第6話 高嶺の花のハナ

映画が終わり、守はときめいていた。


「なんか凄く凄くキュンキュンしましたね。特に最後告白シーンが・・・ん? ハナさん? どうかしました?」


守は様子のおかしいハナに気をかける。


「あっ・・・いえ、何でもありません」


ハナは王道ラブストーリーが大好物だが、観た後は毎回、少し落ち込む。

自分が映画の中のヒロインのようにはいかない。

本当の私は人から愛されない。


そう思ってしまうから。


ハナは通り過ぎる人が皆、振り返るほどの高嶺の花であるのにだ。


街を歩けば、必ず声をかけられる。

それはチャラい男だけではなく、真面目そうな男、普通な男、男子小学生、お爺さん、など様々。女からも声をかけられることもよくある。


ただ、それはマスクで鼻を隠しているから。


そう彼女はマスク美人。

マスクのままなら、人が寄り、マスクを取れば彼女から離れる。

いや彼女の場合、今までの会話や関係が嘘のように化け物と叫ばれる。


何故ならハナの鼻はブタの鼻。

それは鼻先が上向きで鼻の穴が見える豚鼻ではなく、ハナの鼻はブタの鼻のまんま。

人間にブタの鼻をとってつけたような見た目。


つまり、ハナにとって恋愛は豚に真珠。

何も役に立たない。


「・・・・・・」


ハナはそんな現実を突きつけられて、黙る。

沈黙の中、守は一つ提案する。

「そういえば、ハナさんも何か予定があったんじゃないですか? 俺をどうにかする前にその予定をしましょう」


「私の予定ですか?」


「はい、ハナさんの予定です」





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