第31話 とっても怖いタマ先生

 バキバキバキッ!! バキンッ!! 凄い音がして、いきなりソファーが傾きました。それからみんなが僕の方に倒れてきたんだ。僕の隣に座ってた聖也が変な声出しながら、それから優也お兄ちゃんもタマ先生も。寝てた小鳥さんは急に聖也が倒れたから、聖也と一緒に転がって起きました。


「ぴにょ?」


「わあぁぁぁ!?」


『ちょっと!?』


『ピョッ!?』


『あれ?』


「にぃに、きちゅい~」


 ボルドーさんが慌てて僕達の方にきます。それで最初にお兄ちゃんを起こして、そのあと聖也を抱き起こしてくれました。うん、聖也は僕の隣にいたからね。みんなに押しつぶされちゃってたんだ。聖也大丈夫?


 僕はすぐに聖也のことを確認。ん? あれ? 聖也が怪我してないのを確認してる時に気付きました。抱っこされてる聖也が、僕の顔と同じくらいの場所に? 

 すぐに周りを確認したら、僕また大きくなれてました。良かった。考えれば大きくなれるみたい。これで聖也のこと背中に乗っけてあげられるよ。


 聖也は大きくなった僕を見てニコニコ、きゃっきゃ騒いでます。早速乗せてあげようかな? そう思ってたらタマ先生が僕の頭の上に乗ってきて、しっぽでパシパシ僕の頭を叩いてきました。


『ポチ! 何で貴方はいつも、すぐに行動に出るの? さっきは緊急事態だったけれど、今はきちんと考えて行動しなくちゃ。見てみなさい!』


 タマ先生に言われた方を向いたら、さっきいきなり斜めに傾いたソファーが。タマ先生がまず僕にどうやって座ってたか聞きます。えっと僕は、聖也の隣でソファーに座ってて。横にはみんなが座ってたでしょう?


『それで? 貴方は小さいままソファーに座っていたわよね』


 うん、小さいままだった。だって途中で小さくなっちゃって。だから移動してきたこの部屋で、大きくなれるか考えようと思ったんだよ。


『ソファーには小さいから座れていたのよ。それなのに突然大きくなったりして。今の貴方の姿じゃ、ソファーが壊れるに決まっているでしょう? 


 そっか。ソファー、僕のお尻で潰しちゃったんだ。それでみんなが僕の方に倒れてきたんだね。ごめんね聖也、タマ先生。それから優也お兄ちゃん達も。でもソファーは壊れちゃったけど、大きくなれるのは分かったらから良いよね?


「これは…、先程はきちんと確認できなかったが。その姿で、我らを助けていただいたのじゃな」


 王様も僕達の方にきて、僕のことを見てきます。でもその時タマ先生が、今僕に注意してるから待ってって言ったんだ。その後、王様は自分のソファーに戻って。お兄ちゃんは新しいソファーを用意してもらって座りました。

 聖也は僕に乗りたがったけど、タマ先生にダメよって言われて。ちょっとブスっとした聖也。でもボルドーさんが、洋服の中から小さいぬいぐるみを出してきて。それをもらってすぐにニコニコになった聖也は、ボルドーさんと同じソファーに座りました。


 何でぬいぐるみを持ってるの? そういえば聖也の僕そっくりぬいぐるみは、今お兄ちゃんの隣に。さっきの魔人のせいで、お尻のところが壊れちゃってるから、後でお兄ちゃんが、裁縫道具があれば借りて直してくれるって。


 みんながソファーに座ったら、タマ先生が僕に座りなさいって言いました。タマ先生の顔、とっても怖い顔してるんだ。タマ先生がこの顔の時は、僕とっても怒られちゃうの。前に逃げようとしたら、もっといつもより長く怒られちゃったんだ。だからそれから逃げないようにしてるの。だって、もっと長く怒られるの嫌でしょう?


 僕はそっとタマ先生の前にお座りします。そしたらやっぱり、タマ先生はとっても怒ってきました。何で勝手に大きくなろうとしたのかとか、タマ先生は待ちなさいって言ったでしょとか。あとは聖也が怪我したらどうするの?とか。色々怒られて僕しょんぼりです。


 それで怒られてる時、王様が優也お兄ちゃんに、話してる声が聞こえてきたんだけど。


「ユウヤ殿、タマ様はいつもあのような?」


「い、いえ、というか、今までは何を話していたか分からなかったので」


「そ、それもそうじゃな。これはきっとスキルのおかげじゃろう。後でもう1度確認をしてみよう」


 って。タマ先生は怒るといつの怖いよ? 


『ポチ! よそ見しないの! 私の話しをきちんと聞いているの!!』


『ご、ごめんなさい!!』


『優也も静かにしていて! それから王様もお願いですから静かにしていてください! ポチの気が散ってしまいます!』


「す、すまんのう」


「わ、悪い!」


 タマ先生に言われて、王様も優也お兄ちゃんも、ちょっとビックリな顔した後に、僕みたいにしゅんってなりました。


 それからもタマ先生の怒るのは止まらなくて。あんまり止まらなかったから、途中で優也お兄ちゃんがそろそろやめてやれって、止めに来てくれました。それで優也お兄ちゃんが僕のことを抱っこしてくれて。僕ね、怒られてるうちに元の大きさの戻っちゃったんだ。


『まったく。後で大きくなるのには、どんな方法があるのか確認するから、それまでは大きくなれって考えちゃダメよ。良いわね』


『は~い』


 新しいソファーに座った僕。聖也は僕の所に来てくれると思ったんだけど、来てくれませんでした。聖也は僕が怒られてる間に、ボルドーさんととっても仲良くなってて、ボルドーさんのお膝に乗ったままだったんだ。


 その後は、僕と聖也はみんなのお話聞いたまま、王様とボルドーさん、それから優也お兄ちゃんとタマ先生が、ずっとお話し合いをしました。小鳥さんは…。ずっと聖也の頭の上で寝てたよ。時々自分の声にビクッとして起きてたけど。


『ピユユユユ、ピユユユユ。ピュッ!? ピュ?』

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