第33話 これからどこに?

「これからの事は、このフリップに任せてある。ユウヤ殿もポチ様も皆、フリップの元で過ごすと良い」


「こ、これからお世話になります!」


 長い長い話し合いの後、僕達は部屋に残って、王様達はどこかに行っちゃいました。なんか別の部屋でもお話し合いがあるんだって。それで僕達はそのお話し合いも持っていなくちゃいけなくて。


 僕、待ってるの途中で飽きちゃいました。だって、ここへ来てからお話し合いばっかり。途中魔人と戦って、ちょっと大変だったけど。でも、それ以外はお話し合いばっかりなんだもん。

 それでね聖也も飽きちゃったみたいで、優也お兄ちゃんに僕に似てるぬいぐるみ直してって言い始めたんだ。聖也はボルドーさんに貰ったぬいぐるみと、僕にのぬいぐるみと一緒に遊びたかったみたい。


 優也お兄ちゃんは最初はダメだって、もう少し待っててくれって言ったんだけど、聖也は段々とムスッとしてきちゃって。お部屋の中を走り始めちゃいました。あっちにタタタッ、そっちにタタタッ。それで最後は僕の背中に乗せてって。


 僕はタマ先生を確認。


『はぁ、どれくらいかかるか分からないものね。じゃあ窓のところへ行きましょう。あそこなら貴方が大きくなっても平気だわ』


 聖也がそれを聞いて、すぐに窓の方へ走って行っていきました。僕の急いで窓の所に。それでさっきみたいに大きくなぁれって考えたら。ポンッ!! すぐに大きくなれたよ。優也お兄ちゃんが聖也を抱っこして、そっと僕の背中に聖也を乗せます。


「ポチ! ふわふわ!」


『聖也、しっかり掴まっててね』


 聖也がしっかり僕の首にしがみ付きました。でもそれだけじゃ危ないからって、優也お兄ちゃんが聖也を支えて。乗るのに慣れたら、少しだけ歩いてあげました。それで喜んで手を放そうとしちゃう聖也に、タマ先生がダメよって言いました。


「はぁ、まさかポチ達と話しができるようになるなんて。さすが異世界って感じだな。小説の中そのままだ」


『私達もそうよ。元々私達は貴方達の言葉を理解していたけど、話す事は絶対にないと思っていたわ』


「俺達の話しが分かってたのか? じゃあ今までずっと…。俺、恥ずかしいこともかなり言ってたんだが」


『その辺は気にしないことね。今更でしょう?』


「…そうだな」


『まぁ、それについてもだけど、もっと落ち着ける場所に移動できたら、色々話したいわね。これからの事もあるし。これからどこへ連れて行かれるか分からないけれど』


「そうだな。向こうもかなり想定外だったみたいだしな」


 あれ? これからフリップさんの家に行くんじゃなかったっけ? それにお城の中も案内してくれるって言ってたよね? 僕がそう言ったら、きっと予定が変わるって。


 優也お兄ちゃんが勇者じゃなかった事や、僕が勇者だった事。それから聖也達が勇者の関係者?で、あとは魔人も出てきちゃって。王様も他のこの国の人達も、最初に考えていた事とぜんぜん違うから、これからの事も変わってくるはず。もしかしたら今日はこの部屋から出られないかもしれないって。


 え~!? 僕もう飽きちゃってるのに。それに聖也だって。聖也はぬいぐるみも直してもらわないといけないのに。僕はブツブツ文句を言います。

 その時でした。ドアがトントンノックされて、ノーマンお爺さんが騎士さんと一緒に入って来ました。騎士さんは今までに見た騎士さんと違うお洋服を着てる騎士さんで、フリップさんの家に居る騎士さんなんだって。


「お待さして申し訳ありませんじゃ。じゃがもうすぐ話し合いも終わります。陛下がお戻りになる前に、もう1度鑑定をしておくようにと。ポチ様方がお話しができるようになったので、もしかすると鑑定結果が変わっている可能性がありますじゃ」


「分かりました。さぁ、聖也。1度ポチから降りろ。それからポチも元の大きさに戻るんだ」


 優也お兄ちゃんに言われて、ちょっと残念そうに聖也が僕から降りました。また後で乗っけてあげるからね。それから僕も元の姿に戻って、みんなでソファーに座ります。それからすぐにノーマンおじさんが、あの冷たい板と、白い石をテーブルに置きました。


「この者達はフリップ様の護衛の者。今回皆様をお守りするために、先に鑑定結果をお見せするように陛下に言われておりますじゃ」


「ジェフリーだ。よろしく頼む」


「隊長、言葉遣いに気をつけてください。私はチャームです。よろしくお願いします。これから皆様の護衛をさせていただきます」


「よろしくお願いします」


 優也お兄ちゃんが、ちょっとだけホッとした顔をしました。


 それから鑑定をした僕達。変わってたのは1つだけ。『言語能力取得?』の『?』がなくなってました。タマ先生がだから話しができるようになったのねって。『?』がなくなったから僕達、聖也とお兄ちゃんとお話しができるようになったみたい。ふふふ、嬉しいなぁ。

 鑑定結果を見て、チャームはとっても驚いてたよ。でもジェフリーはニヤッと笑って、それからへぇって。


 それからすぐに王様達が戻って来て来たんだけど、フリップさん達も一緒でした。それでこれから僕達はフリップさんのお家に行くって言われたんだ。ほら、やっぱりフリップさんのお家に行くんだったでしょう?


「これからすぐに移動しようと思う。色々あって、時間がかなり押してしまったからね」


「おしろ。せいくん、おしろのなかみたい」


「そうか。セイヤ君と約束していたね」


「聖也、これから別の家へ行くんだ。だからお城は」


「せいくん、おやくしょく」


「そうだな、約束だな。ふむ、では明日ゆっくりお城を見るのはどうかな? 今日だとすぐに見るのが終わってしまう。明日ならおやつを食べながらお城が見られるぞ」


「おやつ、おしろ?」


「ああ。おやつにお城だ」


「せいくん、おやつとおしろ!! あした!!」


「よし! じゃあ移動しよう」


 みんながソファーから立ち上がりました。

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