何かの集約 其のニ

そして景色はいつもの明るい夜の都会の街に戻り、人々は何事も無かったかの様に歩き出した。


放心をして力が抜けた。何気に逃げてきた道の後ろを見たら、なんとそこには何も無かった。只の家があるだけだった。改めて、スバル様のお力の恐ろしさを実感した。


スバル様のお身体から現れたあの化け物は何だったのか。


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その黒い、8本手足の化け物は跳ね、空中に浮かび、言う


「スバル様、良かったのですか?アイツを野放しにして。」


「あぁ。いいさ。素材はちゃんと成功させられたんだし。」


「ほええ。」


「ほえぇ?どうかしたのか?何か、詰まる思いでもあるか?」


「いいえ。何でも御座いませんよ、スバル様。」


そうスバルを憧れの目で見ながら顔を赤らめて言った。


(かっこいいなスバル様、、。美形で目の色綺麗でスラッとしてて声もかっこよくていいなあ。ドキドキ。)


そう思っていたのである。


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麗乃「ほえほえほえぇーーー」


見る限りに見た事もない美容品。効果もありそう。きちんとトレーニング機まで用意されてあってとても都合が良いわ。ここで私はレッスンを受ける事によって美しさと強さを手に入れる事ができるんだわ!にしても、そのレッスンの内容が.....


美容品を使ったりお作法をやったり絵を描いたりお散歩に行ったりする様なまったりしたトレーニングメニューなだけで何一つ辛くないというのが気になるのよね。普通訓練は過酷だから。本当にこれで私は理想になれるのかしら?私、騙されているかしら?でも、こういう暮らしは悪くはないわね。


「麗乃様、これからマッサージのお時間ですよ。ごゆっくり癒されて下さいね。」


麗乃「はーい!確か今日は、マッサージと動物鑑賞が終わったら終わりね。なかなかいい暮らしだわねえ。」


麗乃はマッサージ室に行き、トレーナーからのマッサージを受けた。そして動物鑑賞で猫や鳥を見、就寝に入ろうとした。しかし身体が覚めていた。


麗乃「うーん。このまま寝てもいいけどここ良い環境だわ。ちょっとこの施設を見学しに行こうかしら。」


麗乃は部屋を出て、廊下に入り、他の部屋を見学しに行った。


麗乃「ははあ。どこもかしこも同じような作りの部屋なんだねえ。みんなトレーニング頑張ってるかしら。私は気楽だけど。」


麗乃は皆んなが寝静まって静かな廊下をただ歩き続けた。何か少し静か過ぎる様な気もする。何気に窓から夜空を眺めてみた。関東から眺める夜空にしては星が沢山煌めいていて感動した。


しかしそれで何かを違和感を持った。


都会の関東の夜空なのに


星が沢山...?


それはおかしい事ではないだろうか?


麗乃は何も考えられなくなった


(でも、まあそういう些細な事くらい何処にだってあるわよね。)


そう思ってまた施設内を散策した。


路に乗り、上の階へ上がり廊下を歩き、散策をした。それを何度か繰り返した時だった


ん?


近くの所から何か聞こえてきたわね...


麗乃は気になり、その方へ少し駆けて向かった


そこには倒れた人の姿が真っ先に目に遭った


その瞬間、また背筋に前以上の悪寒が走り身動きが取れなくなった


同時に、その人物の周りに影が複数見え、恐る恐る強張った顔を何とか動かし、そちらに目線を移した


するとそこには壮年の男性が2人と、美しい美青年だった。その3人は皆、私を見ていた


その瞬間、私は別の意味で身動きが取れなくなった。


美青年の方に対して敬虔の念を向けた。その美しく造られた顔立ちや艶やかな髪の毛、体立ちに引き込まれている。


麗乃「あ.....っ」


私はあまりにも感動をし過ぎて


それしか言えなかった。


するとその美青年が口を開かれた


「あぁ、お嬢さん。見てしまったね。ここを見てしまったら直ぐに返す訳にはならないな。どうするかな」


麗乃「あっ、、あ、あの、あの、私は今の事を見なかった事に出来ますよ!お兄さんのために!」


私は咄嗟にそう口から出た


「そうか?フフ、そうか。この事を内密にしてくれるのかい?」


麗乃「ええ!お兄さんの為なら....!」


私は何でも捧げる覚悟よ。


「そうか。俺の為に内緒にしてくれるのか....。では、これも内緒にしてくれ。」


えっ?


その美青年は麗乃の背中に両腕を抱き、腹に引き寄せキスをした。


麗乃は顔が真っ赤になった。


そして美青年は麗乃を抱きながら隣の壮年男性から袋を受け取り「じゃ、お休み」と麗乃の耳に囁いて彼女の鼻と口に袋をあてた。すると麗乃は惚れ気のまま気が抜けた様に眠った。


「よし。成功したな。これで俺様にとって理想の楽園が創れる訳だな。フフ。」


「スバル様ならば何事もちょいちょいのちょいですなあ。」


「何事もではないさ。俺にだってできない事はある。」


「何を仰いますか。全てが完璧のくせにー。」


「全てが完璧、か。」


その瞬間、美青年はとある者を思い出した。


「国王様...」


「へっ?スバル様?何かをおっしゃいましたかな?」


「いや、何も言ってないぞ。こいつら二人の身体も早く移動させろ。」


「ははっ!スバル様!」


「クク。やってみせます、国王様。僕はこの250人を皆、僕の奴隷にし、国王様の重要な駒として理想へ発展させる為にやってみせます。」


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庄司「うんうん。ふむふむ。うん」


「なかなかに読み応えのある本でしょう?」


庄司「うん。そうだね。良い小説だ。こんなに独創的でユニークな小説は初めて見たよ。誰が作者だろう?」


庄司「....織田花華...か。聞いたことが無い小説家だ。まさか世の中に僕が知らなかった小説家がいるとは。」


「こちらの施設の主様からのお勧めです」


庄司「うん。結構面白かったよ。この、突然マレーシアに行ったり急な展開があったりするの面白いね。」


「左様でしたか。そちらは主様もよく見ておりますね。そちらをお楽しみの後は散歩、そして再び銅像のスケッチ、そしてお風呂に入られて」


「本日のレッスンは終了となります。」


庄司「ふーむ。なかなかに良い美術鑑賞が沢山で嬉しい限りだよ。暖かい気分で帰れそうだ。」


「そうでしょう。」


庄司「では、もう少しページがあるからそれを読んだら行くね。」


「ふむ。どうぞごゆっくりされて下さいね。」


庄司は残りのページを楽しみ


暖かい気分で有りながらトレーナーと共に外へ散歩へ行き、山程外の空気や景色、小鳥などの鳴き声を楽しみ帰ってきた後、自分の好きな美像を見ながら楽しんで筆を沢山走らせた。その後に風呂に入り、洗剤を贅沢に使いながら一日の疲れや汚れなどを落とした。


そして就寝....


「本日もお疲れ様でした、庄司様。明日のレッスンメニューは体操の後に健康食、美術鑑賞とスケッチ、読書の後にお酒となっております。」


庄司「うん。いい感じのレッスンメニューだね。それなら無限に受けてもいいよ。」


「左様で御座いますか。」


2人は笑った。


庄司「今日もこれで寝ちゃうのかあ。何だかもっと色々できそうだなあ。」


「ご安心下さいませ、庄司様。レッスンを全て履修された後には庄司様はそのお心が満足になられていらっしゃいますよ。」


庄司「そうかあ。レッスンの期間はいつまであるんだい?」


「名残惜しいですが、明日で庄司様に課されたレッスンの全てが終了となっております。」


庄司「あー、そうなのかあ。名残惜しいけど、今まで有難うね。明日は全力でレッスンに挑むよー。」


「是非、身に有る全ての気力をお使いになられてレッスンに挑まれて下さいね。」


庄司「うん。では、お休み。」


「はい。」


「お休みなさい。庄司様。」


「.......では、作戦に決行致しましょうかね。」


トレーナーは庄司の耳元で「庄司様、ちょっといいですか?」と囁き、起きる訳もなく熟睡しているのを確認したのを確認すると懐から頑丈な紐を取り出し、庄司の身体全体に巻き付けその身体を持ち上げ移動した。


向かう先はとある部屋。そこに行けばみんな様がいらっしゃる。トレーナーは庄司の身体を持ったままその部屋に来た。そして扉が開く。


そこには仲間皆が居た。明智、小倉、スバル。


小倉「お疲れ様。」


「お疲れ様です!柳 庄司を持って来て参りました。」


トレーナーは庄司の身体を下にドサッと落とした。


それを小倉は背中側の服の襟を掴み持ち上げ、人を入れる試験官である水槽に入れ、人用の人工水を流した。その部屋にそれは他にも山ほどあり、その中にレッスンを受けた人々が入っている。


明智「そういえばスバル様。」


「ん?何だ?」


明智「瀬川 大斗はどうなりましたか?」


「あぁ、アイツならそこだよ。」


そう言ってスバル様の目線の先を見たら人工水入りの試験官に入った瀬川 大斗がいた。


明智「まさか反乱を起こすとはねえ」


「なー。上手くいっていたと思っていたんだがまさかの攻撃だったよ。でな」


「反乱と言えばよ、昨夜に俺を襲ったトレーナーな、アイツはよく俺の事を見ていて写真まで撮られたものだったぜ。あと、自分が担当する部屋以外の他の部屋に行って何かを撮っていたりしていたらしいじゃん」


小倉「あぁ、彼なら調査が済みました。彼は特殊性癖を持っている者であることが」


小倉「今日の調査で分かっております。何でも、自分の興味のあるものに対して異常なまでに観察をして壊したがる妙な性癖なのだとか。」


「その対象に俺が何で入ったんだろ。他は全て絵画やモノだったじゃないか。」


小倉「ふふ。それはそれだけスバル様がお美しいという事ですよ。」


「..........。ああいう異常なのは困るな。」


小倉「困りますねえ。次に採用をする時はよく見極めなければなりませんねえ。」


「な。でもアイツは仕事は完璧にやったよ。何つうか、良いのと悪いのがあるよな」


明智「何が幸いをして災いをしましょうかねえ。」


小倉「分かりにくいものだねえ」


「ま、俺が次の採用の時に何とかやってみせるわ。教習生は今のところは全員、成功しているな。」


明智「スバル様の頭脳が賢いからですなあ。」


「そこらの奴らよりは上出来だよ。」


小倉「いいなあ、スバル様脳....」


「おや、唾が出ているぞ。そんなに俺の頭脳がいいか」


小倉「少し分けて頂きたい〜。」


「そうか。じゃあ、俺の精液でも飲むか?」


小倉「おっとそれはボーイズラヴというものではありませんか。」


室内だけに3人の笑い声が響き渡った。


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集合場に教習生が集まった。これから無事にレッスンを終えた皆の元へ


責任者である小倉が現れた


小倉「皆様。これまでの3日間、教習をお疲れ様で御座いました。今の皆様は全ての履修を修了され、すっかりとお強くなられた事と思いますね!そのお気分は如何でしょうか?とても心地良い気分なのでは?」


すると集合場の教習生全員が歓声を上げた。


--いいっすよこれ!--


--前の自分がいかに無駄に生きていたか--


--自分ってこんなに心地よく生きられるものなんだね!--


--これからは無職でも食っていけそうだよ!--


様々な嬉々とした歓声が湧き上がった。


小倉「フフ。そうでしょう。皆様は全ての教育を修了されましたからねえ。」


小倉「では皆様!」


小倉「どうぞ新しいご自分を歓喜され下さいませ!!」


すると集合場の教習生が全員、肌が弾け飛び人の姿では無い魔物の姿が現れた。


--グアアァァァ--


--ゲビョゲビ--


--ギュウウウ--


教習生だった者は皆、奇声を発した。


小倉「良いですねえ。皆様、大変よく生まれ変わられました。」


小倉「スバル様、遂に願望が実現されましたよ。クク....。」


小倉の不気味な笑い声はこの場に静かにこだました


一方、監視室のスバル達はその様子を見ながら歓喜をしていた。


スバル「おめでとう!」


明智「おめでとう御座います!スバル様!」


「みんな、よく頑張ったな。」


明智「少しトラブルも起きましたが、何とか無事に成功しましたねー。しかし、あの5人達はどうされるのですか?」


「あぁー。アイツらはな、ちょっと特別な教習生だ。アイツらは皆より特に個性と才能が有るからな。もう少し研究をさせてもらう。」


明智「なるほどー。それはどのような?」


「それはな......」


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......んっ....


ん....


智和「んっ....?」


目を覚ました智和は周りを見渡した。どうやら夜の様で辺りは真っ暗だが、今いるこの部屋が何であるのかがまだ分からない。


見渡してみる。


自分のレッスン部屋ではない事が分かった。


その瞬間、理由が無いが悪寒が走った。何となくここは、自分にとって良い場所では無い様な気がしたのだ。


暗闇に目が慣れてきて、周りにあるのを見てみる。


これは.....


液体に成り代わっている刃物....?!


何でこんな物騒なのがあるんだ....?


酒もあるようだ。


他には


動物の頭.....?


見たところ、牛の頭の様だが....


その他、凡ゆるところを探ってみたが、爆竹や電光毒や拳銃、LSDの様なモノまであって、ここが物騒な部屋なのであるということが理解できた。その瞬間、オレは何かを覚悟した。


どうやらオレは騙されていたようだ。広告にはここなら自分の本当にやりたいことが見つかって生き甲斐が出来て毎日が楽しくなるという事を書いてあったのに、どうやらそうではなく、自身の精神を狂わせるのが目的である様に見える。


ふと、自分の身体に違和感を感じた。


何だこれは....?


何だこれは.....?!


俺の手が、身体が


人では無くなってる....!!


どういう事だ


何故だ


俺はレッスン中に何かしたか?


いや。特に何もしていない


普通の事柄、普通の食事、普通の施設の整備、特におかしなところは無かった筈だ。


それなのに、どうしてこんな


いや、考えていても仕方がない。


何としてでも、この施設から出なければいけない。


---何となく、命が危ない様な気がした---


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


庄司「ううむ。ここはどこなんだ?」


庄司は長いどこかの廊下を歩いていた


庄司「これが今日のレッスンなのかな?それにしてはトレーナーさんもいないし、何か変な感じだなあ。」


庄司「そろそろ誰か居ないかなあ。」


庄司「早く今日のレッスンを受けたいのだが...」


そう言った瞬間だった。近くの無人の部屋からトレーナーが出てきた。


「はい。遅くなりまして申し訳ございませんでした。本日のレッスンを始めます。」


しかしそのトレーナーは庄司の担当をするトレーナーには見えなかった。


同時に


何か不穏な感じがした。


その次に、部屋から大量の化物が出てきた


「では、唐突の変更になってしまって申し訳ございませんが、本日のレッスンはこちらです。」


「彼ら修了された皆様と共に遊ばれて楽しまれて下さいね!」


僕は走って逃げた


何なんだアイツら?!


化物?!


どうしてだ?!


どうなってるんだ?!


しかし逃げた方向からも化物がこちらに向かっていた


逃げ場がない!!


どうする?!


僕は死ぬのか?!


すると僕の中から何かが出てきた。何でだ?どうなっているんだ?!何で僕の胸の中から、しかも痛くもなかった


これは


鉄の卵?


ふと自分の身体が気になり


自分の身体を見てみた


するとそれは人のモノでは無かった


僕はアイツらと同じ様に化け物になっていたのだ


しかしそれならある意味で対等になれる。さっきから湧き上がっているこの力の強さ


いけるかもしれない。


僕は拳を上に向かって突き出してみた。


すると天井が壊れた。


やはりか、僕は最強になってしまったのだ。


小倉「ご気分は如何ですかな?柳 庄司様。」


そこにはいつの間にか何処から現れたのか、化物達の前にあの責任者がいた。


庄司「あ、こんばんは。今とても最高の気分ですね。美術鑑賞が出来たと思ったら次にこの様に最高になれて卒業できるとは。」


庄司「有難うございますー。」


小倉「それは良かったです!更なる美術鑑賞は如何ですかね?」


庄司「おっ、いいのですか?是非、お願いします〜。」


小倉「勿論ですとも!それにはまずですね」


小倉は庄司の耳に口を当て、何かを教えた


庄司「ふむふむ。なるほど?」


小倉「では、お願いします」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


麗乃「うーん、お兄さん....」


麗乃はあの美青年の事の夢を見ている。


麗乃は暫く寝ていて、時折その美青年の事を呼びながら寝返りを打ったりして、抱いていた布団に頭を擦り付けたところで覚めた


麗乃「うーん....お兄さあーーぁん....。えぇ....なにこれ....お部屋真っ暗なんだけど...お兄さん、どこ...?」


麗乃はまだ夢から目が覚めていなかった


麗乃「ふえぇ、おにいさあん...。私ってかっこいいですよ?こんなにムキムキで、かっこいいでしょう?健康でしょう?ほら...。ねえ、おにいさん、どこ....?」


麗乃はその部屋の中を夢の中にいながらも朦朧としながら散策した


麗乃「さっきまで淡いピンク色のムーディーなお部屋にいたのに...」


麗乃「ここはどこなの...?どうして急にあのピンクの部屋からこんな真っ暗なお部屋に移動したのかしら...?何かの遊びか夢でも見ているのかしら?やだー、お兄さん助けてー!」


そう言って麗乃は部屋の中にあるとあるものを掴んで何処へともなく投げた


それは厳重な袋に入った液体状の麻薬だった


それが部屋の中の精密機械に当たり、ドシャッと音を立てて下に落ちた


するとその精密機械の打ちどころが良くなく、機械の何かがダウンしたようで精密機械の音が止まった


すると天井から何かが降りてきて、そこに赤色の液体の様なものが注がれた


その赤色の光りで部屋の中がある程度が見えるようになった。妙な液体が散乱しており、薬の様なものも落ちており、何かモニターの様なものやボタン付きの機械の様なものもあり、酒やら食物やら人形やらが散らばっており、見るからに妙な部屋だった。


麗乃「キャーー!!お兄さんーー!!助けてー!!ここ怖いよー!」


麗乃は叫びを上げた。


その上から出てきたモノは部屋の2/1以上はある巨大な透明な入れ物の様だ、そこにみるみる赤い液体が注がれていく


麗乃はその近くにあった紙切れのメモの様なモノを見つけ、それが気になっていた


---ヨイガ スバル様の美しさについて.... 何故彼はあんなにも美しいのか?---


何故彼はあんなにも美しいのだろう?ということはこれは確実にあのお兄さんのことに違いがないと麗乃は確信をした。


---あの漆黒の美しい黒髪、宝石の様に美しく煌めく赤い瞳、美しく出来上がっている顔立ち、長身---


それは間違いなく、あの美青年の事を言っている様だった。


麗乃はその某トレーナーが付けていた紙のメモに見入っていた。すると赤い液体はどんどん溜まっていき、溢れる前に止まった。そしてアナウンスが鳴る


--これから液体「閻魔」をお部屋に流す予定ですが、ご避難される方がいらっしゃいましたら、速やかに扉へ行かれ、暗号を唱えられて、お逃げ下さい--


麗乃はそのアナウンスが何を言っているのかがあの美青年の影響で朦朧とした意識のため、まるで理解が出来なかったが、液体、避難という言葉を聞いて何かの危機であるという事は実感をした。


そして麗乃はふらふらとしながら扉へ行き、思い切り叩いた。


麗乃「ふあーーーんお兄さん助けてーー!!助けてくださーーーいおにいさーーーん!!私怖いよーー!」


麗乃は助けを乞いながら扉を殴り、叩き続ける


麗乃「ちょっと!何で私のパワーブローが効かないのよ!!いやーー!いやーー!!死にたくないーー!!スバル様ーーー!!助けて下さーーい!!」


するとその扉が開かれた


麗乃「あっ?!扉が開いたわよ?!スバルさんのお陰なのね!!有難うございますスバルさーーーん!!」


麗乃は扉をでて、廊下に出た。まだ外は真っ暗で夜の様だ。星の明かりで景色は見やすい。先程の暗闇の部屋に目が慣れていたせいもある。


すると向こうから化物がやってきた


麗乃「何あれ?!ぎゃーーー!折角危機を脱したのにーー!!お兄さーーーん!!」


「何を仰います。あの部屋を自分の力で抜け出す事が出来ておられながら。」


麗乃「はっ?何をいっているの?!貴方誰?!」


「私はトレーナーです。麗乃様の担当ではありませんが。」


麗乃「トレーナーさん?!彼らは一体何なの?!人間じゃない!」


「貴方と同じですよ。」


麗乃「へっ?私とって、どういう意味よ?!私はあんなに醜くないわよ!」


「はい。どうぞこちらを。」


そう言ってトレーナーは折りたたんでいた全身鏡で麗乃の姿を映して見せた


麗乃「.....?!」


麗乃「な....何よこれ?!」


その姿は人のものではなかった。化物と呼ぶに相応しい身体になっていたのだ。


麗乃「何で....?」


「クキキ。貴方はあれ程あの部屋で暴れ回っていたのに気が付かなかったのですな。良いですかな。貴方は最高になられたのです。」


麗乃「最高に?」


「ええそうですよ。麗乃様のお望み通りに強くて美しいお身体になられましたよ。」


麗乃「どこが!これじゃあスバル様が見られたら何て言うかしら...ああ!!」


「お惚れになられると思いますよ。」


麗乃「え?そうなの?」


「ええ。今の貴方を見た瞬時にね。」


麗乃「本当?ならいいかなあ。」


「えぇ。早速スバル様に会われますか?」


麗乃「ええ!早くお会いになりたいわ!」


「では、こちらです。」


トレーナーは麗乃を連れて化物を端に避けさせ、スバルの部屋へ向かった


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


大斗は料理を作っていた。


調理室だ。明かりは付いている。


大斗「あぁー、し〜ろ〜い〜や〜ち〜よ〜に〜っとぉ。やはり具沢山うどんはいいのう。」


大斗は鼻歌を唄いながら料理を作り、室内の席に座って食べる。


大斗「にしても、拙者は一体何があったというのだろうか?あの後何故か眠くなり、目が覚めたら調理室に居てスバルから」


大斗「「好きなもの作って食ってろ。毒なんて無いから安心して作れよ。」というメッセージがあったので拙者、勝手に倉庫からなんやからの食材を調理し、名物の具沢山うどんを作った訳なのだが。一体何のこっちゃよ。まあ、美味いからいいがの。」


大斗「うむうむ。美味いのう。やはりこれじゃのう。」


大斗「しかしスバルは何故に拙者をこのやうな所へ置いた?拙者が知る限りからするとこういう所には置かぬ筈なのだがなぁ。ましてや好きなものを作って食えなぞ....。ふーむ。しかしこれは美味い。」


すると廊下から騒音の様な音が聞こえてきた。


む?何だ?


恐る恐る窓から見てみる。


何だあれは?!


化物の様な存在が廊下を歩いている。


恐らく、スバル達が何かをしたのだろうか?


拙者はただ震えて見ている事しかできぬ。あの者達には会いたくも無い。というか、拙者はそもそも何故スバルからここに居ろとなったのであろうか?しかし、どうやらここは安全であるやうだ。


化物達はこの調理室を襲わない様に伺える。


うーむ。


その瞬間、調理室内のスピーカーから声が降りてきた。


「瀬川 大斗。」


む?!何だ?この声はスバル?!


大斗「....うむ?」


拙者は応答をした。


「まず、突然にそういう部屋に入れられて困惑してい....そうにも無いなその様子だと。」


拙者はこの激美味なうどんを食べながらその声を聞いている。


「瀬川 大斗、お前は5人の中でも特別だ。これから少しテストをしてもらうぞ。少し待っていてくれ。」


大斗「む?テスト?それは何ぞや?」


声は聞こえなくなった。


5人とは一体何のことを言っておるのか


思考を巡らせる前に


この美味なうどんに気持ちが駆られてしまった。


拙者はうどんを食べながら色々考える。パズルがまたやりたいと思った。こういう危機的状況こそには昔から好き好みやっていた趣味が一番楽しそうだ。ふむ。確かに拙者はまた生き甲斐を見つけた可能性がある?なんて考えるのはここが安全だと思っておるからだ。家に帰ったらまた何か動物でも飼おうかのう。昔飼っていたインコは死んでしもうた。拙者が教えた挨拶を毎日何気にしてくれたりするのが何気に癒しだった。しかし次は卵を産むニワトリか愛らしさを産む猫でも飼ってみるかのう。


そう楽しく思考を巡らせていたらこの調理室に


何者かが入って来たようだ。


スバルだ。


「瀬川 大斗。テストをするにはまず、お前が俺に対して慣れている必要があるんだ。だから少し、問答無用で俺がする事を見ていてくれ。」


む。スバルに対して慣れている必要が...?しかしスバルはこの悪どい施設の長...。

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