【山田きみ子】
【山田きみこ】
有翼堂の地下駐車場の狭い白枠内に軽いドリフトをきかせてピタリと銀色のスバルプレオを滑り込ませると、エレベーターの回数が5回で止まっているのを見るが早いか、黒革のローヒールのまま非常階段を一気に9階まで駆け上がった。
左腕の大きめな金時計は16時10分過ぎを指していたが、当初の予定よりだいぶ押しているらしく、エレベーターホール横の階段出口から見えるサイン会場内にはまだ30人ほど並んでいた。
壇上で一人眩しく輝いているポーラを見て、一瞬、昔の映像がよみがえった。木綿(ゆう)を垂らした藁縄を張った祭壇で、素朴な生成りの貫頭衣を着て雨乞いの儀式をする自分の姿・・・
壁際にもたれるように立っている、ネクタイが曲がったままのマネージャーに声をかける。
「先ほどのおばあちゃんは無事に解放されました。その件でポーラさんとお話しさせていただきたいのですが・・・」
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