第23話 突然の攻撃、みんな飛ばされちゃった!?

 本当に変な感じなんだよ。気持ち悪いような、むかむかするような。ダメな感じ。それが外から部屋の中に向かって、入ってきてるみたいなんだ。それでね僕が気になってそっちを見てたら、聖也が窓の方を見ました。もしかして聖也もこの変な感じ分かるの? 聖也も嫌そうな顔して同じ方向見てるし。


 僕は聖也のお膝に立ちました。でもその後に、しっかり何が変なのかを確認しようと思って。次は机の上にピョンって乗っかりました。机に乗ると優也お兄ちゃんが怒るんだけど、今は変な感じを確認する方が大切だと思ったんだ。


 それでね、僕が机に乗ったら、やっぱり優也お兄ちゃんが怒って、僕のことをすぐに下そうとしました。でも僕はお兄ちゃんに捕まらないように避けて、窓から目を離さないようにします。後ろでタマ先生が僕にどうしたのって聞いてきます。それから僕の隣に、やっぱり机の上に乗っかったタマ先生。優也お兄ちゃんが慌てて、僕達を下そうとして。


『タマ先生、変な感じがします!!』


『変な感じ?』


『気持ち悪いような、むかむかする感じ。外から感じるの』


『何かしら? 確認した方が良いようね。私が窓まで行って…』


 タマ先生がお話してる最中でした。変な感じが一気にもっとダメな物に変わったんだ。僕達に敵意を向けてくる、とってもピリピリしてる感じ。僕達のこと倒そうとしてる?


 僕は窓の外に向かって唸り始めました。それを見たタマ先生が、机に爪を立てて、いつでも飛び出せるように、それから一緒に威嚇し始めて。そんな僕達を見て、僕達を机から下そうとしてた優也お兄ちゃんが止まって、同じ方向を見ます。聖也は優也お兄ちゃんの洋服を掴んで、そのまま後ろに顔を隠しました。


「一体何だ?」


「どうしたのじゃ? ポチ様、それにタマ様も。と、言っても話が出来ぬのではな」


「私が確認を」


 名前がわかんない方のおじさんが、窓に近づこうとします。あっ、ダメだよ近寄っちゃ!! 僕がそう言う前に窓に近寄っちゃったおじさん。その瞬間、黒い光がピカッと光って、大きなバアァァァンッ!! バキバキバキッ!!って音と共に、部屋がとっても揺れて。そのあとは物凄い風が。僕もタマ先生も机から飛ばされちゃいました。


 周りが良く見えなくて、飛ばされちゃったから、余計に周りの様子がわからないまま。僕は飛ばされて転がって、バシッ!!って何かにぶつかって、やっと止まったんだけど。風はぜんぜん止まなくて、本当はすぐに聖也の所に行きたかったのに。

 だってね、僕から少し離れた場所から、風のせいで良く聞こえないけど、聖也の叫ぶ声と泣く声が聞こえてるの。きっと聖也も飛ばされちゃって、どこかにぶつかって怖くて痛くて泣いてるんだよ。

 まってて聖也! 動けるようになったらすぐにそっちに行くからね!


 風が止まるのに、凄く時間が掛かりました。それに黒い光もなかなか治らなくて。やっと全部が止まったのは、どれくらいたってからだったかな? ちゃんとに止まってはないけど、やっと動けるようになって、僕は目をごしごし。すぐに周りを確認します。


 それと同時に騎士さんや、フリップ達がお部屋に入って来たんだけど。部屋に入って来たみんなも僕もビックリ。部屋はめちゃくちゃ。窓の方の壁なんて完全に無くなっちゃってたんだ。だからお外がバッチリ見えちゃって。

 それから窓の方に座ってた王様達は、みんな床に倒れてました。フリップがハッとして、騎士さんに何か言いながら、みんなが王様の方へ。


 僕も聖也を探さなくちゃ。確か声はあっちから聞こえて来たよね。さっき声が聞こえた方を見る僕。今は何にも聞こえなくて。そこには震えてお尻を向けて丸まってる聖也が居ました。


『聖也!!』


 僕は急いで聖也の所に。聖也の頭を押さえてる手に、僕のお鼻をつけたら、そっとこっちを見てきた聖也。僕だって分かると、ギュッと僕のことを抱きしめてきました。それからすぐにフリップが僕達の所に来て。


「セイヤ君、大丈夫か!?」


 フリップが聖也を抱っこしようとするけど、聖也は僕を連れたまま、壁の方に逃げます。


「セイヤ君、大丈夫。大丈夫だよ」


 寺田のおじさんと同じよな、優しく笑ってくるフリップ。それから少しずつ近づいてきて。聖也は逃げようとしたんだけど、目の前で止まったフリップは、聖也に触ろうとしないで目の前で座りました。それからもっと優しく笑って。今度は優也お兄ちゃんの優しいお顔にそっくりだったんだ。聖也の体から少し力が抜けるのが分かりました。


 僕はその間にも、優也お兄ちゃんやタマ先生が無事か確認します。まだ、少し部屋の中がモヤモヤしてて良く見えない中、あっちの方に足が見えて。

 あっ!! 優也お兄ちゃん倒れてる! それに…、もしかして優也お兄ちゃんお怪我したの!? だって、ズボンの青色が赤色になってる。それに赤い液体が床に。それにこれって血の匂いでしょう?


『ポチ!!』


 その時、僕達の所にタマ先生が走って来ました。怪我してないか聞いたら大丈夫だって。良かったぁ。それからタマ先生は小鳥さんを咥えてきてくれました。あっちに転がってたんだって。小鳥さんも怪我はしてないみたいです。


 タマ先生達がこっちに来るまでに、もっと僕達に近づいたフリップ。聖也は逃げないで、フリップはニッコリ笑ったまま、そっと聖也を抱きしめました。


「良かった。大丈夫、大丈夫だぞ」


「にぃに…」


「大丈夫、お兄さんの怪我を確認したら…」


『ハハハ、勇者とはこんなものか。しかも結界さえ張っていないとは』


 突然、壁がなくなっちゃてる方、その外から誰かの声が。それからまた、さっきのよくない感じがしたんだ。フリップが聖也を抱きしめたまま外を睨みます。僕達も外に向かって唸って。


 モヤモヤがすっと消えて、そこには人が浮かんでました。

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