群がってる学校とか病院とか在ったじゃん?」
「うん」
「避難所があった所なんじゃ無いかな」
「避難所を変えた後って事?」
「そう!」
「なるほど」
会話の途中晋太郎は渚の手を握った。
「え?」
渚は少し戸惑ったが小さな唇でキスをせがんだ。
晋太郎は渚にキスをした。何度かフレンチキスをしていてるなかで二人の性欲は爆発して過ごし激しめにお互いを求め合った。なかなか脱げない服をお互いに脱がし合うが中途半端にはだけた状態で愛し合いながらマヌケな格好でキャッキャしながら愛し合った。
ベッドで愛し合って二人でシャワーを浴びた。身体を洗い合いそのままシャワーでもキャッキャと愛し合った。
二人はベッドに抱き合いながら寝転がっている。
「年の差を感じさせないハッスルだったでしょ?」
「言い方!」
「え?」
「なんだか恥ずかしいよ」
「渚さん可愛いじゃん」
渚はイタズラに布団の中で晋太郎の股間をくすぐった。
晋太郎は強めに渚を抱き締めた。渚も晋太郎の身体に抱き付いた。
二人はそのまま眠りに落ちていった。
ラジオ
東京大学の大河内と申します。
一度死んだ人間が生き返り生きた人間を襲う。襲われた人間もまた生き返り生きた人間を襲う。
研究した結果として皆さんに報告いたします。
いわゆるゾンビと言われる者は…ゾンビと言うとブードゥー教からの造語出ありますが他に言いようが無いのでストレートにゾンビと呼称致します。そして、我々の研究した結果、彼等は我々とは別の生き物だと判明いたしました。我々を宿り木として誕生するということです。そして彼等は産まれたばかりの生き物でまだ進化を始めたばかりであります。
私の見解として申しますと……。
この地球上に人間の天敵が居なくなったことで地球の治癒力に寄って産まれたのがゾンビなのでは無いかと思われます。生命は役割によって生きてそして死ぬそれを繰り返し地球は維持してきました。自然災害についてもまた地球が活きている当たり前のことである。増えすぎた生物には必ずや終わりが来ます。何かが終わり何かが始まる。それを地球は繰り返しています。
地球は揺れているのです。その揺れの中で我々人間は暮らしているのです。
我々の地球に与えてきた悪質なものを全て捨てて天敵の居る世界で共存していかなくてはならないのです。
ジジ……ジ……で、あ……ジジ……か………プツッ
ラジオが切れた。
渚は騒がしい音で目を覚ました。まだ寝ている晋太郎の腕時計を見るとあれから三時間が過ぎていた。
ホテルの窓から下を覗くと数え切れないほどのゾンビが建物を囲んでいて下の方からは無数の銃声が聴こえてきた。
晋太郎を起こして荷物を纏めてドアを開けようとすると扉の向こうから声が聞こえてきた。
ダメだ
上がってきてる
皆屋上へ逃げろ
晋太郎は渚を強く抱き締めた。
「何があっても生きろよ」
「一緒に!」
晋太郎は扉を開けた。
「エレベーターはダメだ!非常階段へ行け!」
渚を先に走らせた。
非常階段の扉を開けて廊下を振り返るとエレベーターのドアが開いた。そしてゾンビが溢れ出してきた。
「渚!急げ上に行くんだ!」
晋太郎は渚を先に走らせた。
屋上の扉を開いて渚を屋上へ出した。下の方にはゾンビが上がってきているのが見えた。そしてドアの鍵が内側にあるのも確認した。ヘリコプターの飛んでくるのが見えた。時間より少し遅れていた。ヘリコプターが到着して数人の救助をしているのとゾンビが屋上へ昇ってくると考えるとゾンビが屋上へ向かってくる方が早いと晋太郎は判断した。
「晋太郎さん!何してるの!早く扉閉めないとだよ!」
渚は数人の救助を待つ人達と扉を開けながら内側の様子を見ている晋太郎の間にいる。
「必ず生きろよ!」
晋太郎は扉を締めた。自分は内側に残り鍵を掛けた。ショットガンの弾をポケットに入れて背負っていたリュックを降ろした。
渚は内側から閉められた扉を開けようとしたが開けられなかった。
「晋太郎さん!置いていかないでよ!一人にしないでよ!」
渚は扉を叩いた。
ヘリコプターが着陸態勢に入った。
ゾンビが下の階まで来た。
晋太郎はショットガンで頭を狙いながら撃ち始めた。手前のゾンビが倒れると後ろのゾンビが躓いてもたつくのを狙って手前から狙った。口元か目の辺りを狙って手前のゾンビの動きを遅くしたが数が多すぎて時間の問題であった。晋太郎までゾンビの群れが五メートルまで来たとき扉が開いた。
「なんで!」
自衛隊員が数人入ってきて手榴弾をゾンビの群れに投げて晋太郎の背中を掴んで屋上へ出した。自衛隊員達は一発づつ頭を撃ち抜いて確実に倒している。
晋太郎はヘリコプターへ向かうと2機着陸していて一機は救助をしていてもう一機は少し浮いてホバリングしている。晋太郎は渚が待つヘリコプターへ乗り込んだ。
ヘリコプターは晋太郎を乗せて直ぐに飛び立った。
渚は何も言わずに晋太郎に抱き付いている。
窓から離れ行く屋上を見ていると三人の自衛隊員は流れ込んでくるゾンビをある程度倒してからホバリングしているヘリコプターへ乗り込んだ。
後で聞いたのだが下の階で戦っていた自衛隊員達は殆どが死んだのだが数人はホテルから脱出して他の避難所へ向かったとの事であった。
なぜあの時に扉を閉めて自ら犠牲になり渚を生かそうとしたのか…子孫を残す行為をしたから自分の役割は終わったとDNAが判断したのかもしれない。
しかし、渚と二人でこうして海に沈んでゆく夕陽を見ていると「生きてて良かった」と深く感じるー。
おわり
地球が揺れてる 門前払 勝無 @kaburemono
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます