108.迂闊な質問

 私は、メルティナ、アルフィア、ファルーシャの三人と談笑していた。

 最初は重苦しい雰囲気だったが、今はすっかり明るい雰囲気である。お互いに色々と打ち明けたおかげで、和気あいあいとできるようになったようだ。

 そんな中、私は最初の目的を思い出していた。そういえば、私はアルフィアとファルーシャが元気にするために、この会合を開催したのだと。

 二人は、元気になってくれているだろうか。今の雰囲気なら大丈夫だとは思うのだが、それは少し心配である。


「そういえば、あなたは最近、キャロムやドルキンスと訓練しているそうね」

「え? うん、そうだよ」

「実際の所、あの二人とどうなの?」

「どうって?」

「この質問で、わからないの?」


 そこで、アルフィアはそんな質問をしてきた。

 あの二人とどうなのか。その質問の意図を、私は最初理解できなかった。

 だが、彼女の言葉でなんとなくわかってきた。それは要するに、恋愛関係の質問ということなのだろうか。


「別にどうもこうもないよ」

「そうなの?」

「うん。まあ、仲は良いけど、ただの友達というか……」

「なんだ。案外つまらないものなのね」


 私の答えに、アルフィアは不服そうにしていた。彼女としては、もっと面白い答えが望みだったのだろう。

 だが、実際の所、私は別にあの二人と何かある訳ではない。ただの友達なのである。


「……というか、そういうアルフィアの方はどうなっているの?」

「え?」

「あ、いや、なんでもないよ」


 思わず素朴な疑問を口にしてしまった私は、自分の間違いに気づいた。よく考えてみると、この場でそれを聞くのはとてもまずかったのである。

 なぜなら、彼女とメルティナとバルクド様の関係は、とても複雑だからだ。

 アルフィアは、バルクド様のことを思っていたが、彼とメルティナが結ばれた。それが三人の関係性である。その内の二人がここにいるというのに、それを聞くのはとてもまずかったのではないだろうか。


「別に、気にしなくてもいいわよ。その話には、もう決着がついているから」

「え?」


 焦っていた私に対して、アルフィアはそのように言ってきた。その表情は、晴れやかだ。

 それに対して、メルティナは複雑な表情を浮かべている。なんというか、対照的な表情だ。


「まあ、この話の流れだし、そのことも話しておくべきよね。考えてみれば、あなたには伝えておくべきことだった訳だし……メルティナ、いいわよね?」

「ええ……」


 アルフィアの言葉に、メルティナはゆっくりと頷いた。どうやら、二人とバルクド様の間に何があったかを教えてもらえるようだ。

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