第3話

「地球が揺れてる」3


 ゴミタロウ

 遅くなった!今、東京に着いたぜ!六本木着いたらまたメールするわ


 渚

 やっと返信来た!

 え!?ホントに東京きたの?てか、どこから来たの?んで、今どこ?


 ゴミタロウ

 萩窪?荻窪?


 渚

 え?荻窪?ちか!直ぐ行く


 ゴミタロウ

 ちかく?何故来る?(笑)


 渚

 だって!マーシャルに何するの?


 ゴミタロウ

 成敗だせ!(笑)

 寒いから来なくていいし!(笑)

 ソイツらをみた場所だけ教えてくれよ

 なんとなく探すからwww


 渚

 ゴミタロウさん一人?

 相手は恐い人達だよ?

 しかも、合ったことも無い女のために!ダメだよ!


 ゴミタロウ

 この会話ドラマチックだな!(笑)

 渚さんに今後付き纏わないようにしてやるぜ!

 渚さんはメール友達だからな!会った事あるからとか関係ないよ!女性に対して暴力振るうのはゆるせんからな!


 渚

 荻窪駅で待ってて!今向かってる!


 ゴミタロウ

 来るの?


 ゴミタロウはナビを使って荻窪駅のロータリーに車を停めた。アイドリングしてハザード付けて交番近くに停めていると警察官が近付いてきた。

「すいませぇん!どの位停める予定ですか?」

「解んないけど長い時間はかかりませんよ」

「今日はどんな目的で来ましたか?」

「友達がくそ野郎にレイプされたからソイツらを成敗しに行くの」

「え?」

「警察はその後に出番があるからなんかあったら110するよ」

「無理せずに警察に連絡してくださいね!」

「ありがとうございます」

警察は交番へ戻っていった。


 渚

 もしかして今警察と話してた?


 ゴミタロウ

 お!よくわかったね!


 メールを打っていると助手席のドアがノックされた。

 マウンテンパーカーを着た女性が見えた。

「渚さん?」

「はい!ゴミタロウさん!」

「寒いのに!」

「乗ってもいいですか?」

「どうぞ」

渚は大きな車に乗り込んだ。タバコ臭い車内は古そうな感じであった。

「タバコ臭い!」

「タバコ吸ってるからね」

渚はゴミタロウをみた。

 目つきが鋭くでも優しそうな顔をしている。思ったより身体は小さくて、そしてマウンテンパーカーを着ている。

「六本木の場所教えてくれたら俺は一人で行けるよ」

「一緒に行くよ」

「危ないだろ」

「だって顔知らないでしょ?しかも今二時だよ?」

「確かにな」

「あの人達もう居ないと思う」

「それ!考え無しに来ちゃったな!」

「え?」

ゴミタロウは笑った。可愛らしい笑顔であった。

「渚さんは取り敢えず帰りなぁ寒いから!明日さソイツにメール送って呼び出そうぜ!」

「え?恐いよ」

「家まで送ってやるよ!渚さんの住所知ってるなら来るかも知れないから待ち伏せだな!近くに車止めて張り込むわ!」

ゴミタロウはニコニコしてタバコを吸い始めた。


 渚はこの急展開と初めて会ったゴミタロウに緊張せずに会話してる自分に驚いている。


「あ!今メールしちゃえ!あなたたちのことを警察に言いましたってね!」

「大丈夫かな?」

「解らん!」

「恐いよ!」

「大丈夫!大丈夫!なんとかなるさ!」

ゴミタロウにアパートまで送ってもらった。


 ゴミタロウは少し離れた所に駐車場を見つけて停車して渚のアパートの入口を見た。


 あぁなんとなく自分の魂に価値が生まれてる気がするわ、どんな人か解らない人達のゴタゴタに首を突っ込んでるだけだけど、何だろうこのサバイバルな感じは…だが、暇すぎる。

 カーラジオを付けるとー。


 緊急速報…昨日起きた品川埠頭での暴徒数人が都内に潜伏しているとの情報が入りました。暴徒は唸り声を上げながら無差別に市民に襲い掛かるとの事です。皆さん十分に気を付けて外出してください。以上緊急ニュース速報でした。


「昨日そんな事あったのかよ。久し振りの東京は相変わらず恐い街だぜ」

携帯を見ると渚からメールがきた。


 渚

 起きてますか?


 ゴミタロウ

 起きてる


 渚

 寒くないですか?


 ゴミタロウ

 大丈夫

 それより寝な~


 渚

 寝れないです


 ゴミタロウ

 目を瞑って羊を数えると寝れるぞ


 渚

 逆に集中して寝れないですよ!それ!www


 ゴミタロウ

 俺は寝れるぞwww


 渚

 今どこですか?


 ゴミタロウ

 アパートが見える駐車場


 渚

 行っていいです?


 ゴミタロウ

 寒いぞ


 渚

 やっぱ寒いんじゃないですか!www


 ゴミタロウ

 寒くないけどな!


 渚

 無理しないでくださいw


 渚のメールに返信しようとしていると車の前に渚が立っていた。

 助手席に乗り込んで缶コーヒーをくれた。

「ゴミタロウさんはなんでこんなにしてくれるんですか?」

「さぁな」

「関係無いのに遠くから来てくれてこんな寒い車でアパート見ててくれるなんて」

「暇だからじゃないかな」

「いやいや、暇でもわざわざ危ないことしないですよ」

そんな会話をしていると空が明るくなってきた。


 そしてマーシャルからメールがきた。


 マーシャル

 もうすぐ着くから殺してやるよ


「きた!」

「お!どこ?」

「メール!」

「なんて?」

「もうすぐ着く!殺すって!!ヤバいよぉ」

渚は涙目になっている。

 しばらくしてアパート前にゆっくりと黒いアルファードが停まった。

「渚さんは伏せとけ」

ゴミタロウはアルファードから降りる三人を確認して車から降りようとしたが、三人の様子がおかしいことに気が付いた。ベロベロに酔ったように三人ともフラフラしているのである。

「なんだアイツら…酔ってるのか薬でもキメてるのか…」

「どんな感じですか?」

「三人ともフラフラしながらアパートの駐車場でウロウロしてる」

しばらく様子を見ていると通行人に三人が襲い掛かった。

「まじか!」

「どうしたんですか?」

「伏せてろ!」

「何が起きてるんですか?」

渚は見えないから不安で仕方ない。


 三人は通行人を食べ始めたのであるー。


 他の通行人にも襲い掛かり始めた。


「おいおい!どうなってんだ!容赦無しかよ」

「どうなってるか教えてくださいよ!」

「どうすっかな」

「なんか楽しんでません?」

「あの三人がな誰彼構わず襲い掛かってその人達を食ってんだよ」

「は?」

「今朝ニュースで言ってた奴だ!暴徒のニュース!」

「品川の?」

「それそれ!」

「ヤバくないですか?」

「なに!最初に襲われた人が起き上がってる!」

「え?見ていいですか?」

「おう!」

渚はフロントガラスから外を覗いた。


 マーシャルとラッパー達とそれ以外の通行人達があちこちで暴れていた。


「何これ!どうしよう!」

「これってあれだな!ゾンビだな!」

「嘘でしょ!」

「俺は嘘は付くけどこれはどう見ても現実だろ!言ってなかったけどな俺はゾンビ映画大好きでな!いつパンデミックが起きても良いように脳トレしてきたからな!」

「知ってたんですか?」

「知らないし!今は頭真っ白だし!」

ゴミタロウはタバコを咥えた。

 一見誰が暴徒で誰が一般人か見分けが付かない。


「家に何か取りに行きたい物はあるか?」

「お財布!」

「金か!」

「玄関前に車で行くから直ぐに荷物を纏められるか?」

「え!?」

「ここに居たらヤバいから今のうちに遠くへ逃げた方が良いと思うぞ?それとも残るか?」

「に!逃げます!」

ゴミタロウはエンジンを掛けて勢いよく発進させた。混乱している人達を構わず轢いた。

「うわぁ!」

渚は容赦無く人を轢くゴミタロウに対して叫んだ。

 車の助手席側を玄関前に乗り付けてゴミタロウが渚を乗り越えて降りた。そのまま玄関を開けて渚を部屋の中へ入れた。


 部屋はシンプルであった。

 ゴミタロウは何故か女性の部屋に緊張している。

「あ!は、早く荷物を!」

洗濯機近くに脱いだ下着を見て顔を赤くしている。

「何見てるんですか!」

「あ!ごめん!」

渚はハイキングに行くのと同じ準備をした。

「オッケーです!」

振り返るとゴミタロウがまた下着を見ていた。

「こら!」

「あ!ごめんなさい!い、行くぞ!」

ゴミタロウと渚は玄関をそっと開けて車に乗り込んだ。


 ゴミタロウは何度か切り返して道路へ向かった。


 少し離れた所にあの三人が獲物を探してウロウロしてる。

「よし!」

ゴミタロウは三人に向かってアクセルをふかした。


 三人をまとめて轢くとボーリングのように三人が吹き飛んだ。更に一人づつバックで踏み付けていった。

「ゴミタロウさん!ヤバいね!」

「コイツらだろ?」

「そうですけど!やり過ぎじゃないですか?」

「スッキリしたか?」

「しましたけど!吐き気がします!」

「じゃあこの位で仕返しは終了だな!」

ゴミタロウは渚の頭をポンポンして車を走らせた。


つづく

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