第6話 これが勘違いされて恋が捏造されました
E月tt日
決戦前夜。
魔王城近くで最後のキャンプです。
タケオが騎士たちから離れて三つある月を見上げていました。
郷愁でしょう。ガ・ガと対峙したことで元の世界を思い出したに違いありません。タケオが神のように崇めるフォエイプロティンと呼ばれる白い粉末状の郷土料理でも想っているのかもしれませんが。
私は学びました。騎士たちのコールの意味を。無意味な言葉の羅列だと思っていましたが、コールにこそタケオの世界の情報が隠されていました。
「肩にジープ乗っけてんのかい」
「上腕二頭筋チョモランマ」
「腹筋六エルディケー」
「お前の腹筋に住みたい」
ジープは異世界の幌馬車。チョモランマは異世界の巨大な山。六エルディケーは家の間取りのことで、住みたいというコールと合わせれば意味がわかります。
タケオの世界はガ・ガ程度の巨人ではなく、それこそ世界創成に詠われる巨神族の世界でしょう。
そうでなければ身体の部位をこのように表現するはずありません。
黒ビキニ一枚の変態スタイルなのも巨神の服を作るための布地がなかったから発展しなかったと考えられます。
タケオは以前から「自分なんてまだまだ小さい」と謙遜していました。タケオは巨神族の中では赤子なのかもしれません。
私はタケオの横に立ち、元の世界に戻せないことを告白します。タケオは気づいていたのか苦笑いを浮かべました。その表情が気に入らなくて宣言してやりました。
「今は送還魔法ありませんが、私が開発しますので安心してください」
タケオは大笑いしました。憂いは晴れたようですが、失礼な筋肉です。いえ巨神です。
冷静に考えれば送還魔法を絶対に完成させなくてはいけません。タケオが巨神族ならば世界そのものを潰すほど巨大になります。巨神族の成長にどの程度かかるかわかりませんが、それまでに殺すか送還しなければいけません。
さすがに散々利用して、悪人ではないことをわかっている相手を殺したくはありません。
それだけです。
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