成仏する為に 其のニ

春樹「お前らはお前らで許せねえ。ずっと前から何でもない人を殺し続けてきたんだろ?今まで。」


「あぁん?何を言っているんだよ。俺が人を殺すのは殺される側にもそれなりに理由があるっつったろ?」


「ほーう例えばどんな風に?答えてみろよ。」


「そりゃあ、みんな誰だって人に対して迷惑をかけた非くらいあるだろうがよ!それで殺されるべき点の三つや四つくらい、あるだろうがよ?」


「あーはいはい、お前らも同罪な。」


「おい!俺たちをどうするつもりだよ?!まさか殺す気か?!」


「いいや。殺しは無意味だからしたくねえけど野放しにしておくのも危険そうだなお前ら。んー、どうしたもんか。」


スバル「てか、女は何とも言わねえけどどうしたんだ」


女?そういえばこの野郎の嫁みたいなのは前々からずっと一向に何も言わない。何でだ?変だろ


女「..............」


女はスバルの方を見ている様だ。


スバル「....俺か?」


女はその問いに対して首を縦に何度も振った。


スバル「俺がどうかしたか?」


女はまた首を縦に何度も振った。何だ...?


男「コイツ...!コ、コイツ、惚れてやがる...!?顔が真っ赤だろうがよ...!は?お、お前.... 俺と共に」


男「お前は俺と共に人生を歩むんだろ?!なあ....!」


「惚れてる?」


そういえば全く分からなかったが、女は近くにイケてる男がいて顔を赤くさせた時は大抵、その男に惚れたからだと言われているが、今がそうなのだろうか?


スバル「そうか。俺か。なるほどな。」


女「はい」


?!


女が口を開いたぞ?!


男「「はい」ってお前!!折角、日本での殺人の数々をマレーシアにまで来て犯罪ポスターや拘束期間が切れるまで帳消しにしようと思っていたのによ!そんなもんだったのかお前の俺に対する愛情ってモノはよお?!」


女は相変わらずスバルの方を見ている様だが何もどうしたら良いのかさえも俺には考えられない。


女「にゃう......スバルさん.....格好良いですね....お年は、いくつなのですか?身長は、何cmあられるのですか?かなり高そうに見えております....。」


男「あぁー、やっぱ確定だわコイツお前に惚れてやがる。この俺を差し置いてなんてザマだよ」


男「テメェーとは離れるわ!!俺この家も離れるわ。別の所で暮らすわ。この近辺での家を探すわ。やっぱりクアラルンプールがいいだろ....それで....店や女はいっそのこと現地人で.....」


女「塊与、私、貴方を許さないわ。」


男「.....は?」


女「天なるスバルさんに対して汚い口を聞いたアンタを」


女「私は絶対に許さない!警察に通報してやる!」


男「......はぁ?!」


女「スバルさん、私達を一度、元の世界に戻して下さい。」


スバル「あぁ、良いぜ。助かる、有難うな。」


すると真っ黒だったこの世界の黒が霧の粒となって砂風の如く八方へと散った。すると元の世界が現れた。


すると男は逃げだした。全力疾走で家を出た様だった。


女「逃がさないよ!スバルさん待って下さいね!今アイツを捕まえてやりますからね!」


そう言って女は電話を取り、どこかに掛け、何を言っているのか分からない言葉で喋って切った。


女「スバルさん、今大手の所に電話を掛けましたわ!これで安全モノですわよ!」


今気付いたけどこの女は最初に見た印象と今の感じが言葉遣いと立ち振る舞いがまるで違っていて不思議な感じだ。


スバル「あぁ。よくやったな!ご褒美をやるぞ。」


そう言ってスバルは女の前へ歩き、立った。そして顎を触って少し上に上げて....


その額に唇をつけて少し吸って出した様な感じの音が出て、その手を離したら女の背中に回して優しく引き寄せた。するとスバルが女に「よく頑張ったな。よく頑張ったな....」と耳元で囁き繰り返しながら、背中の手を軽くポンポン、と繰り返した。女の顔は真っ赤だけどその目は....


その目は今にも死にそうなの何でなのか全く分からないが病気で無ければいいなとは思う。一応、悪いヤツから寝返りを打った様な感じだからな。そしてスバルが気が抜けて倒れた女をベッドに寝かせてこちらに戻って来た。


スバル「さて。ここでの要件は終わった。俺は仕事だから今直ぐ日本へ帰るが、お前はどうする?お前が帰るべき場所は既に日本では無いからな。」


「あ、あぁー!そういえばそうだよな俺!俺はもう日本人って訳でもねえんだよなー。でも日本に帰るわ俺も一旦。やっぱ母国で成仏してえじゃん?ま、マレー観光をしてからがいいかなー。」


スバル「俺は仕事だから直ぐに日本に帰らなきゃならねえっつったろ....ブチブチ言ってっと地獄へ行かせるぞテメェ....」


春樹「あっっ、すみませーん!俺も今すぐ日本帰りまーす!」


スバル「場所は俺の家だ。良いな。」


するとまたスバルが俺達幽霊みたいに肉体を変化させて


俺達は上へ舞い上がった。また世界の土地が小さく見える。そしたら直ぐに日本大陸も見えてきた。そして関東のとある所に上陸!


「おー!ここかあー!割と良いとこ住んでんじゃーん?」


スバル「ここが俺の住処だ来い。」


彼は靴を脱いで綺麗に揃え、廊下を歩く。そしてとある部屋に着いた。


そこは有りと凡ゆる霊媒の道具?中には見たことも無いような変わった形のモノまで有りまくってるけど、家具も全部みんなキチンと整頓されていて綺麗な部屋だった。


スバル「ようこそ。ここは俺様の部屋だ」


お前の部屋か!そう思うことしか出来ない位にはその部屋の美しさに圧巻されていた。


スバル「どうして俺がお前をここの部屋に呼んだのか分かるか?」


何か口が開かない。いいや全然?てか、その意味深な質問は何なんだ。俺何か悪いことでもしたかなーって思う。


スバル「お前自身にもそもそも悪い霊気が端から有るからだよ。」


えっ?俺自身にも?言ってる意味が分からん。


俺は両親はクソだったけどそれに置いて俺も何かした事は無いしなあ。何かしたか?俺....。


スバル「自覚が無えのか。初めてお前から声をかけられたあの時から感じていたんだがお前なあ、俺に対して何か恨みが有るんだろ。」


その瞬間、俺の中で何かが蠢いてそれが俺を覆い尽くした。その瞬間、初めて自分で自覚をした。そうか、あったんだ。


俺はコイツに対して恨みがある。だから今でも俺は実は成仏出来ない。だから最初に外でコイツを見かけた時にゃ無意識で殴りかかろうとしたもんだった。


声を掛けたら案の定、返事をされてビビったが、最初からマレーシアまで飛んで事の一大事が起こってその後にまた日本に帰ってくるまでもずーっと俺は、コイツのことを恨んでいたんだ。何処かで殺す事が出来ないかと目論んでいたが、コイツ魔法みたいな力があるからそれが出来なかったんだよな。それがまた悔しくて、この後にどうやって殺そうかと無意識で考えていた。自分でも気が付かないで。


つまり、それだけ俺のコイツに対する恨みは強いって事だ。俺は元からパッとしない顔立ちで、イケメンとかめっちゃ羨ましかったんだ。俺がもっとイケメンに生まれていたら生前の人生がちょーハイだっだろうなって考えるとイケメンにムカついてきて.....それで、絶世の美少年霊媒師ヨイガ スバルっていうのは生前にも噂で聞いた事があった。俺、女がイケメンのこと話していると直ぐに聞く耳を持ちたがるようになっちまったから。仕事仲間の女が、ヨイガ スバル君っていうちょーイケメンの霊媒師の男の子が居るんだよって話してて、画像を見てみたら何と相当のイケメンじゃないか!!??何だこれめっちゃ綺麗な顔立ちしてる!!普通のイケメンよりも何百倍もイケメンじゃん!!しかも全身画像を見てみたら歳の割にはスーパー長身な感じで筋肉もあってフェロモンも出ててちょー腑を掻き乱された様な思いをしたんだわ。だからそれ以降から俺はコイツ、ヨイガ スバルが大嫌いなんだ。憎い。


俺もそんなイケメンに生まれたかった。死んでしまった時は折角だから殺そうと思っていたが、奇遇にも死んだ後でさえも運命が悪くてスバルは霊感が超高いんだった。だから念じてコイツの元に出たが攻撃しようとしても全く通じねえし、どうしようかと


思ったが、俺は両親を殺されているんだ。だからそれよりは先にそれの恨みを解消してもらう方がいい様な気がしたんだ。そういうのもコイツへの恨みの念を受け入れられる程の良いところがあるのを見る為。でもコイツはどうだ!まるで良いところが何も有りゃしない。常に自分が最高みたいな態度で美形な顔をして調子に乗ってやがる。


それがとんでもなく更に憎しみを増大させた。何でそんなにイケメンなのに人様を見下す様な態度や言動を取るんだよ??目を瞑っていても声がもうちょーイケボだからそれも気に障りまくるんだよ!あぁ、イケメンは俺達みてえなそうでもないかあと少しレベルの


ような奴らに対してはそういう生きる権利も無いからみてえな態度をとるのかよ?それって余りにも酷が過ぎねえ??俺様達だってな、人様なんだよ!!少しはそうとして見ろよ俺達を!!だから俺はこのままじゃあ成仏出来ねえし、コイツを殺さなければならねえかなどうかなと思ってる。どうしたら良いんだ。


コイツ、大嫌いなんだわ。今コイツ視線を真下な感じに落としてるけど言わせてもらうわ。


「なあ、スバル。俺さあ」


スバル「黙れ」


「はあ??!」


スバル「聴こえていたぞ全部」


「えっ....?!」


そう言って上げた顔は青くて何か、苦いモノでも食ったような表情をしている。


スバル「そうだったのか。なるほどな。」


何か、無理矢理に不味い料理を美味い様に言わされてる苦しみみたいな顔してるわ面白いな。


スバル「今の愚痴が、俺に対する恨みの念だったんだな?」


あーそうだよ悪いかよ俺だってそんなイケメンに生まれたかったわ何なんだよその顔立ちとスタイルと声!


俺がお前の噂を聞いたのが2年前だから、今はお前は14か5辺りの年だろ?そんなにガキなのに何でそんなに背高ぇんだよ??!!足もすげースラッと長くてさ、胸板厚くてちょーかっこいいが迷惑な方向に過ぎるんだよ!少しは俺達みたいな..


スバル「分かったわ。じゃあ今からお前のその念を解消させる。」


「あ?どうやってだよ。あ!まさかブサイクに整形でもすんのかオマエ〜」


スバル「いや。お前の良い所を教える。」


え....?、?


スバル「お前はまず、その性質の純粋さや真っ直ぐさが褒められる。困っている人が居たら放って置かずに誰に対しても優しく明るく接して解決に導こうと行動もする。」


スバル「その魅力に人は皆惹かれるし「春樹くんかっこいい!優しい!好き!」って言われた事くらいは有るだろ?顔?何だそれは。お前は顔なんか関係性を持たない程の女問わず誰からも惹かれる魅力が有るじゃないか!顔?あぁ、そんなに良くされたら格好良く見えるわ。そのキリッとした目付き」


スバル「二つ空いてる形の良い鼻の穴、クッと上がった口!イケメンだろ??な?もう誰もお前には惚れずには居られ無いよ。」


「.........!!」


俺は何も言葉が出なかった。頭の中が真っ白になった。嬉し過ぎて、何も考えられない。俺は、そうか、イケメンだったのか....?そんな自分の魅力にも自分で気付かないままずっとコイツを恨むという無意味な事をしていたのか?生前も....?


これは、恥ずかしい事をしたな俺このままじゃ死にきれねえまた生まれ変わってまたこの顔に生まれて、今度はこの顔に誇りを持つ様に生きて行くか....?


いや、もう生前で大分色々してきたな。このままあの世に帰るってのも有りだな、どうする俺、この青い星に対して学び残している事は無いかなこのままもう、永遠にお別れでもいいかな.....。


スバル「さて、貴方次第の選択だぞ。」


春樹「俺の心の声が筒抜けか。そうだよなあ。俺次第だよな。」


どうしようか、また生まれ変わってやり直す気も無いし、また別の人生を学ぼうという気も無えのよな。


それか、どこか別の銀河系の生命体が居る星にでも転生するかなあー。


スバル「大分考え込んでる様だな。まあ、お前の中の俺に対する邪念も消えた。どうするかはゆっくり決めな。時間なんてモノは貴方には既に無いのだから。俺からのお勧めは、何も考えずにいる事だな。死んだら何も悩む必要など、無いのだからな。じゃあ、俺は仕事があるからそろそろ行くぜ。また縁が有ったら何処かでな。」


スバル、有難う。


「あぁ!スバルごめんな、意味も無くお前の事を恨んでいて」


スバル「良いさ。慣れてる。」


そう言ってスバルは部屋を出た。俺は、何も考えずにこの魂を宇宙へ溶かす。


すると俺はこの部屋を上に上がって透けて出て、その屋根も見える程高く上がって、それが日本大陸になって、地球になって、それも小さくなる。


生前、有難う、地球よ。また縁があったら生まれてくるわ。


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スバル「.......にしてもアイツ、あんな理由で俺の事を恨むなんてとんだ性の根が曲がっていたな。ああいう感じのヤツが世の中にいるとか考えたくも無いな。今まで生きてきた中で様々な人を見てきたが、あれ程のは初めてだったな。俺の言動や態度が気に障る...?何なんだかな。普通なんだが。」


スバル「いや俺はそんなに格好良くもないだろ...?よく言われるが、俺より格好良い方だっていらっしゃるんだ。」


そう言って少年はとある存在を思い出した


スバル「国王様..........。」


スバル「国王様。僕は今回、自分の非を確認されられた様なものです。これが僕が、不完全である理由ですね。」


スバル「この経験を元に僕は、更なる精進をしようと思います。僕の事を、期待していて下さいね。」


そう言って少年は何処からか連れて来たのか、髪の長い、肌が焼かれ、傷だらけで、涙ぐんだ目をした女性を連れて、とある処へ向かった。


----都内に見えるあの、巨大な所へ---


「ギャギ.、ギャヤ、、ハ、ハ.、ハ..ル.、、キィィ、ゴ.、.ゴメン...ネ...」


スバル「いいえ。貴方は旦那に強制的に言われてやっただけだ。何も罪は無い。地獄に堕ちたのも本当は間違いだ。あの子とは会わなくて正解だ。説明をしても彼も恐らくあの頭の悪い旦那と同じく分からなかった筈だ。貴方は幸せになるべきだ。それだから、これから行くべき道を変える為に、とある方の元へ行く。良いな?」


その女性は既に微塵にしか無い力を出して首を縦に数回振った


---------END.....?---------

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