第11話 広い公園? そして…
「詳しい自己紹介は後程するが、もう1度名前だけでも。先程は私の名前どころではなかっただろう? 私の名前はフリップだ」
フリップが僕達に向って、軽くお辞儀をします。それからノウルの方を見て。
「それから、こっちのさっきから色々と煩く言ってくるのは、私の部下でノウルと言う」
「何ですかその紹介の仕方は。大体煩く言われるようなことを言ったり、したりしているのは誰です? ノウルです」
ノウルもフリップみたいにお辞儀します。
「な、煩いだろう? だが仕事はできる男だぞ。今回の…」
「フリップ様、移動しなければ」
「…分かった。さぁ、付いて来てくれ。君達の事は私にすべて任されているんだ」
気が付いたらお部屋に居た、いっぱいの人達は居なくなってました。何人か騎士さんが残ってたけど。それからノウルみたいに、ノウルよりは少し下がって、フリップの後ろに立ってた男の人、2人ね。
ノウルが歩き始めて、次にフリップに言われて、フリップと一緒に歩き始める僕達。その後ろから男の人達が付いてきます。
それでね、建物から出たらすぐにお外でした。あのねぇ、とってもとっても広い公園みたいな場所で。でも僕が公園だねって言ったら、タマ先生がもしかしたらお庭かもしれないって言いました。
こんなに広い公園みたいなのにお庭? う~ん。でも確かにブランコとかお砂場とか、シーソーとかないね。いつもみんなで遊びに行く公園には遊ぶ物がいっぱい。僕ね、ブランコに乗るの得意なんだよ。ピョンッて乗って、ユラユラ揺れるの。落ちないようにするのが難しいんだけど、僕はずっと乗っていられます。
聖也は1人で乗ったり、優也お兄ちゃんと乗ったり。あと僕も一緒に3人で乗る時もあるんだ。
ここにはそういう遊ぶ物がないの。お花ばっかり。綺麗なお花だけど、僕は遊ぶ物いっぱいの方が良いです。タマ先生は気に入ったって。
歩きながら、フリップが優也お兄ちゃんにお話します。これから僕達は、さっきの王様にに似てるお爺さんと、それから何人かの人達とお話をするんだって。さっきみたいにいっぱい人は居ないから、落ち着いて話ができるから安心してくれって。その時に、僕達がどうしてここに居るのか教えてくれるみたいです。
お話が終わったら、僕達が今日お泊りするお家に連れて行ってくれるみたい。そこにはフリップもいて、フリップの家族もいるんだって。
そんなお話を聞きながら、僕の横でパリパリ、聖也の飴を食べる音が。それでね、飴を食べ終わったら、お話してる優也お兄ちゃんに、聖也が何か言いました。とっても小さい声で聞こえなかったけど。お兄ちゃんは聖也のお話聞いて、ちょっと困った顔して笑いました。
「今はそれどころじゃないんだけどな」
「どうしたんだ?」
「いや、あの」
「あのね、ポチとにゃんにゃん、おやちゅ」
「ああ、そう言えばその話の途中だったね」
「あのねぇ、せいくん。ポチとにゃんにゃんのすきなおやちゅ、しってるの。ポチはおにくのまるいの。にゃんにゃんはおさかなのまるいの」
「お肉と魚の丸いの?」
「それと、ぼくのおかお!!」
聖也がとってニッコリしながら、大きな声で言いました。
「顔!?」
「あ、いや、その」
「顔が好きとは、やはりこの生き物は危険な魔獣と一緒なのでは!?」
いきなりノウルが、バッてこっちを見て来て、僕のことを睨んできました。
「いや、違うんです!! 魔獣が何なのか、俺が知っている物と一緒かは分らないけれど。実は弟は…」
優也お兄ちゃんが、僕達のご飯の時のお話をフリップ達にします。聖也はいつもご飯の時に、お顔がパンダになっちゃうって。それから僕が、それを舐めて手で拭いて綺麗にしてあげて。聖也は僕の弟だもん。ちゃんとお世話しなくちゃ!
僕は優也お兄ちゃんのお話が止まった時に、フンッてお鼻を鳴らしながら返事をしました。お兄ちゃん達には分からないと思うけど。
「ははっ、そう言う事か。しっかりこの生き物は、いや、ポチだったか。ポチはこの子のお兄ちゃんをしているようだな。それに今の聞いたか? タイミングが良かっただけかもしれないが、返事をしているようだったぞ」
「はぁ。たまたまでしょう」
「あのね、おやちゅ、くれりゅ?」
「ああ。話が終わったら持ってこさせよう。お肉と魚の丸いものがどういう物か、後で聞かなくてはならないが、取りあえず食べられそうなものを用意する」
聖也はそれを聞いてニコニコです。僕もおやつって聞いてニコニコ。タマ先生は仕方ないわねって。
そのままどんどん歩いて行く僕達。広いお庭?を曲がった時でした。僕達の前に、とってもと~ても大きな建物が見えました。
そのとたん「きゃあぁぁぁぁ!!」って叫んで、優也お兄ちゃんをバシバシ叩きながら喜ぶ聖也。ポカンって顔をして、「嘘だろ」ってささやいてる優也お兄ちゃん。それから「まぁまぁ」って言いながら、ちょっとビックリしてるタマ先生。
僕も聖也と一緒。ペシッペシッ!!って、しっぽで優也お兄ちゃんの体を叩いて喜んじゃいます。
だってね、僕達がいつも見てる建物じゃないんだよ。さっき出て来た建物もあんまり見たことがない建物だったけど。
なんと、今僕達の前には大きなお城が。絵本に出て来たお城にそっくりのお城が、ドンッ!!ってあったんだ。
『凄い!! 本物のお城だよ!! 聖也、お城!!』
「にぃに、おちろ!! せいくん、おちろすき!!」
『ポチ、ちょっとあんまり暴れないで!』
「本物なのか?」
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