そのサーカスは
私はサラリーマン。この頃仕事が忙しくて最近とある話題なサーカスへ出向いている。癒しのためだ。
今日は何をやるだろうか。楽しみだ
「では、これから獣の縄跳びを始めまーす!」
獣の縄跳びか。おっ。あれか。
左から兎や猫や豹などがでてきた。全体的に小型の動物達だ。
「でーは、みんな、位置について」
すると獣は皆、それぞれが横に一直線のように並んだ
「どーん!」
すると獣達は皆、縄跳びをする
そうだ。縄跳びだ。
両手を紐の端を持ち、回して飛んでいるのだ。人みたいに。
これは初めて見たので驚いた。
同時にある疑問が過ぎった
確か動物の遺伝子を改良して人のように知的にさせるのはかなり前から違法だった筈。かれこれ200年は前から。
そのようだから、今目の前に起きているこの事は問題ごとである筈なのだが
何故、誰も注意をしないのだろう
それが疑問だ
いや、みんな不安そうな顔をしている。やはり気になっているのか
「はーい みんな飛べましたねー。じゃあ次はこの子達を刺しまーす」
不安な予感がした
女は剣を持ってきて、動物達に箱を装着させ、勢いよく刺した
すると動物達は平気そうに息をしている
「はーい!無事ですねー。」
「じゃあお次はこれ!」
女は電動鋸を用意した
「はーい!じゃあこれからこの子達に箱もタネも仕掛けもなしにやりまーーす!」
--おいおい、流石にやりすぎじゃないか?--
--動物殺害だよね?--
--あんなので生きていられる訳ないじゃん。今すぐに辞めさせてー!--
--そうだよ辞めさせろ--
民衆が喚声を上げた
私も見ていられなくて思わず目を瞑り、声を上げた
「やめろ!」
?「大丈夫だよ。何ともないから。」
横から声が聞こえた
「えっ?」
「-------はーい!無事でーす」
私は恐る恐る目を開けて見てみた
すると体を切られた動物達の死骸が血まみれで散らばっていた
私は悲鳴を上げた
?「というのは僕が見せた幻想だよ。現実は無事だよ。ほら。」
私の視界はまた復活させられた感じだった
ステージの上を見てみると動物達は無事だ
同時に疑問が浮かんだ
何故だろう?
電動鋸で切られたら無事でいられる訳が無いじゃないか
「はーい!お次は火の輪くぐりでーす」
黙って見ていた
が
それ以降は普通のサーカスだった
終わり、帰る
ああ、奇妙だったな。
私は帰る時もとある疑問が浮かんでいた
何故だろう
あの見せられたのは幻想だった
横の人が見せてきた幻想
体を切られた動物達の血まみれた死骸
そうなのがあるのか
今日は災難だろうか
家に帰った後も悶々としていたが、気分を変えるために小説を読むことにした。
体も洗ったし。
最近愛読をしている「そのサーカスは」。
最近巷で惹かれると話題だ。
今日の不気味なこともあったものだしで、心を入れ替えるために最初から読むことにした。
ーーーーーー
そのサーカスは
ーーーーーー
「私はサラリーマン。この頃仕事が忙しくて最近とある話題なサーカスへ出向いている。癒しのためだ。
今日は何をやるだろうか。楽しみだ
「では、これから獣の縄跳びを始めまーす!」
ーーーーーー
---------???
これは
今日の私の体験と同じじゃないか
こうな内容ではなかった筈。
次も読んでみる
ーーーーーー
「獣の縄跳びか。おっ。あれか。
左から兎や猫や豹などがでてきた。全体的に小型の動物達だ。
「でーは、みんな、位置についてー」
ーーーーーー
--------おかしい
次も読んでみる
ーーーーーー
「すると獣は皆、それぞれが横に一直線のように並んだ
「どーんっ」
すると獣達は皆、縄跳びをする
そうだ。縄跳びだ。」
ーーーーーー
やはりおかしい
一応の確認のため、次も読んでみる
ーーーーーー
--------------「じゃあお次はこれ!」
女は電動鋸を用意した
「はーい!じゃあこれからこの子達に箱もタネも仕掛けもなしにやりまーーす!」
ーーーーーー
確定だ
これは今日の私の体験と同じだ
どういうことだ
そんな筈ではないのだが
何ということだ
どうして
今日の人か
あの人ならこういう事をしそうだな
という考えが何故かよぎった
気持ち悪いな
これは
霊能者に相談するべきか
気持ち悪いから相談をしよう
そういえばここ、関東にはかの有名な霊媒師の少年がいると話題がある
その子のところへ行ってみようか
何気なく小説の表紙を見たらとある事に気付いた
この小説の作者の名前が消えている
ただ「そのサーカスは」という題名があるだけでそれ以外に出版社名も何も書かれていなかった
そういえば表紙の色も赤だ。確か黄色だったはずだったのに
これはおかしい
こうではなかった筈だった
やはり相談確定だ
あの少年霊媒師の住所は
電波上で調べる
おかしい
電波が繋がらない
窓から外へ出てみる
それでも繋がらない
どういうことだ
どういうことだ
なぜ
なぜ
言葉が浮かばない
何者かの気配を感じる
この部屋の中に
小説を置いたテーブルの上に何かがいる
あれは何だ
見たところ
生きている人じゃない様だ
人の形をしているが
何だあれ
うわっ
こっち見た
やばい
この部屋を出なければ
私は急いで自分の部屋を出た
息が上がる
「お兄さん大丈夫?」
その声に安堵をした。
私は助かったのか
このマンションの住人だ
「あ、あぁ。心配してくれて嬉しいよ。ちょっとあってね。」
「あら。そうなの。あんまり気にしない方がいいよ。」
「それができたらな」
笑って言った
手持ち機器がバイブレーションを起こした
見てみたら単なる店の広告通知だった
それで思った
電波が繋がる様になっている
私はそこから忙いであの若手の霊媒師の番号へ電話をかけた
助けてくれ
これは間違いなく、彼に相談だ。
「---------はい。こんばんは。」
出た!
「こんばんは!あの、ヨイガ スバルさんのお電話はこちらで宜しかったでしょうか!」
「はい。」
「助けて下さい!部屋の中に幽霊が、幽霊が、出たんです」
「幽霊が」
「そうなんですよ!大変なんです、早く、早く」
「えっと、幽霊が、ですか。はい。お気を付けて」
-----------?
電話の相手はこの時だっていうのに覇気がない
なんてこった
助けてくれなさそう
「あの、部屋に幽霊が出たんです、助けてほしいよ」
「あ、はい。すみません。」
何か変だな
「あの、貴方は本当にヨイガ スバルさんか?」
「そうですよ、ヨイガ スバルです。」
あんまり聞いていた性格とは違った雰囲気を出しているなあ。僕が聞いた話だと電話の受け答えもしっかりしていて真面目な感じだと聞いていたけれど、この相手からはそうな感じはない
「こちらへ来てくださいよ!幽霊を追い払って!」
「幽霊を追い払う?あぁ、なるほど。んー、えっと、はい。」
「何なんです、その受け答えの仕方は。こちらの住所を言うね。」
「あっはい。ちょっと待っててくださいね。覚えられにくいもんで」
「メモりゃいいでしょう」
「あっ、そうか。メモメモー」
何だこの人
「はい。よういをしました。ご住所をいってくださいー。」
「東京都.......」
「あっちょっとまって。」
「えっ」
この時に何だってんだ。こっちは急いでるのに。
何だろう
この人は本当に噂のヨイガ スバルくんなのだろうか
怪しいなあ。番号間違えてないか
確認をしてみる
確かにこの番号はヨイガ スバルくんの家で間違い無かった
「あーー、お客さん、あの、申し訳ないのですが」
「なんです」
「こちらまで来てください。住所は書いてあるとうりなので。」
切れた
通話が切れた
うさんくさいな何か
でも書かれてある住所は本当にヨイガ スバルくんのお家で間違いなさそうだ
行こう
私は乗り物に乗った
飛んだ
空を切る風が気持ち良い。
この一時だけでも煩わしさを忘れさせてくれているようた。
そして着く
ここかあ。
そこは和風の家で広い。
見惚れる
こうしている場合じゃなかった
インターホンを押す
しばらく待った
誰も出ない
もう一度インターホンを押す
しばらく待った
うんともすんとも言われない
もう一度インターホンを押す
しばらく待った
誰も---------
黒い者が横に突然現れ、私に軽くぶつかった
「うわっ」
黒い者はヘヘッと笑ってドアを開けた
庭も和風だ
廊下を進ませられ
とある一室に案内される
黒い者は「ここだよ」という様に動作をして、ドアを開ける
すると下に頑丈そうなドアがあり、それを開けて下へ続く降りがあった
黒い者はそこを降りる様に動作をした
そして上のドアが閉まる。その音は頑丈そうな音だった。
前は下へ下へと続いている
降りていく
降りていく
降りていく
ーーーーーーー
するとドアが見えてきた
あれかい、と黒い者に尋ねる
すると何度も頷いた
ドアに着き、黒い者がドアを開ける
すると下品な格好をした男性が妖艶な黒髪をした美少年が乱暴をしている場面が見えた
「あっ、スバルさん、誰か来たみたいだよーぅ」
「あ?あぁ。そうか。こんばんは。はじめまして。」
「はっ、初めまして」
僕はつい緊張をしてしまった
「電話の時はすまなかったな。この出来ぞこないが、申し訳ない対応をしてしまったな。」
そう言って少年は倒れている男性を蹴る
ぐあっと声を上げた
「俺が出ればな。ちょっとその時はここの整理で手がつけられなくてな。代わりにこの男が対応をしていたのだが、余りにもそつのある対応だったな。」
少年は申し訳ないと謝った
「あの、君が、ヨイガ スバルくんかい?」
「いかにも。俺がヨイガ スバルだ。宜しくな。」
安心した。噂通りの性格だ。真面目でしっかりしている。
「あの、スバルさん!」
「大丈夫だぞ。聞いてる。録音から。大義だったな。俺がいるからにはもう安心だよ。」
俺は安心した。
隣の黒い者も笑った
「そいつは俺の生み出した霊的生物だ。いい子だから安心しな。」
黒い子は笑っている
僕は安心感で溢れた
「これから君の部屋へ行くぞ。」
「あっはい!僕の乗り物に乗ってください。案内します。」
「あ、それは いやいいか。その方がいいな。乗り物も自分の家に着けるし。へい。そうしてくれ。」
「僕の乗り物で案内をしますよ。乗り物も僕の家に着くので。」
「そう。頼む。」
二人は上へ上がり、廊下を戻って玄関を出て、乗り物に乗る。
そして飛んだ
にしてもスバルさんって美人だなあー。顔立ちからスタイルまで、まじで抜群だ。
いいなあ、と羨みながら空を飛んでいた
着く
僕のマンションだ
部屋へ案内をする
「ハッ!これは確かに厄介なのを連れてきたみたいだな。」
「え、連れてきた、あの、僕の愛読している小説の上に立っていたんだ。それは小説に取り憑いているのでは?」
「いいや。そうではない。貴方は昨日辺りにどこへ行ってきた」
「サーカスっすよ。あのーーのところの。あそこで芸を見てきた。」
「多分そこだろ。気色の悪い怨霊が貴方に取り憑いている。何かをされなかったか?」
「ああそういえば。」
私は横から現れた人のことを思い出した。いや、声しか確認できていなかったから姿は分からないけど。
その人は幻想を見せてきたんだ。
サーカスの芸で血まみれになった動物達の死骸を
あれは不気味だった
「えっと、された、と思います。何か、変な幻想を見せられましたね。」
「なるほど。それはな、貴方を死に至らしめるための素材だ。」
「し、死に」
「そうだ。不気味な思いをしたな。そいつは貴方の事が好きらしい。貴方の中から何かを感じたのだろう。」
怖い
嫌だ
「不気味だよな。よしよし。そいつは他に何かをしなかったか?」
「ああそういえば、多分、なんですけど小説本をやられましたね。内容がいくら見返しても見返しても前に読んだ時と違う内容で、しかもそれは昨日僕が体験したのと同じなんだよね。」
「なるほどっ。」
スバルくんは笑い声を含ませながら返事をした
「それはな、多分貴方への挑戦だろうな。」
「ちょうせん」
「あぁ。君はそれを全て読んだか?」
「いいや。読んでないけど。」
そういえばあの小説、内容を最後まで読み切っていなかったな。怖くてあの場面、僕の体験の場面で閉じたんだ。あのまま読み続ければ何が書かれていたのだろう。
不気味な感じがした
「そうか。読んでいないのだな。それでいいよ。君は救いやすくなった。」
「えっ そうなのかい」
何だか安心した感じがした
「ああ。その小説を最後まで読んでしまうとな、命がとられていたものだったぞ。自分でも無意識で死ぬんだ。気が付かないで。」
そうなのか、何だかゾッとした
「安心しな。君は無事だ。これから除霊をするから俺に任せておけ。」
「は、はい。あのサーカスで横から話しかけてきた人が怨霊なのかなあ。」
「そうだよ。姿は見たか」
「姿は見ていなかったね。横からの声を聞いただけだから。」
「なるほどな。うん。そいつが君に取り憑いた怨霊の正体だよ。そろそろ着く頃か」
そして部屋についた
「禍々しいな」
スバルくんは笑った
部屋のドアを開ける
すると部屋の中が真っ暗であり
幽霊は見えなくて、リビングに向かうと愛読している小説「そのサーカスは」があった
「気を付けろよ。君の目には誰も見えてないだろうが感知はしてるからな。」
「!!」
息を呑んだ
そうだった
いるんだった
「ようしようし。それが問題の小説か?」
「そうだよ。これが、問題の。」
「ちょっと見せてみろ。」
スバルくんは手に取った
「やっぱ今時でも、手に持って読むのは良いものだよなー。」
スバルくんは小説を見ている。
「あのサーカスは」を。
ーーーーーーー
あのサーカスは
ーーーーーーー
「私はサラリーマン。この頃仕事が忙しくて最近とある話題なサーカスへ出向いている。癒しのためだ。
今日は何をやるだろうか。楽しみだ
ーーーーーーー
スバル「................。」
スバルは続きを読んだ
ーーーーーーー
「はーい!これから獣の縄締めをしまーす!」
獣の縄締めか。おっ。あれか。
ーーーーーーー
ここか。
ここから何かを感じる
ここが不穏な霊気が漂っている
これ以上読んだら霊気に塗れて吐きそうだな
ここで閉じた
「これから除霊をするぜ。貴方はそこに座ってくれ。結構厄介なやつだぞこれ。ま、俺に罹れば直ぐだけどな。」
「おうっ。」
安心する。この子は心強い。これで私に憑いているのが取れるんだね。
スバルくんは手持ちから図形が描かれているシートを用意した。床に広げた。
そして塩を取り出し、シートに撒いた
「おい。この図形の中央に座れ。」
座ると、身体の中にある重い物が抜け出そうという感じがした
心強い。
そして彼は懐から数珠を取り出した
「やるぞ。」
スバルくんは念仏の様な呪文を唱えた
!
僕の身体の中の重い何かが蠢いている
うっ
「いいぞ。そのまま気をそれに委ねてくれ。少し眠るだけだから。」
僕はその中から蠢くのに対して精神を受け渡した
ーーーーーーーー
夢を見た
僕が初めて仕事に就いた時の新社会人になりたての時の夢
ふわふわしたお布団で寝転がっていたら手持ち機器が鳴った
何かと思って見てみたら
採用されたという結果だった
すごく嬉しかった
自分が好きな分野だった
とっても働ける気がした
毎日休まず出勤をした
楽しかった
ライバルが現れた
僕の仕事を代わりにやると言い
その人は有能だった
僕の仕事が全部取られた
その人は僕を見てニヤついた
僕にしか見えない笑みで
絶望的だった
仕事も辞めさせられた
そこで救ってくれたのがミサトだ
大好きな仕事を辞めさせられた僕を養ってくれた
ミサトは17の時からの友人
彼女が僕を救ってくれたんだ
生きる希望を見出した
この子の為に、僕はまた新しいお仕事に就こう
そしたらごく普通の企業に就職できた
そしてまた働ける様になり、お金が入る様になった
それを全てミサトに貢ぐ勢いだった
そういう毎日も楽しかった
いつの間にか結婚もしていた
ある日、帰ってきたらミサトが口から泡を吹いて死んでいた
また絶望だった
僕は何も考えられなくなった
自殺だった
それはおかしかった
あからさまにミサトは僕との生活を楽しんでいたし、充実もしていたし、幸せそうだった。
自殺なんて有り得ない
何で
そう思って警察に相談をした
そしたら自殺で間違いなかった
それでも何かおかしい
そう思ったまま日々を生きている
ーーーーーー
「...........。」
「あ、目が覚めたか。終わったぞ。無事に取り憑いていたものは取れた。安心するんだな。」
「そうですか。ありがとうスバルくん。」
「うん。良かったよ。そして、この部屋で誰が亡くなったんだ?」
「えっ 分かっているのかい」
「あぁ。この部屋は以前、誰かが死んでる。恐らく、貴方の妻、かな。」
「そうなんだ。彼女は僕の妻。答え合わせをしてみたいからその人の名前まで分かるかい?」
「ホウジョウ ミサト。旧姓なら、ハルノ ミサト。」
「流石だね!よく分かっているじゃないか。ねえ、彼女は自殺だとして片付けられたのだけど僕はそうではないと思うんだ。一応、君が分かるなら教えて欲しい。自殺な訳が無いんだ。死因は、何だい」
「流石だね。夫妻の愛はとても美しい。うん。ミサトさんは自殺じゃない。殺人だ。とは言っても、生きている人間が行ったものでないから自殺だと断定されたのだろう」
「そうだよねやっぱり。ミサトは自殺なんかじゃない。幽霊の仕業でも無ければ辻褄が合わない。」
「あぁ。その妻を殺したのは君の行ったサーカスのあの司会の女だ。」
「あの女?普通にサーカスの司会を務めていたあの」
「そうだよ。そいつはな、幽霊だ。」
「まじで」
「うん。今からあのサーカス、はキツイな。一晩経ってから行くぞ。」
「うん。えっと、スバルくんはどうするのかな」
「一旦帰るが」
「え!待ってくれそれはやめてくれよ!僕まだ祓い立てで怖いんだよ。一晩泊まっていっておくれよ。」
「良いぞ。ふふ。かわいい子だな。じゃあ、泊まっていくか。」
「それが良いから!」
スバルくんはここに泊まる事になった。嬉しいな。
彼は見つけられた寝室へ行き、自分の寝床を作っている。
「何食うかな。そういえば俺、腹が減っているのに気が付かなかったわ。除霊で。なあ。何か食うものあるか。」
「冷蔵庫にいろいろあるよ。好きなの取ってお食べ。」
「ありがとうな。お兄さん。何だか花華みたいだな。」
「花華?」
「あ、いや。気にしないでくれ。俺の、大切な女の名前だ。」
へえー。スバルくんって若いのに既に好きな女がいるんだなあ。大人だなあ。あっ!顔を赤らめてる....
僕はジーッとスバルくんを見ている
やっぱかっこいい子だなあ。
噂には聞いていたけど本当に美人男の子だなあ。
足も背も長いし顔もかっこいいし髪の毛も綺麗だ。
スバルくん、いいなあ。ふふ。
僕は憧れの目で彼を見ていた。
「じゃあ、パエリアやサンドイッチ貰うけど良いか?」
「うん。いいよーー。」
彼がお食事を始めた。ひゃあ!食べる姿もかっこいいやん。
「今日はいろいろお世話になったから、いろいろ食べても良いんだよ、スバルくん。」
「ふっ。有難うございます。また食べてしまうかもな。美味いわ。」
あーかっこいいねえその顔。君は成長期なんだからたくさん食べて大きくおなりよ。まあ今のままでも君は充分にスタイルが良いけどさ。ふふ。
僕もそういえばお腹空いたぞ。何か食べようかな。
僕も冷蔵庫へ行き、色々探った。おにぎりや食べかけのラーメン、缶や魚もある。何にしようかな。
じゃあ、憑き物取れた事だし、おにぎりや魚や缶にでもするかな!
それらを温める。
すると美味しそうな夜ご飯ができた。
いただきます!
超美味そうだ。
あ、美味い!
これぞ生きてるって心地だわーー。
ふと見たら、スバルくんがこちらを見てニヤニヤしていた。
「何だい?」
「いやさ、お前のその食ってる姿さ、何か花華や大斗みたいに子供でかわいいなって思ってさ。」
「へぇー。」
子供みたい、それをこの子供から言われてしまった。何だか照れるな。てれってれだ。
「じゃあ、俺は食い終わったから色々してそろそろ寝るぜ。君の隣で寝るからな。お前も早く寝ろ。」
「はーい!」
彼は口の中を洗ったり体も洗ったりして、ベッドへ横になった
僕また同時に色々してからスバルくんの隣へ横になった
近くにスバルくんの体がある。
噂のとうりに肌も綺麗だなあ。身体大っきいな。大人の僕が彼の方が大人だと思う体型だ。身体の全体的なパーツが綺麗に形成されている。
それに見惚れながら僕は寝た
ーーーーーーーーー
既に寝ていたから熟睡はなかった
ーーーーーーーーー
昼ごろになっていた
寝るのが遅かったからな
横にはスバルくんの姿は既にない
何をしているのだろう
そう思ってリビングへ行ってみた
すると彼が座禅を組んで瞑想をしていた
その姿もかっこよくて思わず呼吸を忘れて見惚れる。なんかとても強そう。やばい破壊力だ。
こりゃあ女子から人気が高い訳だよ。しみじみ思う。かっこいいなあ。やばい。スバルくんの才能も本物だし、いいなあ。いいなあ。
僕は遅めの朝ごはんを食べることにした。
スバルくんは?と聞いたら「もう食べた。有難う。」と言われた。
そしてスバルくんは外出をする身支度をする
私も同じく、愛するミサトを殺した犯人を成仏させる準備をする
そして僕たちは家を出た
そしてあのサーカスへ向かう
進んでいくにつれ、スバルくんの顔が険しくなっていく
もう直ぐ着く
「ここか。」
着いた。このサーカスだ。僕が最近よく来ている。一昨日はひどい有様だった。今はやっていないみたいだ。昼間だからかな。
スバルくんは足を進める。
僕もついて行った
中に入ると団員達がぐったりと項垂れているのが見えた
僕たちは駆け寄る
すると団員がこちらに気付いた
「あ、、お客さま、、、、あの、今は、、やっていませんよ、、、また、夜にやるので、、、、すみません、、、」
「お前達、大丈夫か!」
スバルくんは団員の一人一人に声をかけ、彼らの中の呪縛を解いたみたいだ。可憐に数珠を周り動かすスバルくんが見える。
すると団員達はみるみる顔色が良くなっていく。良かった。みんな元気になってきた。
「お前達は今すぐに帰るんだ。そして神社や寺などでお祓いをしてもらえ。いいな?こういう原因にしたやつと今から話してくる。」
団員達はうんうんと頷いて、帰る。
スバルくんの力をまたしみじみ感じる
そして彼はサーカスの中の部屋へ移動をした
僕もついて行った
すると団長室の様な場所が見えた
入ることにした
すると部屋の中央に例の女の人が立っていて目線をこちらに既に向けていた
ゾッとした
「来たわね。」
「あ。俺が何であるのが分かるのか。」
「分かるわ。数時間前くらいずっと前から強烈な霊力を感じたもの。」
「じゃあ話が早いな。お前は生前、団員を何人殺した?」
「まあざっと、28人、くらいかな。」
「やはりか。その中に特に怨念の入ったのがいたぞ。そいつが仕事に害をなしてきたらどうするんだよ。」
「あぁ。あの人ね。それ、貴方の後ろのその人へ行ったみたいだけど。結局成仏したのね。」
「うん。この男性は困っていた。過去にお前が起こしたことのある出来事を見せてきたみたいだったぞ。動物の姿も今の子達に変えられていたぞ。まあ、その正体は単なるイタズラの霊だった上、こちらの男性さんと同じ感情で愛する人を殺されている。それが理由で只の同情心から苦しみの無い黄泉の国へ引き摺り込もうと厄介な事をしていたに過ぎない。」
「あぁー、やっぱり。それは想定内だったよ。まあ、成仏したんだったらこれ以上は害は無いわね。」
「想定していたのか。それで放置をしていたと。客に害を加えるのに、へえ。そんなんでよくサーカスできるな。その子の愛する人もお前の団員なのにな。あと、問題なのはもう一人いるんだ。お前はミサトという名前の女性団員を、殺したな」
えっ?!ミサトが、ここのサーカスの、団員だったって
「ミサト!あぁー、あの子ね。うん。殺したわよ。だってあの子私の事を嫌がっていたんだもーん。金に目がなさすぎるって。私があの子の体内の中に入って。終いには口から泡を吹いて倒れたよねー。あっちの子の方はね、うん。そうよ。少しだけだったから。それで、貴方は私を成仏させるつもりなの」
「やっぱりお前がミサトさんを殺した犯人だったんだな。そしてそんな下衆な理由でか。そうだ。ここはお前のいる世界じゃ無い。有るべき場所へ帰るんだな。」
「うん。そうだよーって、下衆だなんて失礼よ。私は単にあの子が貧乏っぽくて惨めだったから殺しただけー」
やっぱりこの女が犯人なんだ。ミサトを殺した。しかもこいつ見るからにクソな性格してんな。
どうしようか。怒りが。
「なるほどな。お前がクソなのはよく分かったよ。ここは君のいる世界じゃない。さっさと成仏しろ。」
「ほーう。私をそうだと思っているかあ。まあそうなんだけど。何かこのまま天へ帰るのは違うかなって。なんて。良いんだ。私、貴方の顔を見れて未練がなくなったわ。」
「はっ。私の未練というのは「良い男が見たかった」ただそれだけよ。その為に家系からなるサーカスをやっていたの。お客さんを見定めしていたけれど、ついに見つけたんだわ。貴方という、光を。それで私は成仏できるわ。」
「なるほどな。君の死亡要因はなんだ」
「首吊り。世界にイケメンいないから。」
「そうか。お疲れ様。よく頑張ってきたな。さあ、お休み。永遠に。帰るんだ。」
「はーい。ありがとう。スバルさーん。」
「ちょっと待った!」
「君は。どうしたんだ?この女はこれから成仏する。このままで良いんだぞ。」
「お前は、僕の愛しいミサトさんをそんな理由で殺しておいて、そう簡単に逃げられてたまるか。スバルくん、それかして!」
「?!」
スバルくんの手に下がっている数珠を取った
スバルくん驚いた顔をしている。ごめんね。
そして僕はそれを思い切り、女に向かって投げつけた
数珠は女の体に当たり、ジュッみたいな感じの浄化の音が聞こえたけれど女には何とも無かった
ああそうか。この女は既に成仏するから、仕返しができない。くそ。
「フッ。なるほどな。」
スバルくんは僕の頭に手を置いて、撫でた。
「それならその恨みを照華させる、とっておきのものを後で見せてやるよ。安心しな。」
そう言ってスバルは数珠を何かの能力で自分の手元へ引き寄せた。
「じゃ、お前は早く帰れ。」
「さよーならー」
女は霧の様に溶けて消えた
「スバルくん、どうしてだい。あいつにこの憎しみを」
「分からせれるぜ。良いもの見せてやるからちょっとまた俺の家に来い。」
スバルくんはニヤけている。
僕はその表情に何かの心強さ、理解者の現れを見た
何となく、スッキリした感じ
これから彼が見せてくれるものが楽しみな気
そして事を終えた二人はサーカスを出る
「にしてもな......」
ふとスバルくんの顔を見たら何とも言えない苦い様な表情をしていた
「どうしてこうも女ってのは男の外見に拘る傾向があるもんかね........」
彼はそう言った
そうして僕達はスバルくんの家へと向かった
乗り物を使って
玄関を通り、廊下を通り、スバルくんの自室へ着き、中に入った
「今から面白いもの見せてやるぜ。君をそこまで苦しめたあの女の行くべき道だ。」
果たしてどんなものなのか
彼は部屋の中の全身鏡に何か言葉を唱えた
すると鏡が波紋を打ち
とある光景を映し出した様だ
赤黒い、炎?
---けて---
?
---たすけて!---
---ぎゃあ---
---たすけ ゴフッ---
---無理だ。お前は生前に余りにも醜い魂をしていた。人を殺し過ぎた。だからこうして地獄にてお前の魂を浄化しているのだ。---
---うう、痛い、痛い、イヤ。私もう更生したから---
---いいやまだだ。あと100000億兆年はこの様な刑期を受けるのだぞ。そうでなければ更生されないからな。---
---じっ、じゅっ、う、うそでしょ---
思わず、見ているこちらも途方に思いそうな事だった。僕はそれを見て心底気分が良くなった。
「有難う。スバルくん。」
彼はフッと笑って鏡の世界を元の鏡に戻した
「また遊びに来いよ。」
「うん。いくね!」
そして僕は借り物の乗り物を使って家に帰った
そして日常に戻った
ミサトへのお墓へ挨拶をしてから会社へ行った
すると新入社員が話しかけてきた。リンゴというおいしそうな名前の女性だ。
僕はその子と一緒に仕事をしたり、昼食を共にすることをきっかけに仲良くなった。
遂には結婚のお話も出たりした。
ぼくは照れるけど、また幸せな毎日を手に入れた
すると頭の中に声が響いてきた
---良かったね。私は死んじゃってごめんね。そのお嬢さんと、お幸せに。愛してるよ。今でも。---
僕はその愛の心でいっぱいになり、涙を流した。
ありがとう。ミサト。
そして、小説「そのサーカスは」も著者名も全部、元通りに戻っていた
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