【計画】
【計画】
緑の芝生に無数の白い墓石が立ち並ぶ広大な墓地の一角に、【じいや】が手際よくあつらえたティーセットの乗るピクニックセットを囲みながら、ヘレンはこれからの計画をみんなに説明した。
「今年の11月に行われる大統領選挙の演説会でこちらのカーズ大統領は暗殺されます。」
恰幅の良いthe白人は首をかしげる仕草でおどけて見せるとニコッと笑った。
「面白いけど。長老にはこれから毎日ビデオを見て、あの品の無さとバカっぽさをしっかりと学んでもらいますからね。」
「わかった、わかった、ワッハッハ!」
楽しそうな長老を尻目にヘレンは続けた
「詳しい段取りはまた後日連絡するけれど、カーズ大統領は暗殺されて、私が当選する。私が大統領になったらまた集まってほしいの。」
「他の【龍人】たちも解放しようと言うのね。」
「そう。囚われている者だけじゃなく、自ら望んで【大いなる流れ】に戻りたがっている【龍】も含めてね。お願いできるかしら?」
「オッケーッ❤️!」
ポーラにつられて皆が頷いた。
「そうすれば、私たちが【龍人】をやめたくなった時にも手伝ってもらえるだろうしね。」
「そうね。でも私は[月旅行]が出来るようになるまではこのままでいようと思いますよ。」
「私達は、アロのことがあるから、当然お手伝いさせてもらうわ。」
「異存はない。選挙に関しても任せてもらおう。」
「ワシは大統領として暗殺されて、葬儀が終わるまではヘレンと出来るだけ行動を共にすることにするとしよう。」
「それじゃ、一旦解散。また会いましょう。」
ヘレンと長老はイーロンとハーマンの待つ埃だらけの黒いシボレーサバーバンに乗り込んで、黒いウインドウを全開にしてカーズ顔の長老が満面の笑みで手を振りながら行ってしまった。
「あーあ、行っちゃった。」
「それでは、俺も今から中東で商談があるのでな…」
そう言ってナサニエルは長老がいないのでそそくさと帰ろうとするが
「あたしの【龍】返して」
とシャルロッテに長―いキスをされた。
すると【ニコル】と【シーヤー】がぬいぐるみサイズで二人の肩の上に姿を表して【龍戦】と言うよりは、じゃれ合うようにおでこ同士をくっつけて【シーヤー】が元の黒さに戻るまでそうしていた。
シャルロッテに手招きされたポーラがポンと2人の肩を叩くと、チュッというキスの音を残して二人は離れた。
ナサニエルは若干赤い顔をして、銀色のスーツのまま酔っ払いのようにフラフラしながら後ろ手を振り、どこかに歩いて行ってしまった。
「ありがとう。今度遊びに来て」
ハマ、ポーラ、マリーの3人にそう告げてウインクすると、シャルロッテはアロを優しく抱きかかえた[じいや]に寄り添うように乗り込んだ純白のVTOL機で帰っていった。
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