第2話 勇者召喚したら黒ビキニのテカテカ人型の筋肉が来た(泣)
〇I月ZE日
ノーザンティア王国より北の死の大地に魔王が出現した。世界中の魔物の動きが活性化し、すでに多くの人命が犠牲になっている。最前線として矢面に立たされているノーザンティア王国は否応なく人類軍の主導的な立場となったが、戦況ははっきり言って悪い。諸外国の足並みも揃わない。我が国が敗れれば人類は蹂躙されるだろう。
覆すためには伝説にある異世界からの勇者召喚するしかないのかもしれない。できればしたくはない。伝説には憧れる。けれど送還するすべがないのならば拉致と何が違うのだろうか? しかも本人の意思を無視して魔王と戦わせる。こんなことは許されるべきではない。
でもそれは私個人の思想の問題だ。王族として、民を守るために迷うな。悪逆非道の汚名を背負ってでも民を守れ。王族なのだから。
〇I月ZL日
ついに勇者召喚の日。儀式を仕切るのは私だ。迷いはもうない。いざ。
〇I月Z呂日
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した――
〇I月Zq日
あまりに衝撃的モノを目撃して錯乱してしまったようだ。
日記が病的な内容になっている。思い出したくもないが一昨日のことを記載しよう。
光の中からから現れたのは筋肉だった。
巨大な人型の筋肉だ。
人間ではない。
全身が浅黒くテカテカ濡れて光沢を放ち、陰影がはっきりわかる。
身にまとうのは股間を隠すだけの黒いビキニと呼ばれる布切れのみ。
現れた時のポージングは両腕を肩まで上げて立てるフロントダブルバイセップスと呼ばれる最初のポーズらしい。
なんでもボディビル大会と呼ばれる異世界の儀式中に召喚してしまったという。
早く送還したい。なぜ送還するすべもないの召喚してしまったのだろう。私を含めた人類の愚か者。早く研究しなければ。魔王どころの話ではない。
相手は断じて人間ではない。父が目を見開き、騎士団長が「素晴らしい」などと耳を疑う妄言を吐き、可愛い弟が目を輝かせて「カッコいい」などと錯乱していたので、私も錯乱し即座に攻撃ができなかったのが悔やまれる。
ちなみ巨大な人型筋肉はボディビルダーと呼ばれる異世界の種族であり、名前はタケオ。
今は友好的だが名付きの個体だ。警戒するを緩めるわけにはいかない。
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