第22話


『要さんの笑顔は、ある意味殺傷能力がありますね。』



私が何杯めかのウィスキーを作りながら言うと。直生さんは豪快に笑いながら同意した。



「出た!アッキースマイル!」



やめてください、とまたはにかむ。


本心だった。


葵ちゃんもやられたこの笑顔に。正直私の胸も攻撃されていた。





『女子はギャップに弱いから。

直生さんみたいに、可愛いのにリーダーシップがあって頼りになるとか。

要さんみたいに、男前な雰囲気なのに、笑顔が可愛いすぎるとか。』




要さんは、あれからほとんど私を見ていないように感じたけど。


たまに合う目線には優しさと甘さを感じた。

・・・もともと、こういう視線の人なのかもしれないけど。


















「理沙ちゃん、今日はありがとう。本当にすごく楽しかった。」





帰り際、今日初めてまっすぐ目を見てくれた笑顔と。丁寧に挨拶してくれた声の甘さに。

改めて、胸がきゅうっとしまった。




珍しいな、初対面からこんなに楽な人。

彼が隣にいる空間は居心地がよかった。





営業モード全開だったはずの私のリアルのツボは。


甘く心地よく刺激されていた。

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