休日

休日

極楽鳥がとびかいそうな

なごやかな秋空のもと

車の進路を変え

私は海岸沿いに降り立った

日本海の荒波が

ざあざあと

打ち寄せては引き

引いては　また打ち寄せ

あきもせず繰り返している

月の引力のしわざさ

なんて

うそぶきながら

足元の石ころを投げた

水平線めがけて

おもいきり遠くへ

それは小さな水しぶきをたてて

青紫色の海に沈んでいった

この澄みきった

ほとんど平和といってもいい空間

なぜ私はこの場所に

ひとりこうして

ただずんでいるのか

ここに来たのは

いったいどうしてなのか

たぶん

手操り寄せられてしまったのだ

糸で操られたマリオネット

のように

夏の喧騒はとうに消え去り

激しかった日々も記憶の隅に

居場所を変えた

欲しいものは何だったんだろう

今はもう思い出せない

ただ　波の音を聞いていたい

それだけでいい