第24話#直生side


at office “earth”








「失礼します。」



秘書が開けてくれた扉の前でお辞儀をし、中に入る。



書類が散在する机から目を上げ、手を止めて倫さんは微笑んだ。

本当にこの人は、どんなときも自分のスタイルを失わない。


どんなに忙しいときも、誰よりも辛いときも。

ひたすら、むちゃくちゃかっこいい。


俺が子供だったら、「大きくなったら倫さんになりたい!」とか、素直に言うんだろうな。







「ありがとうな。そこ、座って。」



俺が応接セットのソファーに座るのと同時に、秘書が運んできたコーヒーは。


planetの去年のツアーグッズだった、青いチェック色のマグから、温かさと湯気を放っていた。













「で、問題なしってことで?」


倫さんは、社長椅子を立つと、俺と同じ青いマグに手を伸ばした。




「はい。まぁ、陽斗の反応がある意味問題でしたけど。笑

それも想像の範囲内だったので。一旦、こちら側は大丈夫です。」


「そうか。こちらも、理沙子の店には長期休暇の了承もらえたから。

損失が大きいとかなんとか言われて、脅されたけどね。今年は接待費の予算上げないとな。笑」


「えっ、じゃあ_______」


「いや、まだ理沙子自身の説得が終わってない。」




急に渋い表情で、黙ってしまった倫さん。

何かを考え込んでいる様子で、ゴクリとコーヒーを飲んだ。










倫さんの様子で、今回のミッションにおいて。どうやら彼女が最難関であるらしいと気づいた。






これから俺たちは。


今年の“earth”の社運を、彼女に賭ける。


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