第6話

「地球が揺れてる」6


 シャワーからでて脱衣所の棚には迷彩柄のタオルが積まれていてそれを使わせてもらった。リビングに戻り窓を見ると辺りは暗くなっているのに晋太郎は外でバリケードを作り続けていた。

 何か出来ないかと冷蔵庫を開けると食材があったから食事を作ることにした。


 晋太郎は敷地内にバリケードを作りユンボから降りて部屋に戻った。部屋からは良い匂いがした。

 キッチンでは風呂上がりの渚が食事を作っていた。

「お!良い匂いだね!ありがとう」

「シャワーありがとうございます!もうすぐ出来るので晋太郎さんもシャワーどうぞ!」

「ありがとさん!」

晋太郎はそのままシャワールームへ向かった。


 玉子焼とウィンナーとトーストとコーラ…。


「朝御飯みたいになっちゃった」

「全然構わないよ!それよりなんだか久し振りな御飯だわ」

「あまり作らないんですか?」

「だね、一人だからめっちゃ適当だよ」

晋太郎は嬉しそうに“いただきます”と言って食べ始めた。

「食べ方が若い」

「ん?食べ方が若い?」

「あ!ごめんなさい」

「なぜに謝る?くそぉ歳を誤魔化せば良かったな!」

また二人は笑った。


 食事を済ませた後に二人で携帯を使って世の中の情報を調べた。

 動画サイトには各地方や海外でのパンデミックの映像が溢れかえっていた。特にジェイソン何とかの挙げる動画がアメリカ国内の詳しい情報源であったが日本の情報はどれも解りにくいものであった。取り敢えず日本は全域に渡りパンデミックが起こっていることは理解できて自衛隊の救助活動が行われているのは確かな情報である。各地方自治体の避難所や病院、学校等は役に立たずにそれらに行った人は全て死人と化している。生き残った人間達はSNSを使ってお互いの近況をアップしている状況であった。


「世界が終わったということだね」

「呆気ないな…」

二人は部屋の灯りは付けずにLEDのランタンを足元に一つ灯してラム酒を飲んだ。

「灯り付けておくと生き残ったアホが襲ってくるかも知れないからな…焦っても仕方ないから酒でも呑んで寝ちまおうぜ」

「うん…私ももう諦めた…世界は終わったんだなって受け入れるよ」

お洒落な瓶のラム酒を麒麟のビールグラスで飲んだ。

 窓から見える夜空には星がたくさん見えて時折航空機が飛んでいるのが確認できた。

「ベッドは使っていいからな」

「晋太郎さんはなんでそんなに優しくしてくれるんですか?」

「いつ何時も女性には優しくするもんだろ?」

「女性だって認識あるんですか?」

「それくらいあるわ!!」

「ありがとう」

渚はベッドへ入った。

 晋太郎はラム酒とコップを持って窓際へ移動した。ラム酒を飲みながらソーラー式の街灯が点々と見える死んだ街並みを眺めた。アルコールで火照った身体を冷ますのに少しだけ窓を開けると微かに風に乗って腐敗臭と死人達の断末魔のような呻き声が聞こえてき た。

「…こんな感じになるのか…」

直ぐに窓を閉めた。

 晋太郎はカーテンを締めてコップに残ったラム酒を口に流し込んでアンティークなソファへ寝転がった。


 このまま救助をここで待つか移動した方が良いのか…悩む所だなとランタンを消した。


「晋太郎さん起きてる?」

「寝れないのか?」

「うん。色々考えると不安になっちゃって」

「そうだよな…俺も不安だな」

「そっち行ってもいい?」

「あぁ」

渚はソファへ行って晋太郎に抱き付いた。

「なぜ下着?」

「だって」

「寒いだろ」

「うん…暖めて」

「ベッドへ行こう」

晋太郎は渚をお姫様抱っこしてベッド行った。

 二人はベッドで抱き合った。


つづく

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