酒でのんべんくらり

今日もこの一発を開ける。美味い!


俺はお酒を飲んでいた。今日も仕事が終わったから。やっぱこういう時はこうが一番だねえ。最高だなこの時この一杯。


んー。でもこれが終わったら俺、そろそろ。


死にたいな。


俺みたいに特に何も恵まれている訳でも無ければ生きている価値も無いよな。


はーショック。何かあったらなあ俺にも。


これから自殺する俺には何でもない事だけどな。


あの世へ行って楽しい生活を謳歌するんだ。


「それは違うぞ。」


えっ誰だ


目の前に黒い空間が現れて何者かの声がその奥から聞こえてきた


「あんたの自殺を止めに来た。」


「俺の自殺を?」


「そうだ。貴方はまだ現世でやり残している事がある。」


「そりゃああるだろうな色々。仕事とか、お通貨納めとか、品物を手に入れたり、色々。でもな、俺は疲れたんだ。もう。だから死にたい。止めるなよ。」


すると穴の中からすっげー美少年が出てきた。何だこれ?何の魔法だ?俺今夢でも見ているのかな。


突然何もない空間に穴が現れて、中からとんでもない美少年が出てきた。そんなのあり得るのか?


「それは止める。貴方は自分の命を無駄にしようとしている。折角生まれてきたのに。バカな事をするんじゃない。」


「何がバカなんだか。俺は何の取り柄もないから死んでも誰も気にしない。良いんだよ。」


「違うだろ。貴方が自分の事をよく見ていないからそう思うんだろ。そう自分の事を思い違いをしている事で周りにも迷惑が掛かるんだ。それだけだ。」


「まさか。」


「そのまさかだからな。変だと思ったんだ。この辺りに悪い波動がしてな。誰かが自殺をしようとしていそうな感じがしたんだ。だから止めに来た。」


「そりゃどうも。というか波動を感知ってお前、何者だ。何も無い空間に穴を作って出てくるのも変だろ。」


「俺を知らないか。そうか。俺は、霊媒師だ。」


「霊媒師。そうだとしてもそうやって何も無い空間から現れることが出来るほど魔法的な事が使える霊媒師は見たことないわ。......あ?ま、まさかお前もしかして」


「どうだ。分かったか、俺が誰だか。」


「ま、まさか、君は、スバルくんという霊媒師の子かい」


「そうだよ。俺はスバル。ヨイガ スバル。関東住みで霊媒師をしている。以後、お見知り置きを。」


「嘘だろー!?」


俺は倒れそうになった。そんな子がまさかいる、というのは知っていたけど、来るなんてな


わーーーやべーーー


「フッ。相当驚いているようだな。本物だからな。言っとくけど。」


「マジか。俺は死にたいけどな」


「生きているだけで完全である。それが分からないか」


「分からないね。何が完全なんだろ。どこもそうじゃないよ。ほら、この太っ腹。」


「それはな、自分らしく生きていないからそうなってるだけっつーだけなんだ」


スバルくんは俺のまあるく出ている腹を指でつついた。


「俺らしくな。何やろうなあ。また転職、ももう飽きたんだよな。ホストとかにも手をつけたりしてみたけど俺なんかに出来るかあんなの。一変して水商売にも申し込んでみたりしたけど貴方じゃそもそも無理だって言われたよ。芸能入って一発儲けっていうのも考えてみたんだけどな、それもまたダメだと世界から言われている様な気が....って、聞いてるか」


スバルは何かを作っている。


何か、小さな袋に砂の様なものを入れているみたいだ。


そしてその袋の上を紐を引っ張って縛った物を俺に差し出してきた


「はい。これ、日頃から持ってろ。」


「何だよそれ。お守りというモノか。」


「いくら貴方でもそれぐらいは知っているんだな。」


「バカにしているのか」


「そうかもな。それを肌身離さずに持っていろ。良い事あるかもしれないぜ。この俺が人生のコーチングをしてあげているのだ。感謝をしろよ。」


「何か、ありがとうな。このお守りが何になるかは分かっていないが。」


「楽しみにしていてもいい。」


彼は笑った


そしてまた空間に穴を開け、その中に飛び、また穴が閉じられた


何だったんだ、今の


何だか変わった出来事だったな。


まあ、いいか。このお守りを肌身離さずに持っていれば、俺の人生は変わるのかな。


よし。持っていよう。


何があるかな。


あっ?


スバルに突かれた俺の丸い腹が引っ込んでいる。どういう事だ。あの子のおかげかな。何か、感謝せねばな。


スバルくん只者じゃないねえ


すっかり酒の酔いも冷めていた


また酒を飲んで、寝るかな。


おやすみ。


ーーーーーーー


ーーーーーーー


ーーーーーーー


ーーーーーーー



んー。やっぱ起きたて気持ちがいいよなー。で、会社は行こうとする気がすると鬱になるんだよな


その時、通話が掛かってきた


何だ


出る


「ーーくん!突然だけどね、朝で悪いけどね、今日の会社の仕事は昨日に別の子がぜーんぶやってくれたからさー、今日は君はお休みでもいいよー。他の仕事がやりたかったらそうさせれるけど、どうするー?」


何だこれ、希望の光か


ここで休めばまだ寝ていられる!


「あっはい!休みます!休ませて頂きますー!」


「そうかい。じゃあ、今日は君は休みね。ごゆっくりー。またねー。」


「はいー。」


通話が終わった


「っっっしゃーーーあ!」


嬉しかった。やばいよこれ。スバルくんのお守りのおかげかなあ。それならこの守りは肌身離さずに持っているかな。


そうだ。このお守りをつけたまま外を歩いていたらどうなるんだろう


俺は外に出ることにした


みんなかっこいいなあー。そう思えるくらいには心が元気だ。


よっ、今日も元気か、坊。


外を歩いていた野良鳥に話しかけた。そこまでは気分がよかった。


何となく、これから何をしようか考える


たっくさん寝れたし、色々することできる。


ちょっと昼間からバーでも行くかな。


俺は乗り物にのってバーへ向かった。


ホステスのママが迎え入れてくれた。


折角なので、お酒の他におつまみやら何やら頼んだ。


するとその色々なのがきた。


めっちゃ豪華。


それらをたらふく口に入れる。


めっちゃ美味い!


それらを堪能した後


芸能界へまた売り込みでもしてみるかなー。


俺は芸能界へまた申し込んだ。採用だった。そして俺は持ち前の下半身を揺らすだけの下ネタを披露した。


するとみんな笑ってくれた。


楽しいと思ってくれて嬉しかった。


そういう気分で廊下を歩いていた。


すると前の方の空間が突然歪み、スバルくんが一瞬で現れた。


「そろそろいいだろう。その辺にしておけ。」


「スバルくん!この頃人生が楽しくて楽しくてしょうがない事が起こり続けるんだけど、これって君のおかげかい」


「そうだよ。その辺にしておけ。これ以上行ってしまったらいずれ取り返しのつかないことになる。そのお守りを、返してくれ。」


「なるほどね。うん。そうかもしれないね。はい。」


俺はお守りをスバルくんに返した


「聞き分けの良い子だな。よくあるイマジネーションなら「まだ楽しんでから」って言う人がいるものだから安心したな。」


「俺はそこまでおバカじゃないよ。悪いけどそこまで現実はバカだらけでもない。」


「それならよかったな。よしよし。貴方はこれからどのようにして生きていけば良いかを理解しているか」


「うん。しているよー。俺らしくね。」


「分かっているじゃないか。その様子から大丈夫そうだな。」


「うん。ありがとう、スバルくん。大切なことを知った」


「ようしようし。良い子だったな。悪かったな、君のことを見くびっていて。」


「いいんだよ。俺はお酒に酔い潰れるおっさんだし、そう思われていても仕方がないさ。」


「じゃあ、またな。また何かあったら相談しに来い。」


「またねー」


スバルくんは砂のように粒々になって何処かへ消えた


持ち前の下ネタ芸で喜んでもらえたし、芸能界も引退をした。


「折角良いブームになったのに何で!」って言われたが、俺はもう満足をしていた。だから引退した。


そして元の会社へ戻った


すると良い事が色々あった。


スバルくんに教えてもらった言葉と経験、それらが生きていたから。


俺らしく生きている。


すると生きている事自体が幸せなことなんだということを悟った。


それから俺は自分のしたいことを見つけた


建設業で命が住まう家を建てるのがおもしろくて仕方なくなった


癒されるんだ。


自分の作る家に住んで、癒されてほしい。


そんな心を込めて作る俺の家は良い家だ。


それを信じて日々を過ごしている。


人も喜んでくれた。


何より嬉しかった。


スバル、ありがとう。


ーーーーーーーー


俺は芸能界へ売り込んでいた


元の容姿の強さから直ぐに俳優として採用された


「1000年に一度の美形俳優」


そうキャッチフレーズをされた


そしてブームとしてなったが


それは一気に消沈をした


それは俺がブームをした後に帰ったら霊力で世界中の人の記憶の中から俺という存在を消したからだ。何でもない。あの人の楽しそうな雰囲気を見て、俺も少しだけ芸能をやってみようと思っただけだ。


それだけだよ。


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