第26話 僕の攻撃と、ポチマーク
『グッ、な、何だ!?』
倒れた魔人が起きあがろうとしたんだけど、立てないみたいで、今やっと半分くらいまで立ちました。その間にタマ先生が、また僕に今からやる事教えてくれます。
今の僕のしっぽの攻撃、あんなに強い攻撃ができるなんて。あの力はきっと勇者の力だって。だからもう1回飛ばしちゃいなさいって。
『飛ばす、とっても遠くに?』
『ええ、そうよ。それかまぁ、また壁にぶつけても良いけれど。飛ばした方が良いわね。取り敢えず、ここからあいつを遠くにやらないと。いい、思いっきり飛ばすのよ!』
『はい!!』
「ポチ! ばって!!』
聖也が興奮してて、頑張ってがばってになってるよ。うん、でも、僕大きくなったし、何か凄い攻撃できてるし。頑張っちゃうよ!!
話してる間に、ようやく立ち上がった魔人。僕達を思いっきり睨んできて騒ぎ始めました。お前は誰だとか、見た事がない生き物、お前は勇者に仲間か?とか。さっきタマ先生が言ってた事聞いてたでしょう? 僕はポチで勇者だよ。みんなを守る、聖也を守る勇者なんだから。
『くそ、くそっ!! 何なんだ!!』
魔人が手を上に上げました。そしたら手の上に、真っ黒いギザギザしてる球ができて。お部屋の中がバリバリ、ミシミシ音がし始めたんだ。タマ先生が不味いって。アレを消さないとみんなが怪我しちゃうって言いました。僕は慌てて魔人の方に走ります。
『なっ!?』
『あれ?』
魔人、一瞬で部屋からお外、お外から部屋の中に移動してたでしょう。僕、今走ったら、同じような事が起きたんだ。1歩しか歩いてないのに、魔人の目の前に移動しちゃったの。僕ビックリして、魔人の顔を手で叩いちゃいました。思いっきり、バシッィィィ!!って。
『ブッ!?』
変な声を出して、魔人が今度は反対の壁の方に飛んでいきます。それで今度は完璧に壁にめり込んじゃったんだ。あの真っ黒いギザギザの球も、パシッて綺麗に消えたよ。タマ先生が走って僕の所にきます。
タマ先生もビックリしたって。でも今の調子でもう1回魔人を飛ばしちゃいましょうって言いました。
魔人。僕は魔人がめり込んじゃってる壁を見ます。足をバタバタ。それから何とか体を壁から半分出した魔人は。また僕達を睨んできて。でもその時。
「ポチマーク!!」
って聖也が叫びました。あっ! 本当だ!!
『僕のマーク!! でも僕の手が大きいからちょっと変なマークになっちゃった』
『あら、本当ね。ふっ、いやねこんな時に。ふふふっ』
タマ先生が静かに我慢するように笑い始めて、聖也はキャッキャしてます。僕も一緒にアハハハハって笑っちゃいました。そしたら、聖也の方から別のクスって、一瞬だけ笑った声が。
見たらいつの間にか聖也の所にフリップさんが居て、何か変な顔してるの。笑ってるような我慢してるような。あっ、フリップさん大丈夫? さっき飛ばされてたけど怪我してない?
『お前達、何を笑っている!!』
僕達が笑ってたら、魔人が怒鳴ってきました。だって。魔人の顔の真ん中に、僕の肉球マークがボンッて。
聖也のおもちゃの中に、スタンプっていうおもちゃがあって。インクっていうのをつけて紙に押すと、可愛い絵が紙に付くんだよ。
前に聖也は、僕の手にインクをつけて、紙にぽんってしたんだ。そしたら肉球マークが綺麗に着いて。そのあと床にたくさん肉球マークを付けて、優也お兄ちゃんに怒られちゃったけど。でも、それから聖也はポチマークっていって、時々紙にポチマークのスタンプして遊んでるの。
そのポチマークが今、魔人の顔の真ん中にドンッて。手が大きいから、全部綺麗にポチマークは付いてないけど。でもポチマークってちゃんと分かるくらい、綺麗に付いてます。
魔人は自分の顔が見れないから分からないよね。そこの壁に割れてる鏡が付いてるから、見てみると良いよ。
僕がそう言おうとしたら、魔人が今までで1番怖い、怒ってる顔をしました。
『クソッ、馬鹿にして。お前達など、今すぐに消してやる!! 今日は様子を見にきただけだったが。もうそんなことは関係ない。俺が今すぐにこの国を落とし、あの方がお目覚めになられたら、この国を最初の捧げ物に!!』
壁から出てきた魔人が、またあの真っ黒いギザギザの球を出しました。それから今度は魔人の体も黒いギザギザが包んで。それでその球を僕とタマ先生の方に投げてきました。でも当たる前に小鳥さんが、あの綺麗な壁で球を止めてくれて。止めた球は壁に弾かれて、壊れ壁からお外に出て、お空に飛んでいっちゃったよ。
『クソッ!! クソッ!! 何なんだ!!』
また球を作ろうとする魔人。う~ん、もういい加減あの魔人煩い。早く魔人を飛ばして、聖也を安心させてあげなくちゃ。それに優也お兄ちゃんの怪我も気になるし。よし!!
僕はグッて足を踏ん張ります。勢いをつけて魔人を蹴り飛ばそうと思って。あんまり踏ん張りすぎて、床にちょっと穴が開いちゃったけど、もうこれだけお部屋壊れてるから良いよね。
僕はビョンッて飛んで、一瞬で魔人の前に。魔人はさっきと一緒、僕が目の前に来てからようやく僕のことに気づきます。
『聖也を泣かすやつ、いじめる奴なんか飛んでっちゃえぇぇぇ!!』
『や、やめっ!!』
『優也お兄ちゃんのこと、怪我させた奴なんか飛んじゃえぇぇぇ!!』
『ひっ!』
僕の声に合わせて聖也も叫びます。
「でっちゃえぇぇぇ!!」
僕は思い切り魔人を蹴り飛ばしました。
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明日はお休みします。よろしくお願いします。
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