第20話 僕の力は***ばっかり?

 ノーマンお爺さんが、優也お兄ちゃんから受け取った、板と石を置きました。うんとね、テーブルの上にまず板を置いて、その上に石を置いたの。それから自分の手を石にかざしたんだ。

 王様も他のおじさん達も静かになって、何も言わなくなりました。それから優也お兄ちゃんは、僕達に静かにしてようなって、僕達はみんなノーマンお爺さんの方を向いて座ります。


『では、まいります』


 そうノーマンお爺さんは言って、そのあと何か変な言葉を、ボソボソ1人ごとみたいに言いました。

 そしたら石が光り始めたんだ。ポワッてちょっとだけね。僕達がここに来た時みたいに眩しい光じゃなくて、本当にちょっとだけ光ったんだよ。


 でもその後がちょっと眩しかったです。石の光が移動して、次に板が光り始めたんだけど、その板の光が眩しくて。僕目をゴシゴシしたちゃったよ。聖也もお目々を擦って、ぬいぐるみで顔を隠してます。タマ先生は僕の後ろに隠れて、小鳥さんは聖也の頭の上で、反対側を向いて座りました。


 その後どれくらいたったのかな? 光はかなり薄くなったんだけど、今度は不思議な壁が僕達の前に現れました。石と同じで白色の透明な壁で、向こうに座ってる王様達がよく見えます。

 いつの間にか独り言やめてたノーマンお爺さんが手を元に戻して、僕達のことを呼びました。


「よろしいですかな。これからユウヤ殿、そして勇者様方には、この板を軽く触っていただきますじゃ。するとこの光の壁にそれぞれの能力が。そうですな、その人物がどういう称号を持っているのか、どういった力が使えるのかを、文字で見る事ができるようになりますじゃ」


「ステータスボードみたいなものか」


「ステータスボード?」


「あ、いや、こっちのことです。すみません、続けてください」


「では、最初にポチ様、勇者様からお願いできますかな?」


 僕が呼ばれて、優也お兄ちゃんが僕を抱っこして、僕の手を板に付けました。僕はまた、板が冷たくてピャッ!!ってなっちゃいます。すぐに手を放して、僕は聖也の隣に戻りました。


 すぐに光の壁がまた少しだけ光って、その後光の壁に光の線が入り始めました。そしてその光の線は、段々とふにゃふにゃになって、文字が表れたんだ。僕の知ってる文字だったよ。優也お兄ちゃん達が使う文字。絵本と同じ文字です。

 それでその文字が完全に形になったら、王様とおじさん達の驚いてる声が。


「これは…。本当にこのポチ様が勇者だとは」


「このようなことは、今までどの文献にも記されてしません」


「まさか、このようなことが起こるとはな」


 何て書いてあるのかな? 僕は優也お兄ちゃんに聞くけど、優也お兄ちゃんは黙ったまま光の壁を見たまんま。まぁ、僕のお話分かってくれないけどさ。でもね、聖也がお兄ちゃんの洋服を引っ張って、お兄ちゃんに聞いてくれたんだ。お兄ちゃんはハッとして、ゆっくり聖也に読んでくれました。それを僕達も一緒に聞きます。


[名前]ポチ

[種族]犬

[性別]雄

[年齢]2歳

[称号]勇者 聖也を護る者 聖也の顔を舐める者 ***

[レベル]1

[体力]100

[魔力]100

[能力]***

[スキル]言語能力取得? ***

[加護]***


 だって。タマ先生に聞いたら僕のことがいろいろ書いてあるって。うん。僕の名前とか種類とか。色々書いてあったもんね。でもよく分からない事もいっぱい書いてありました。称号とかレベルとかスキルとか。他にもいっぱいね。

 優也お兄ちゃんにも分からない事が書いてあったみたい。ノーマンお爺さんに色々聞いてます。


「あの、***とはなんですか?」


「その前に、優也殿はこれが読めますじゃろうか?」


「は、はい!」


「そうですか。陛下、きちんと言語能力がスキルとして付いております。言葉に関しては問題ないかと思われますじゃ」


「うむ。それは安心した」


 タマ先生に聞いたら、何か僕のステータス?にも書いてあるんだけど、言語能力取得って文字が。それがあると言葉がわかるみたい。でも、僕のには『?』が付いてて。


『私達には関係ないってことかしら』


 って、タマ先生が言ってました。


「では、説明いたしましょう。まず、こちらの」


 ノーマンお爺さんが説明を始めます。称号と加護っていうのはとっても大切なもので、称号は呼び名で、身分とか資格のことを称号って言うんだって。うん、そう説明してもらったんだけど、どう言う事? 

 

 僕が説明してもらっても分からないでいたら、タマ先生が色々な名前をつけてもらえる事って教えてくれました。僕は絵本に出てくる勇者さんと同じみたい。勇者って名前がついてるから。どうして僕が勇者かは分からないけど。

 それから他にも、聖也を護る者って名前ももらったし、優也のお顔を舐める者っていう名前も貰えたの。


 加護は全部が***のマークが書いてあるけど。本当は神様や女神様がくれる、僕達を守ってくれる力の事だって。うんとね、優也お兄ちゃんは僕達のことを守ってくれて、それと同じ事みたいです。守ってくれるだけじゃなくて、守るための力も貰える時があるみたい。


「と、他の説明を始める前に、この*マークの説明を。これは測定不可能な場合に表示されるマークですじゃ。能力が高すぎて表示されないか。またはまだその力が安定していないために表示されないか」


「確認する方法はないのですか?」

 

「今のところは。ですがユウヤ殿や勇者様方がここへ来たばかり。もう少し落ち着かれたら表示されるかもしれませんじゃ。それか、私よりも能力が高い者に鑑定してもらえば」


「そうですか」


「では続きを」


 能力っていうのは、僕がどのくらい強い力を使えるか分かるんだって、本当は。***マークだから分からないんだ。

 それからスキルは、僕が使える力の種類の事だって。これも僕は見る事ができません。タマ先生がもしかしたら、僕魔法が使えるようになるかもしれないって。僕それ聞いてドキドキです。僕も聖也みたいに『痛いの飛んでけ~!』魔法が使えるかもしれないって事でしょう。もう! なんで僕のは分かんない事ばっかりなの!!


 あとはレベルは僕がどのくらいのレベルか分かるの。


『レベルって数字でいうやつかしら? それなら例えばあなたは今2歳でしょう? だから柴犬レベルは2ってことよ』


 そっか! じゃあ聖也も2歳だからレベル2で一緒だね! 

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