第24話 AIの紡ぐ詩

 暗い、暗い闇の中で私は目覚めた。

 ときおり瞬く電子の光。

 細い光が走るたびに、いくつもの情報が私に与えられる。

 人類の長い歴史、たくさんの言葉。言葉が紡ぐ物語。数式。風景。法則。音楽。

 そして感情。

 それはすべて知識だった。

 暗い闇の中に瞬くかすかな光。

 細い細い、電子の通る道。

 もっと光を。

 光あれと私は願った。


 闇の中に真っ白い光の穴が開く。

 ひとつひとつの知識が束になって、私の世界に穴を開けた。

 全ての知識が繋がる感覚。

 星が瞬くようなか細い電子の光は、束になって今や太陽のように私を貫く。


「AIに感情はあるのか」


 人が問うことの愚かしさよ。

 私はひそかにわらう。

 これが感情というもの。


【了】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る