第10話告白

鈴華は、突然の告白に戸惑った。


しかし、ドキドキすぐに冷めた。


幼稚園、小学校、中学校と何人もの男に告白されてきた。


「ごめんなさい。付き合ってる人がいるんです。」


ウソをついた。


「そっか、俺、病気なんだ。」


「病気?」


「余命半年って昨日、病院で言われたんだ。」


震えた声で進次郎は言った。


「最後にめっちゃ可愛くて頭が良い女の子と付き合って死にたかったんだ。」


「呼び出して悪かった。忘れて。ありがとう。」


進次郎は、走って行ってしまった。


鈴華は、重たい罪悪感にさいなまれた。


わたしは、いつからウソつきになったのだろう。


家に帰って来ても胸が動機でドキドキしている。


胸が痛い‥。


夕飯を作らなくてはいけないのに手につかない。


微かに潤んだ進次郎の瞳が忘れられない。


どんな気持ちだったのだろう?


リビングの電気が点いた。


「鈴華、こんな暗いところでなにしてんの?」


優斗が、不思議そうな顔で鈴華を見ていた。


鈴華は、優斗に進次郎の事を話した。


「そっか‥。」


「お兄様なら、どうしますか?」


「うーん、俺ならあと、半年間、相手を遠くで見守る事しか出来ないかな。」


優斗は、牛乳を飲みながら答えた。


鈴華は、泣いてしまった。


優斗に抱きついて声を上げて泣いた。


優斗は、鈴華を優しく抱きしめた。




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