第34話 アースホースに乗って出発!!
「フリップ様、馬車の準備ができました」
「分かった」
僕達は馬車の準備が終わるまで、お部屋の中で待ってました。その間に王様とボルドーさんは部屋から出て行っちゃって。もう少し落ち着いたら、またお話し合いがあるみたいだけど。明日か明後日か、それは分からないって。
ノウルが馬車の準備できたって呼びに来てくれたから、僕達はソファーから立ち上がります。それでね、すぐに聖也が僕の前に立ちました。どうしたのかな?って思ったら、僕に乗って馬車のまで行きたかったみたい。
「セイヤ君、ポチに乗るのは私の屋敷に行ってからで良いかな?」
フリップがそう言いました。まだ僕のこと知らない人ばかりだから、大きな僕が歩いてると、みんなビックリしちゃうんだって。
それから僕やタマ先生みたいな動物、えっと確か魔獣って言ってたよね。僕達犬やネコの魔獣は居ないから、珍しい生き物がいるって。今度はビックリじゃなくて、ジロジロ見られて、みんなが寄ってきちゃうかもしれないんだ。
だからみんなが僕達のことを知るまで、僕達を見たことがある人達の前や、お家の中以外、大きくならないで欲しいみたいです。さっきまでお城とおやつでニコニコだった聖也が、またブスっとしちゃいました。
「聖也、フリップさんのお屋敷に行ったら、すぐに乗せてやるから。少しだけ我慢だぞ。な?」
「ダメ、いっぱい」
「ははっ、ダメがいっぱい。そうだな…。セイヤ君、屋敷まではポチには乗れないが、アイスホースに乗ってみるかい。さっき馬車を引いてくれていた魔獣ではなく、別の種類の魔獣なんだ。うちで飼育しているんだよ」
「聖也、フリップさんがお馬さんに乗せてくれるって。…多分馬だと思うんだけどな?」
まだブスッとしてる聖也を優也お兄ちゃんが抱っこして、みんなでゾロゾロ部屋から出ました。それでまたたくさん階段を上ったり下りたり、長い廊下を歩いて、やっとお城に入ってきた入り口に到着。そこにはオールとチョーカーじゃない騎士さんが立ってました。2人はどこに行ったのかな? 僕また手伝ってあげようと思ったんだけど。
ドアを開ける騎士さん達。オール達と同じで、真っ赤な顔をしてドアを引きます。それでちょっとだけドアが開いて。僕はそのちょっとの隙間から外に出て、向こうから押して手伝ってあげる事にしたんだ。
すぐに外に出た僕。外にも騎士さんがいて、僕を見て不思議な顔してました。でもすぐにドアの方を向いて、ドアを押し始めたよ。オール達の時には2人でドアを開けてたのに今度は4人。もう、4人もいて開けられないの? やっぱり僕が手伝ってあげないとだね。
僕は最初の時みたいに、一緒にドアを押してあげます。そしたら。
「わあぁぁぁ!?」
「な、何だ!?」
「だあぁぁぁ!?」
「あ、危な!?」
みんなの声が聞こえて、それからドアが思い切り、バンッ!!って開いたの。そのせいで騎士さん達はみんな転んじゃって、優也お兄ちゃん達は、急いでドアから離れました。
あれ~? ドアってこんなに軽かったっけ? きた時はもう少しだけ重かったような? そんな事を考えてたら、急いでタマ先生が僕の所に来て、今度から良いって言われるまで、ドアを開けちゃダメって言いました。それから他の物もあんまり押しちゃダメって。何で? 僕も聖也と一緒でダメばっかりだよ。
「これは、色々と試さないとダメそうだな」
フリップが困った顔をしながら笑って、お兄ちゃんがすみません、すみませんって謝ってます。僕、手伝っただけなのに。
僕は考えたまま馬車の前に。フリップが言った通り、最初のペガサスさんと違うお馬さんみたいな魔獣が、馬車の前にいました。頭の毛が青色で、でも水色とそれから白色も、全体的に青色の毛で、それに体もちょっと薄い青色っぽいんだ。頭の毛はギザギザ尖ってるよ。聖也がアイスホースを見てブスッからニッコリになります。
「この子達がアイスホース。氷の魔法を使うことができる魔獣だ」
「そうか。体の色は氷の水色って感じなんだな」
優也お兄ちゃんがブツブツ言いながら、1人でうんうん頷いてます。アイスホース、魔法が使えるんだね。う~ん、僕達と似てる動物じゃなくて魔獣達。みんな魔法が使えるのかな? もしかして僕も、しっぽとか蹴る攻撃以外に、魔法が使える?
「セイヤ君、アイスホースに乗るか?」
「うん! せいくんのる!!」
「僕も!!」
「分かった。タマ先生はどうしますか?」
『私にも敬語は不要よ。私は優也と一緒に馬車に乗るわ』
「分かった。ではノウル、ユウヤ達と馬車に」
優也お兄ちゃん達が馬車に乗って、それを確認したらフリップがアイスホースに先に乗りました。それから騎士さんが聖也を抱っこして、フリップに聖也を渡して。聖也がフリップの前にちょこんって乗っかったよ。
最後に僕がやっぱり騎士さんに抱っこしてもらって、聖也の前に乗せてもらいました。
「おうまさん!!」
「アイスホースだ。いや、この子の名前はアスだよ。それから隣のアイスホースの名前はイス。兄弟なんだ。ユウヤとセイヤ君と同じだな」
「きょだい?」
「ああ、兄弟だ」
「うんとねぇ、にぃにだよ。ポチもにぃにで…」
聖也、兄弟って言っても、よく分かんないんだ。お兄ちゃんっていうのは分かるの。でも前に優也お兄ちゃんが兄弟って教えたんだけど、あんまりよく分かってませんでした。
「流石にまだ分からないか」
フリップもそう感じたみたい。それから聖也はアスとイスにこんにちわの挨拶をして、僕もアス達にご挨拶。2匹がヒヒ~ンッて鳴いた後、ゆっくりと進み始めました。
「さぁ、出発だ!」
「しゅっぱちゅ!!」
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