第30話 あれ? 元に戻っちゃった?
聖也が優也お兄ちゃんの背中の方へ行って、それからお兄ちゃんの背中に手を当てようとします。でもお兄ちゃんは痛い痛いって言いながら、もう半分くらい立っちゃってて、背中に上手く手を当てられなくて。
「にぃに、すわって!」
「何だ? せっかくここまで立ったのに。お兄ちゃん痛いんだぞ?」
「しゅわるの!!」
「分かった分かった。はぁ」
優也お兄ちゃんが痛たたたたって言いながら、その場にまた座りました。うん、これで大丈夫だね。
聖也が優也お兄ちゃんの背中に手を当てます。それからもう1回ふんって気合いを入れて。
「たいの、たいの、ちょんでけ~!!」
聖也が大きな声で叫びました。そしたらまた聖也の手の所が光って、そのあと優也お兄ちゃんの背中が光ります。さっきみたいにとっても綺麗な光です。お兄ちゃんが背中があったかいって、周りがまたザワザワ。何で聖也が魔法を使うとみんなザワザワするのかな?
光はすぐに消えて、聖也が僕の隣に戻ってきて、足にしがみつきました。それからニコニコしながらお兄ちゃんを見ます。フリップさんがお兄ちゃんに立つように言いました。お兄ちゃんはまだ痛いと思ってるのかな? そっとそっと、さっきみたいに立とうとします。
大丈夫だよお兄ちゃん、聖也の魔法だもん。お兄ちゃんのあの酷い怪我も治ったんだから。
「あれ?」
お兄ちゃんが途中まで立ち上がって、それから不思議そうな顔しました。それからその後は、スッと立ち上がって。体を曲げてみたり、前に後ろに捻ってみたり。後はジャンプしたり、背伸びしてみたり。
「治ってる? どういう事だ?」
「そうか、やはり治ったか。ならばとりあえずはここを出よう。話はそれからだ」
立ち上がったお兄ちゃんに、聖也がにっこにっこしながら抱きつきます。それでお兄ちゃんが聖也を抱っこした時でした。
ぽんっ!!
『あれ?』
今まで見てた景色と同じになっちゃった? 僕は周りをキョロキョロ。だって今までは高い所から周りを見てた感じだったのに、今は目の前に優也お兄ちゃんの足が。それからタマ先生も目の前にいるんだ。
『あら、元に戻ったのね。また大きくなれるのかしら? 後で確認することばかりは増えていくわね』
僕ね、元の大きさに戻っちゃったんだ。せっかく大きくなれたのに。それに後で聖也のこと背中に乗っけてあげようと思ってたのに。どうやったら大きくなれるかな? 僕が大きくなれって思ったら大きくなれる?
僕が考えようとしたら、タマ先生が今は移動するからダメよって。タマ先生、僕が考えてること良くわかるの。何も言ってないのに凄いよね。でもそっか、今は移動するんだもん。移動したら考えてみよう。
騎士さん2人が前に立って、その後にフリップさん。それからお兄ちゃんと聖也が。僕達はお兄ちゃんの足元を歩いて、小鳥さんは聖也の頭に乗ってます。後は僕達の後ろに、ノウルさんと騎士さんが3人付いてきて。
廊下に出たら、部屋の前の廊下は壊れちゃってました。左右の部屋くらいまで、ヒビが入ってたり、かけちゃってたり。後は穴が開いちゃってる所も。
壊れてない場所を確認しながら、ゆっくり廊下を歩く僕達。やっと壊れてない廊下に出て、それからお城に来た時みたいに、あっちに歩いて行ったり、階段を上ったり下りたり。少ししてあの壊れちゃった部屋のドアよりも、ちょっと小さいドアの前で止まりました。ドアの前には騎士さんが4人も立ってたよ。
「陛下は?」
「中でお待ちです」
すぐに騎士さんがドアを開けてくれて、僕達は中に。中にはさっきまでボロボロの洋服を着てた王様じゃなくて、ピシッとした洋服になってる王様と、ボルドーさん。それからおじさんが。
「陛下、お怪我は?」
フリップがお辞儀した後、王様に怪我は大丈夫か聞きました。そしたら僕達が来るまでに、もう1回怪我を確認してもらったから大丈夫だって。それを聞いたフリップ達が、すぐに部屋を出て行ったよ。
「はぁ、皆無事で良かった。これも勇者様方のおかげ。まことにありがとうございます」
王様もボルドーさん達も、僕達にお辞儀してきました。タマ先生が別に良いわよって。それより話しを進めましょうって王様に言います。うん、僕の体は元に戻っちゃったけど、そのままみんなとはお話はできるみたい。良かったぁ。せっかくお話しできるようになったのに。僕、聖也と優也お兄ちゃんと、いっぱいお話したいもんね。
それぞれソファーに座って、僕は聖也の隣ね。タマ先生は優也お兄ちゃんの隣。小鳥さんは聖也の頭の上で寝ちゃってます。
「魔人が出たことは、王宮の中だったとはいえ、これだけの騒ぎだ。民達が騒ぎ始めるでしょう。私はそれの対処に。先に指示はしましたが、やはりここは私が自ら指揮を」
「分かった。頼むぞ」
おじさんが部屋から出て行きます。結局おじさんの名前分からなかったよ。と、思ったら、
「あちらは、モロゾイに任せれば大丈夫だろう。ワシらは勇者様方の事を。皆、今回のことで気づいたじゃろうが」
「そうだな。だがどこまで話すか、それが問題だ。なにしろセイヤ様はまだこんなにも幼い」
王様とボルドーさんが聖也を見てきました。でも聖也は気づいてなくて、僕の頭をなでなで。それからもう1回大きくなってって。そうだった、僕移動したら大きくなれって、考えてみようと思ってたんだった。
『聖也まってて、今やってみるから!』
僕はすぐに大きくなれって考えます。そしたら向こうからタマ先生の待ってって声が。
ぽんっ!!
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