証明

指紋はたくさんついていた。送り主の津田という男の指紋。津田という男は、果たして実在するのだろうか。そこが怪しい。俺はそう思っていた。津田という男の存在を知っているのは柳田だけだった。「俺たちはいつもお前を見ている」柳田は俺に話した。

柳田は警察に逮捕されているため柳田からの話は聞けない。俺としたことが見ず知らずの男に騙されていることすら気が付かなかった。柳田は警察に連行され俺を逆恨みしているだろう。津田と言う男が捕まらない限り俺は安心して生活を送って行けるという保証がない。俺は柳田と初めて会ったときのことを思い出していた。初めて会ったあの日の行動に何かヒントがあるはずだ。俺がホームにまでの段階で柳田は俺のことをどこかでみていたはずだ。東京駅のホームで柳田と会ったのは事実だ。柳田は俺をどこで見ていたのか。当時、東京駅は人がたくさんいた。たくさんの人の中から柳田は俺に声を掛けた。柳田は紺色のスーツを着ていた。「柳田は何故、俺を選んだのか?俺との接触は初めてではないのではないか!俺との接触はいつ頃なのか?」

俺は考えた。「誰か他の人物が関与している可能性もある。それは誰だ!」

柳田は、渋谷警察署へと連行された。俺は渋谷警察署に携帯電話を使って電話をした。

まずそいつを探してもらうように警察に頼んだ。

「もしもし。寺谷さん居ますか?近藤です。」

寺谷は刑事である。寺谷は俺の叔父にあたる。

「東京は過酷な都市だぞ。何でもいいから困ったことがあったら電話を掛けてこい」

寺谷はそう言っていたことを思い出した。寺谷は今は居ないと言う。

「近藤から電話があったと言ってください」

俺は田村と言う女性にそう話すと電話を切った。俺のことを柳田はどこで知ったのか。気持ちが悪かった。しばらくすると携帯電話に寺谷から電話が掛かってきた。

「すみません。叔父さん。柳田と言う男を知りませんか?津田と言う男のことについて」

寺谷は俺にこう言った。

「調べるさ。可愛いお前の為だからな。安心しろ。心当たりがないんだな」

「うん。心当たりがない」

そう言うと寺谷は俺のことを慰めた。

寺谷は、電話を切った。

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