悪意

寺谷は柳田に悟られないように罠を仕掛けた。津田と言う男の手掛かりをどうにかして聞き出そうと柳田は寺田にこう警告した。「いつも悪いね。黙秘ばかりして。俺のこと知ってる。俺の代わりはいくらでもいるよ。頭がキレるのいいけどこれぐらいにしといてよ」

寺谷は黙っていた。「あなたには家族居ないの」

柳田はそう言った。

「関係ないじゃないか」寺谷はある言葉を発した。「ボスが危ないな。また刑務所行きだな」

この言葉は柳田に対して不愉快な気持ちにさせるような言葉だった。組織の一員である柳田はその発言に乗せられた。「山村さんには関係がない」

柳田はうっかり話してしまった。「山村と言う男が持ちかけたんだな。津田と言う男のことか?」柳田は黙り込んだ。もう逃げ場のない柳田は山村が金になる話を持ちかけられたと話している。山村の携帯電話の番号を調べると携帯電話に自分の携帯電話を使って寺谷は電話した。「山村か!必ずお前を探し出して見せる。首を洗って待ってろ」

寺谷は柳田が狙われる可能性があると思った。柳田は震えていた。山村と言う男は、柳田よく知っているはずだ。次の日、柳田は、拘置所内で舌を噛んで自殺をした。駆けつけた灘に発見された。こうなると寺谷は予想はしていた。未然に防げなかった。警察内部にも山村のいきのかかった人物の犯行だと確信した。ハムスターの死骸を送りつけるような輩だ。きっとまともな考えではない。「山村と面識がある人物はほかにもいるはずだ。これからが本番だ」

寺谷は、警察内に内通者がいると睨んでいる。山村の悪意を感じる。拘置所に自由に入ることができるのは限られた人物だ。寺谷は柳田の遺体を発見した花田から事情を聞いた。「柳田は震えていました。殺されると言いながら」

寺谷は、花田の指に注目した。「左手の中指に傷があるぞ。どうした?」花田は慌てて左手を隠した。「山村の内通者はお前だな。柳田を殺害したのか」

花田は急に笑い出した。「だったらどう何ですか?」

寺谷は花田にこう言った。

「認めるんだな」

花田はこう警告した。「山村のことは諦めた方がいい。誰も顔を知らない。おそらく偽名だろう」山村のことが分からない以上これ以上犠牲者が出て欲しくない、山村の件は捜査打ち切りなった。寺谷は、柳田のことを俺に話した。初めから殺害することが目的だったのだろう。自分の手を汚さずに都合良く使う。寺谷は納得が行かなかった。上の判断に従うしかない。それが警察組織だ。寺谷は俺を呼んだ。「何か陰謀があるのだろうか。分からないが。お前は、自分の人生を楽しんでくれ」

寺谷は俺に話すと渋谷警察署に帰って行った。



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