異端の少女ポージー

鳥羽フシミ

プロローグ (読み飛ばし推奨)

 その大陸は、神への信仰と人々を支配する秩序が重苦しくのしかかった世界であった。特に王都においてこの国を治める者たちは何よりも世界の変化を恐れ、厳粛なる秩序と序列でもって長い間その変化をはばんできた。出る杭は打たれ、変化を求める者は国を追われる。全ては神が定めたこの国の姿を永遠に維持する為に。この国はそれを何千年と繰り返してきたのである。


「神も悪魔もすでにこの世界から手を引いている。」

 

 遥か昔、そう言った賢者は処刑台へと立たされたと言う。聖典がうたう魔物が最後に現れたのはいったい何時の事であったのか。それすらも今は古い文献の中に埋もれてはっきりとはしない。

 春になれば渡り鳥達がこの世の果てと言われる海の彼方へと渡って行く。果てには無しか存在しないと言うのに、いったい彼等は何処を目指して飛んで行くのであろうか。しかし、この世のことわりが記されている聖典に、残念ながらその答は載っていない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る